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第17話:Magic characteristic inspection(2)

途中書いててわけわかんなくなりました。ごめんなさい。

消すのももったいないのでそのまま上げます。

サイドストーリー感覚で読んでください。

ではお楽しみください。

「大丈夫かい?」

 そう言って腕の中にいる少女に優しく微笑む。歯がキラーン。

「は、はい」

 微笑まれた少女はどもりながらも顔を真赤にしてうなずく。

 そしてそのままじっと優しい微笑みを見つめる。心なしか目がとろんとして見えるのは俺だけではあるまい。

 なんとなく周りに妙な雰囲気――色で例えると桃色――が流れる。

 しかしそんなものは関係ない。自分にできることをやるだけだ。

 自分にできることを確認し、もう一度少女の顔を覗き込む。一応危ない所だったからな。

「本当に? 本当に大丈夫かい?」

 その問いに一度口を開きかけ、またすぐ口を閉じてしまう少女。

 すこし目が泳いでいる。

 まるでこれから自分がやることに躊躇っているかのようだ。

 が、少女は決意したのか、目をぎゅっと閉じてか細い声で言う。

「あなた様が……あなた様がキ、キスしてくれれば……」

「ええ!? ほ、本気で?」

「は、はい……」

 見れば体が微かにだが震えている。

 なけなしの勇気を振り絞ったといった感じか。

 ならば可能な限りこたえなくてはいけない、気がする……。

 周りをちらっと見てから、もう一回少女を見る。

 いまだ頬は紅潮し目を瞑っているけれど、さきほどよりもリラックスしているように見える。

 やるしかないようだ。

「……ごめん」

 そう一言断ってから、そっと彼女の額(流石に唇にする気はないらしい)に唇を落としていく――


 瞬間。


 俺の顔面に向かって拳大こぶしだい瓦礫がれきが飛んでくる。

 それを右にステップすることで回避。

 直後、背後で凄まじい音が鳴る。たぶん今かわした瓦礫がれきだろう。

 もちろん表情には出さない、が……。

 こええ! 絶対殺す気だったね、俺を。

 俺が表面上は涼しげに、しかし内心は違う意味の涼しさ(恐怖的な意味で)に震えていると、瓦礫を吹っ飛ばした張本人が俺に向けて笑顔を振りまいているのが見えた。おい、その笑顔をひっこめろ。

「ごめんね、りょうくんー。でもちゃんと秋奈あきなのこと見てなきゃだめだよ。しんちゃんばっか(・・・・・・・・)見てちゃダメー」

 そう言って、瓦礫を俺に投げつけた張本人――秋奈あきながコロコロと笑う。そしてそのまま俺の方に走ってくる。

 いやー、可愛いね。癒されるね。

 もちろん、瓦礫を投げてくる前だったらの話だが。

 というか、仕方ないじゃないですか。目の前でいきなり新夜と(・・・)見知らぬ女生徒が(・・・・・・・・)いい雰囲気になったらさ、誰でも目で追っちゃうと思うぞ。

 そう、今の今までいい雰囲気でイチャイチャしていたのは俺……では当然なく、新夜しんやと見知らぬ女生徒だった。

 場所は第二闘技場内だいにとうぎじょうない

 今はちょうど秋奈の特性検査とくせいけんさの真っ最中だったりする。

 その状態の時にあんなことをするんだから、俺の弟は侮れない。まあそれはいいや。

 重要なのは俺の現在の状況。

 そう、現在進行形で向かってくる秋奈のパンチ(なんとなく秋奈だと正拳突きとか似合わない気がする)をかわさなくてはいけない俺の状況である。

 とりあえず向かってくる秋奈の手を、自分の左手の甲に当て横にはじくことでパンチを反らす。

 そのまま空いた右手で正拳突き(俺はなんかしっくりくる)を手をパーの状態(・・・・・・・)で腹に放つ。

 あれ? 手をパーにした状態だと正拳突きじゃない気が……まあいいか。

 と、とりあえず放ったんだ。放ったんだけど……、

「あれ?」

 何故か俺は宙に浮かんでいた。

 そして何故か美夜みやとかなぎとかが逆に見えた。

 うーん、これは……投げられた?

「っが!」

 直後、背中に衝撃。痛!

 一瞬、意識が遠のく。天井がぼやける。

 このまま寝ちまおうかな……。

 そんな現実逃避気味げんじつとうひぎみな思考が頭の中によぎる。

 が、それを秋奈は許してはくれなかった。

「りょうくん、寝ちゃダメだよー。これからが本番なんだからー」

 可愛らしい声でニコニコしながら近づいてきた秋奈は、そのまま俺の足首を持ってジャイアントスイング。

 ぐるぐるぐる。すげえ、ビュンビュン、音がする。てか目が回る。

 そんな人事のように呑気なことを考えていた俺に急に解放感かいほうかんが訪れる。投げられたみたいだ。

 そのまま吹っ飛ぶ。文字通り手も足も出ない。

 とはいえ、このままされるがままはヤバいよなぁ、と吹っ飛びながら思う。

 それと同時に、何でこうなったんだっけ? と俺は秋奈の特性検査に付き合う原因を思い返していた。

 確か――――




「いや、意味分かんないんですけど」

「だからだ、お前が壱川いちかわの特検の相手をやれ」

 そう言って首を横にふりふり。やれやれってことか、この野郎。

 いや、野郎じゃないんだけどね。

 当然納得できない俺はもう一度目の前の片桐先生かたぎりせんせい(どうやら特性検査の担当教師らしい)に訊き返す。

「だから何で俺が秋奈の相手をするんですか!? 普通、先生がするでしょ!」

「そうですよ、片桐先生かたぎりせんせい。いくら面倒くさくてもしっかりやらなきゃいけないんですよ?」

 俺の思いに同意したのか、援護してくれる美夜みや

 てか、めんどくさいだけかよ! お前ほんとに教師か?

 俺の(てか、みんなの)呆れた視線に気付いたのか、片桐先生は慌てて言い訳を言い始める。

「ば、ばか、別にめんどくさいわけじゃなくて、ほら、人には適正ってものがあるだろ? あ、あたしはこう、人を試す的な? のが苦手なだけでだな、断じてめんどくさいわけじゃないぞ?」

 おい、そういうのはこっち見ながら言え。

 視線を宙に泳がしながら教師としてどうなの? と思わせるような発言をする片桐先生。よく見ると汗かいてるし、妙にそわそわしてる。

 この人嘘下手くそだなー。

 落ち着きのない片桐先生を見ながらそんな感想を抱いていると、

「いいじゃん、良くーん。おね……先生の言うとおり、秋奈ちゃんの相手してあげなよー」

 ……背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 俺はその声の主に反応するべきかしばし考え込んだあと、無視しても無駄だろうと判断し、軽く溜め息をつきながら振り向く。

 振り向いた先、いたのはやはりこの学校に来て一番仲の良い先輩せんぱい陸郷ろくごう詩織しおり先輩。

 つまり、この場に俺の朱雀での知り合い大集合ということですね、本当にありがとうございました。

 俺が内心で神様に皮肉(?)を言っていると、見事なアルカイック・スマイルの陸郷先輩ろくごうせんぱいが俺にさらに言葉を掛けてきた。ちなみにアルカイック・スマイルは昔の彫刻とかに見られる芸術表現であって、人に使うものではない……はず。ようするに俺も勉強してるんだぜ! というアピールです、はい。

「まあ、良くんの気持ちも分からないではないけど、やっぱり先生の言うことだからさー」

 と微笑を苦笑に変え、俺の思いをやんわりと戒める。

 いやでも、

「俺が相手しても秋奈の特性は分からないんじゃ――」

「さあ! 壱川いちかわ夏目なつめ! 早く用意しろよー」

「え!? 話聞いてましたか、先生! 俺が相手しても特性はわから――」

「ほらほら、良くん早くしないと他の調査やら検査やら回れないよー」

「いや、だからですね――」

「りょうくん早くやろうよー」

「もういい」

 俺は何を言っても耳を貸さない三人(片桐先生、陸郷先輩、秋奈)にキレ気味に言う。あと語尾を伸ばすな。

 しかし、俺がキレたくらいでこの三人が動じるはずもなく、

「じゃあ、夏目の許可も出たことだし」

「秋奈ちゃんと良くんで」

「決闘だー」

「……は?」

 さらに理解不能な展開に持って行かれる。

 てか、どうして俺が秋奈の相手することが決まってるの?

 なんで?

「なんで?」

 思わず口に出してしまう。

 そんな俺のまっとうな疑問に、

「だってさ、りょうくん今『いい』って言ったじゃない」

 意味の分からない答えで返す秋奈。それに頷く年上二人。

 いや、言ってないよね。

 でももしかしたら無意識に言ったのかも、と思い、俺たちのやりとりを静かに見守っている美夜や新夜たちに視線を向ける。

 俺の視線に気づいた美夜たちは、各々態度で答えを示してくれた。

 美夜は真顔で首を傾げ、やがて頭を下げる。わかりませんってことだろう。

 新夜しんやも手のひらを天井に向け、首をすくめる。美夜と同じくって感じか。

 なぎは目があったら逸らされた。……泣いてもいいかな?

 弐村にむらはこっちを見ようともせずに、横を向きあろうことかあくびしている。ぶっ飛ばしていいか?

 愛歌あいかは苦笑しながら、見つめ返してくる。わからないってことね。

 とりあえず、俺が無意識に言ったわけではないようだ。

 自分が何もしていないと確認できた俺は、未だに騒がしい三人組に向き直り反論を口にする。

「いや、言った覚えがないんだが」

 その言葉に一瞬固まり、目をぱちくりさせる秋奈。あとの二人は何がおかしいのかニヤニヤしてる。

 しばしの間目をぱちくりさせていた秋奈だったが、やがて不満げに唇を尖らせると、これまた不満げに喋り出す。

「えー、りょうくん、たしかに『いい』って言ったよー」

「いや、言ってない」

「言った」

「言ってない」

「言った!」

「言ってない!」

「言ったよ、ぜぇったい言った!」

「一回も言ってない!」

「まあまあ、そんなに興奮しなーい」

「そうだぞ、お前ら少し高校生という自覚を持て」

 てめえらが原因だろうがあああああああああ!

 人事のように話す年上アホ二人に心の中でツッコミを入れる。

 あくまで心の中。これ以上ややこしい状況にしたくない。

 俺は口から出そうになるツッコミをなんとか飲み込むと、溜め息をつきながら陸郷先輩と片桐先生の方に向く。

 二人はとても素晴らしい笑みを浮かべている。なんとなく腹がたった。

「……とりあえず、先生が秋奈の相手をするってことでいいんですね?」

「断る」

「……はい?」

 当然の事実を確認したはずなのに、返ってきたのは拒否。

 いいかげん早く特性検査をやってほしい。頼むから。

 そんな俺の気持ちを無視し先生は得意げに話し出す。

「さっき夏目は『いい』と言った覚えがないと言ったな?」

「ええ、まあ」

「でもなぁ、これではいいって言ってるんだよなぁ」

 わざとらしく語尾を伸ばしながら片桐先生が取りだしたのはデバイスだった。

 ……ピンクの。

 瞬間、辺りが微妙な雰囲気に包まれる。

 それは俺たちだけではなく、闘技場にいる無数の生徒や先生を巻き込んで。

 誰もがツチノコを見たかのような、戸惑った沈黙を漂わせる。

 その空気に得意満面の笑みを浮かべていた片桐先生は顔を真っ赤にしながら俯く。

 まあ、恥ずかしいだろうね。

 でもちょうどいい機会だし、今のうちに先生を潰しておこう。

 俺はサッと美夜と新夜に視線をとばし、意思疎通いしそつうを図る。

 俺のやりたいことがわかったらしく、二人同時にこくりと頷く。

 流石マイブラザー&シスター、意思疎通は完璧みたいだな。

 そのことに少しだけ気を良くしつつ、俺は先生に口撃するために口火を切る。

「先生……結構可愛い趣味してますね」

「うぐ!」

「そうですね、普段あんなに勇ましいのにピンクとは……」

「ううっ」

「まあ、いいと思いますよ、片桐先生がそういう好みだというのは知っていましたから」

「……」

「「「まあ、ピンクはないと思いますけど」」」

「う、うわあああああああああああああああああああん!」


 参崎三兄弟(俺は元だが)の口撃を食らった片桐先生は走って逃げて行った。


 一人脱落。

 残り二名。

 逆名探偵コ●ン、壱川いちかわ秋奈あきな

 現代に蘇るアルカイック・スマイル、陸郷ろくごう詩織しおり

 今、決戦の火蓋ひぶたが切って落とされた!

 



 ……嘘である。

 今、考えました。ごめんなさい。

 くだらない妄想回想(とはいえ半分合っており、つまりは片桐先生に教師権限で無理やりやらされた)を終えると同時に、背中に衝撃が走る。そのまま背中が摩れる感覚。それが数秒続き、ゆっくりと止まる。

 どうやら床に着地したみたいだな。……背中からだけど。

 着地した体勢――つまりは仰向け――のまま、上に見える天井をぼんやりと眺める。

 が、頭はフル回転している。

 考えているのはこれからのこと。

 どうやってこの状況を終わらせるか。

 どうやってジャックを暴きだすか。

 どうやってテロ組織の頭を潰すか。

 そして、


 どうやってテロ組織の(・・・・・)バックにいる奴ら(・・・・・・・・)を殺すか。

 

 

 

 


 

  

ええ、くっだらない話でしたね(笑)

……すいません、次回はもっとまともに書きます。

ですから次回もよろしくお願いします! 本当に!

とりあえず、読んでくださった皆様ありがとうございました。次回もよろしくお願いします(しつこい)。

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