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坂の上のりんご  作者: さくら れいな
12/24

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「そうか、奇遇だね。僕も好きなんだ」

(あれ、この方・・・まさか)

怪訝に思いながらもボーイさんにドンペリをお願いした。

「ドンペリにはイチゴを入れると美味しくなるって知ってるかい?」

「いいえ、初めて聞きました」

「じゃ試してみよう。フルーツも頼んでくれるかい?」

(やっぱりこの方、お金持ち!)

 ドンペリは1本5万円、フルーツは1万5千円もするのだ。

 なかなか初めて来たお店で頼めるようなものではない。

 

 今日だけの指名だと思っていたが、毎週1日~2日はきてくださり、多いときは4~5人で来店し、必ず私を指名してドンペリとフルーツを頼んでくれた。

 口説くこともなく、スマートに飲んで帰られる。

 本当に可愛がってくださり、もうご病気で亡くなられたが今でも感謝している。


 そして入店から一か月が経ち、お給料日がきた。

 お給料日には必ずミーティングがあり、そこでNO.3までがみんなの前で名前を呼ばれ、手渡しでお給料をもらう。

 第3位から名前を呼ぶ店長、みんなに拍手されおめでとうと言われながらお給料を取りに行く女の子。

いつかは自分の呼ばれるようになると心に誓った。 


今は呼ばれることはないと思い、ぼーっとしていた。

「今月トップは玲奈さん!・・・あれ?玲奈さん?」

隣に座っていた女の子に肘を小突かれ、

「玲奈、あんただよ」

「へぇ、すごいねぇ」

「ぎゃはは!!」

店にいた全員が大笑いしている。

「え?何?」

「おお、すごいなぁ。トップはお前だよ」

言っている意味が分からず店長の顔を見る。

「玲奈、君だよ」

「ふぇ~!嘘!?本当に!?」

「よく頑張ったな」

「やったー!!」

飛んで跳ねて大喜び。

 この頃にはお店の中で仲の良い子たちもでき、みんな一緒に喜んでくれた。

「玲奈、ずっとNO.1目指してたもんね」

「入って1か月で取るなんてすごいね」

「よし!終わったら玲奈の奢りで焼肉ね!」

 自分のことのように喜んでくれる仲間。

 苦しいときも嬉しいときも、互いに励ましあい喜び合える仲間。

(友達ってこんなにいいものなんだ・・・)

 みんながいたから取れたNO.1、一人では成しえない。

 彼女たちがいてくれたから、他のテーブルにも安心して行けた。

 みんなにお礼がしたいと思い、ご要望通り、焼肉を食べながらそこでもみんなにお祝いされた。

 生まれて初めて出来た「友達」、いろんな話が出来る「仲間」だからこそ、みんなは理解してくれると思い、すべてを話した。


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