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第十九話 緊急クエスト⑤

第十九話 緊急クエスト⑤



 波のように押し寄せる魔物の群れを相手に、俺は一人で立ち回った。


「《聖剣エクスカリバー》ッ!!!」

「グギャッ!」


 最初に襲ってきたのはゴブリンだった。

 剣を持ち、槍を持ち、弓を持ち。

 素早い動きで俺を狙ってきた。


 だが。


「はあっ!」


 俺がエクスカリバーを横薙ぎに振るい、ゴブリン達を切り裂いた。


「ブギャアァァ!」


 今度はオークだ。

 体調は2メートルを越え、身体は人間の肥満体で、豚の頭がついている。

 腕力が凄まじく、殴るだけで大木を倒してしまう。

 だが、動きは鈍重だ。


「聖剣一刀流 たき!」


 素振りの要領で振るう。

 エクスカリバーは両手で持つ大剣だ。

 ただ振るうだけで、たとえオークでも簡単に切り裂ける。


 今ので二十匹。


 頭が痛い。

 だが、だめだ。

 やるしかないんだ。


 剣を振え。

 立ち向かえ。


「キュイヤァアアアアッ!」

「ぬっ!」


 次は木人、トレントだった。

 木が枝を手のように動かし、人を襲う魔物だ。

 森で普通の木と紛れられれば、簡単には見つけられない。


「ちっ」


 樹液でねちょねちょになった。

 これでは何も斬れない。


「ギュギャァアアアアア!!!」


 さらにそこに、一匹の魔物が現れた。

 コカトリスは巨大な鶏のような魔物だ。

 尻尾は蛇でできていて、毒を吐く。


「ブシャアアアア!」


 そのコカトリスが毒の霧を吐いてきた。


 右にはトレント、左にはコカトリス。

 逃げ場ない。





 直撃した。






 毒霧が晴れると、傷一つない俺がいた。

 毒霧を受ける前と違う点は、二つの巨大な盾を持っていることだ。


 白く、中央に赤い十字架が描かれた《聖盾イージス》。盾の中央に巨大な眼球が植え付けられた《魔盾アイギス》。


 俺が持つ、最強の盾の二つだった。


「祓え!《聖盾イージス》!」


 俺がイージスの能力を解放すると、毒霧が次第に中和されて行った。


 これがイージスの能力“破邪”と“絶対防御”だ。


「呪え!《魔盾アイギス》!」


 次にアイギスの能力を解放する。

 アイギスの眼球が開いた。


 カッ、と光るとコカトリスやトレント、近場の光が届く範囲の魔物全てが石化した。


 これで二百はやったか?


『オールーガーン』

「ウ……ッ!」


 声が聞こえる。

 だめだ。

 今は戦闘中だ。


 集中しろ、集中するんだ!


 それでも頭痛は止まらない。


 だが……。


「アハハハハハッ!」

「キャハハハハッ!」

「クハハハハハッ!」


 魔物は次から次に襲ってくる。

 今度はメデューサとサキュバス、そしてヴァンパイアだ。


「我ラノ邪魔ヲスルナラバ殺ス!」


 ヴァンパイアが無数の血の槍を飛ばしてきた。

 ヴァンパイアは血を操る。

 周囲の魔物が流した血も利用して、とんでもない量の血の武器を作り上げた。


「クソがっ!」


 二つの盾で防ぐ。

 絶対防御のおかげで、なんとか凌ぎ切った。


 だが、それよりも。

 コイツら……。


「言葉が通じる。……幹部かっ!」

「ソノ通リ!」


 今度は背後からメデューサが襲ってきた。

 その瞬間、俺は目を閉じる。


 メデューサは女型の魔物だ。髪が蛇になっていて、メデューサに睨まれると石化してしまうという。


 目を閉じてしまったせいで、メデューサの蹴りをまともに食らってしまった。

 勢いのまま地面を転がる。


 さらに追撃が来る。


「アハハハハハッ!」

「サキュバスかっ!」

「女王様トオ呼ビ!」


 今度はサキュバスだ。

 鞭を自在に操り、俺にぶつけてくる。


 鞭の先端はマッハを越えるという。

 見切るのは不可能だ。


 しかもこの三人の連携も中々のものだ。

 普通は崩せないだろう。


 だが俺は、強い敵に構っている暇はない。


「《魔剣フラガラッハ》!」


 今度呼び出したのは、小さな短剣だ。

 

「吹っ飛べ!」


 魔剣フラガラッハの能力は“風”。

 あらゆるものを吹き飛ばす。


「「「ギャァ!」」」


 三匹の幹部どもは纏めて、後方に吹き飛ばした。

 魔王よりも後ろだ。

 これでしばらくは戻ってこれないだろう。


「切り裂け!」


 さらに、フラガラッハを使う。

 風を剣のように鋭くし、触れたもの全てを切り裂く鎌鼬にする。


 風が吹き荒れると、そこに立っている魔物はゼロだった。

 全ての魔物が無惨に切り刻まれていた。


 だが、それでもーーー。


「はあはあ……」


 ーーー魔物の勢いは未だに衰えず。




ここまで読んでいただきありがとうございます。

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