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二十六話 戦いの後




 目が覚めると、知らない天井が目に入った。


「オルガン様!」

「おうっ!?」


 誰かが抱きついていた。

 腹に重い一撃を喰らう。


「オルガン様ぁ、ごめんなさい……っ! わたし、わたしぃいいい………っ!」


 ソフィアがぐすっ、と鼻水を垂らしながら抱きついて来る。

 なぜか目を隠す布がビチャビチャに濡れるほど、涙を流している。


「な、泣くなって。どうしたんだ?」

「わたしぃ、傷を治したのにぃいいい! 全然、オルガンしゃまがぁ起きなくてぇええ!」


 だめだ。

 冷静キャラが崩壊してる。


 こう言う時は……。


「ごめんな、不安にさせて」


 ソフィアをぎゅ、と抱きしめた。

 俺が何日寝てたかは知らないけど、ソフィアがこんなになるまで不安にさせてしまった。

 

「ありがとう」

「うぅ、うあああああっ!」


 ソフィアはそれから、しばらくの間、グズグズになるまで泣いた。








 しばらくして、ソフィアが泣き止んだ。


「落ち着いたか?」

「は、はい……」


 泣き止んだみたいだけど、抱き続ける。

 そうするの段々、ソフィアの頬が赤くなって来た。


「あ、あの、オルガン様……」

「断る」

「抱きつくのを、やめ……」

「断る」

「あうぅ……」


 やめるわけないだろ。

 ようやく、ようやく愛する人を抱きしめられる。


 裏切りとか、そんかものを気にせずに。


「ありがとうな、ソフィア」

「はい」

「大好きだぞ、ソフィア」

「はい……」


 ソフィアも、優しく抱きしめ返してくれた。


「俺は何日間寝てた?」

「えっと、二日ほど……」

「そうか。あの後はどうなったんだ?」

「それはーーー」


 







 オルガン様が魔王を倒した。

 けど……。


「オルガン様!?」


 オルガン様は倒れてしまった。

 近くに駆け寄り、抱き上げる。


「凄い熱、それに血が……」


 腹には穴が空き、凄い量の血が漏れていた。顔も青ざめ、呼吸も荒い。

 このままではまずい。


 白魔法で回復を開始する。









「「「グオオオオオオオォォォォォ!!!」」」









「ッ!?」


 魔王が倒れ、魔王の支配を解かれた魔物が自由になった。


 街へ向かう魔物。

 森へ逃げる魔物。

 魔物同士で争う魔物。

 その場で暴れ回る魔物。

 

 かなりの数を減らしたが、半分はまだ残っている。

 五万の魔物だ。

 

 その魔物の一部は、オルガンに襲い掛かる。


「オルガンを護れ!」

「だが、街に向かう奴もいるぞ!」

「森へ戻るのは放っておけ!」

「くそっ、どうする!?」

「マスター! 指示をくれ!」


 冒険者達は焦り、マカンに指示を求めた。


 その間、マカンは自問していた。


 街を護るか、オルガンを守るか。


 悩むまでもない。決まっている。

 街を護るべきだ。


 だが、オルガンは間違いなく、この戦いの英雄だ。

 彼が死ねば、この先、世界にとって大きな損失になる。


 どうする? 決断しろ、マカン!


「あらん? どうやら、お困りのようね。マカンちゅわん」


 その時だった。


 何かが降って来た。


 


























「うふん(はーと)」






























 オルガンとソフィアがいる場所に、巨漢が現れた。


 隕石のようにやってきたから、砂埃が舞う。


「っ! 皆、街を護れ!」


 だが、それを見た瞬間、マカンは冒険者達に指示を出す。


「だが化け物がオルガン達の近くに現れたぞ!」

「あの化け物は味方だ! 信じろ!」


 冒険者達は渋々、指示に従って街を護る。

 信頼できないのか、ちらちらと様子を伺いながら。


 一方、ソフィアは安心し切っていた。

 この人は信頼出来ると。

 それと少しいい匂いがする。


「あの、あなたは……?」


 気になって聴いてしまう。

 この人は間違いなく強い。そしていい人だ。


「うふん。人に名前を尋ねる時は、自分から名乗るものよ。まあ、いいわ。教えてあげる」


 途端に刺々しい匂いに変わった。


「アタシは、Sランク冒険者キャサリン・アンダーソンよん。よろしくね(はーと)」



ここまで読んでいただきありがとうございました。

ブックマークや評価(★★★★★)などよろしくお願いします。


帝国に裏切られた死霊術師ですが、何故か死の女神に惚れられました。〜死の女神の力で最強の英雄達を生き返らせて、無敵の仲間達と一緒に楽しく暮らします〜

https://ncode.syosetu.com/n2899gt/


是非、読んでください。

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