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はじまり

「・・・、・・・子、・・王子!」


誰かの、叫び声・・・?


「目を覚まされましたか!王子!」


目の前に心配そうな顔が二つ現れた。30代から40代くらいの女と60代くらいの男。

それより、()()だと?何のことを言ってるんだ?


男は、もう三日ほど目を覚まされなくて・・と続ける。


「あ?何言ってんだ、おっさん」

俺は思わず言った。三日も寝込む?王子?目の前の奴らは誰なんだ?

疑問符が俺の頭を駆け巡る。

お、お、おっさん!?そんな・・王子・・。

男が悲痛な声を上げているがそんなものにかまってる暇はない。ここはいったいどこなんだ?何が起きているんだ?


ふと我に返って横を見ると、知らない色白の美少年が驚いた顔で鏡に映っていた。


「まさか、これが俺・・なのか・・?」


「王子、本当にどうなさったのですか?私のことを覚えていないどころか『おっさん』などと・・。一人称も『俺』と。三日前までは天使のような存在でしたのに・・。」

隣に立っている女も驚きが隠せない、といった様子だ。


「一人にしてくれ!」

俺は咄嗟に言った。脳足りんな俺でもわかる。この状況はまずい!


「そうでございますか・・。では、我々はこれで。」

二人は困惑しながらも、部屋から出ていった。


鏡に映る知らない男、窓から見える知らない景色、そして知らない人々・・・。

でも何かひっかかる。あの二人を、そして鏡に映る人物を俺はどこかで見たことがある気がする。



俺の人生はクズそのものだった。父親は飲んだくれで、暴言や暴力は日常茶飯事。母親はそれに耐えきれずに家を出ていき、当然のように俺はグレた。

悪い仲間とともに夜遅くまで騒ぎ、タバコや酒も高校生にはもう始めていて、他校の奴らとも喧嘩しまくった。地元では名の知れているレベルのヤンキーとなり、正真正銘のクズだったと思う。

柄でもないが、俺は恋愛漫画が好きで、よく学校をサボって本屋で立ち読みをした。特に絵が好きだった本があって、落ちぶれた令嬢が世界を救う聖女となってその国の王子に愛される話で、そこに出てくる王子の元婚約者がメチャクチャタイプだったんだよな。そう、「カメリア」っつう名前で、でも最終的に国外追放されちまうんだったっけ?

俺はハッとした。

アイツらその話に出てくる王子の母親と執事とそっくりだ。

ってことは俺は・・その世界に転生しちまったのか?

しかも目を覚ました時「王子」っていわれてたよな?俺がこの国の、王子?

ちょ、待てよ?ってことは俺の愛するあのカメリアを救い出せるかもしれない!


決めた!俺はこれからこの国「ガルデーニャ王国」の王になってカメリアを守り抜いて見せる!

っとその前に、俺の名前は何だ?

結構大事な情報が思い出せねえ・・!




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