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第六話 奴隷ソフィア


 その女の奴隷は両目に布を巻いていた。

 多分だが目が見えないのだろう。

 だがそれだけじゃ無い。

 元聖騎士の俺にはわかる。

 これは……。


「呪い、か」

「分かりますか?」

「まあな」


 俺は聖騎士として、様々な仕事をして来た。

 その中には呪いの“解呪”なんてものもあった。


「だが、これほどなのは見た事がないな。何があったんだ?」

「さあ。オイラにもわかりません」

「奴隷の首輪を使って聞かないのか?」


 奴隷の首輪。

 奴隷は皆、この首輪をしている。これは魔道具で、付けられた奴隷は主人の命令に逆らえなくなる。


「オイラはあくまで仮の主人ですから。それに、大抵はオイラが調査してるんですよ。奴隷の素性を」

「それで分かったのか?」

「いいえ、何も。名前以外は出身地も職業も何故奴隷になったかもわかりませんでした」

「それは、怪しいな」


 大抵の人間は素性を探れば、過去を探る事ができる。

 俺のことだって、やろうと思えばできる。

 むしろ簡単な方だろう。

 だが、彼女はそれが一切わからない。

 調べても、何も出てこない。

 怪しすぎる。


「素性がわからない上に盲目です。良いところってのは馬鹿でかい胸くらいですが、呪いを怖がって誰も買わないんですよ」

「そうだろうな」


 素性がわからず、盲目。さらに強力な呪いがある。

 そんな面倒な奴隷を誰が欲しがる?


 まあ、それは呪いを治せなければ、の話しだ。


「少し話してみても良いか?」

「もちろんです」


 奴隷商人は檻の扉を開けた。

 俺が中に入っても扉は閉めない。

 客だからな、扉を閉めれば閉じ込めてしまうことになる。

 奴隷商人は檻から離れていった。


 さて。


 ひとまず、基本的なステータスと出身地、呪いを誰から受けなのかを見ておくか。


 俺のスキル《聖眼》。

 相手のステータスや簡単な情報を知る事ができる。

 そしてそれは物品の質も判断する事ができる。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ソフィア・ブラットファーム 人間 女 十七歳

職業《聖女》

スキル

《杖術》

《聖火》

《聖水》

《白魔法》

《格闘術》

《超嗅覚》


備考

・フラットミリア共和国出身。

・ブラットファーム伯爵家出身。

・“邪神の右腕”に呪いを受ける。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 ……これは驚いた。

 フラットミリア共和国の聖女だったとは。


 あそこは帝国と同じでアフロディーテ教の信者が多くいる国だ。

 だが帝国よりも熱狂的で広告塔として聖女を生み出しているそうだ。

 しかし、それもつい最近、新しい聖女が生まれたと聞いた。


 なら前の聖女はどこに?

 それが彼女か。


「この匂いは、聖騎士様ですか?」

「ッ!」

「ああ、驚かないでください。私は鼻がきくんです」

「そうか、そうだったな」


 そう言えばステータス欄にそんな事が書いてあった。


 俺はステータスのことを知らないふりをして、聞いて行く。


「名前は?」

「ソフィアと申します」

「職業は?」

「……白魔道士です」


 嘘をついた。


 なるほど。聖女だとは知られたくないのか。


「呪いで目が見えないらしいな」

「はい」

「戦闘はできるか?」

「はい。そう言った訓練は受けて来ましたし、何度も実戦に出ていました。基本的には後衛職ですが、近接もできます」

「盲目なのに戦えるのか?」

「はい。私のスキル《超嗅覚》のおかげで、匂いで周りに何があるのか、誰がどこにいるのかを知る事ができます」


 スキルは隠さないのか。


「他に何ができる?」

「計算は一通り。それと料理が得意です」

「そうか。わかった。次で最後の質問だ」

「はい」

「お前は俺を裏切らないと誓えるか?」

「神に誓います」


 その言葉に一切の迷いはなかった。

 信用も信頼もしないが、これは好印象だ。


 よし。決めた。


「主人。いるか?」

「はい。ここに」

「買った」

「ほ、本当ですか!?」

「ああ。いくらだ?」

「五十万ギルです」

「ほらよ」


 俺は異空間から取り出した金を丸ごと渡した。


「あ、ありがとうございます!」


 奴隷商人は金を確認もしなかった。

 まあ、腕のいい商人は重さでいくら入っているかわかると言う。

 この奴隷商人もそうなのだろう。


「あ、あの」

「なんだ?」


 ソフィアが聞いてきた。


「何故、私を買ってくれたんですか? 私は素性もわからず、目も見えず、呪いまでかかっています。厄介なだけの存在のはずです。なのに、なぜ……」

「別に。俺は裏切らない奴が欲しかった。お前は野心が無いらしいからな。それを信じた」


 それにスキルの中身も役立つものばかりだ。

 聖女としても俺の役に立ってくれるだろう。


 ソフィアはそれ以上、何も言わなかった。

 ただ、俯いているだけ。


「これでコイツの主人は貴方様です」


 奴隷商人は俺の手の甲に紋章を描いた。

 といっても、魔法文字だ。

 すぐに消える。


 これが奴隷の主人である証だ。

 これでソフィアは俺の奴隷だ。



ここまで読んでいただきありがとうございます。


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