第十八話 緊急クエスト④
俺は街の南に向けて、走った。
街を出てから、百数キロ先に奴らはいた。
街からここまで、百数キロしか離れていない。
俺がこいつらを足止めしないといけない。
ゴブリン、オーク、トロール、スライム、コボルト、スケルトン、ゾンビ、マミー、ゴースト、グール、ワイト、レイス、オーガ、ガーゴイル、アラクネ、キラービー、コカトリス、ケルベロス、レッドドラゴン、バジリスク、ワーム、エント、ドライアド、ゴーレム、リビングアーマー、デュラハン、ヴァンパイア、グレムリン、サキュバス、フェアリー、レプラコーン、リザードマン、マーメイド、メデューサ、ハーピー、セイレーン…………。
この際、ドラゴンだろうがゴブリンだろうが関係ない。
問題はこの数だ。
凡そ、十万を超える魔物の軍勢。
それを率いるのは魔王。
組織として動く、この魔物の軍勢は恐ろしく強いだろう。
「ここが俺の死に場所だな」
俺は静かに決意し、鎧を纏った。
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《魔鎧ペルセポネ》
品質:伝説級
備考:あらゆる魔法攻撃の威力を十分の一に抑える。
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俺がいつも身に纏っている、漆黒の鎧だ。
これでまあ、ウィッチ系の遠距離攻撃は無視して大丈夫だろう。
「聖剣エクスカリバー」
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《聖剣エクスカリバー》
品質:伝説級
備考:【斬撃強化】斬撃を強化する。
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そして、いつものように相棒を呼び出し、握る。
「ーーーー久しぶりに全力で振るうぞ。耐えてくれよ」
自分へ言い聞かせるように、エクスカリバーに語りかける。
心なしか、刀身がきらりと光った気がした。
「聖剣一刀流 奥義」
俺は構えを取った。
身体を後ろに捻る。
全身の力を乗せられるように。
魔物の軍勢が迫ってくる。
だが、俺はまだ力を溜める。
確実に、最大の威力を出すために。
そしてとうとう、魔物の軍勢が俺の前まで来た。
その時、俺は剣を振るう。
この剣は単なるーーーー。
「《一閃》!」
ーーーー全力の横薙ぎだ。
俺の前方にいる魔物達、その数凡そ、数千を一撃で葬った。
たかが数千。されど、数千だ。
魔物達は目の前の光景を信じられないようで、行進を止めた。
できればこのまま帰ってくれると助かるんだがーーーー。
「何ヲシテイルノダ! 進メ! 蹂躙スルノダ! 奴ハタッタ一人、何ヲ恐レル事ガアル!」
魔王の一喝で魔物達の空気が変わった。
俺を見て、確かにこいつは一人だけだと気づいたらしい。
行進を再開する。
凄まじい光と音がその場を支配した。
「さあ、始めようか」
俺は剣を握り直して、魔物の軍勢に向かっていった。
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