第三日『希望』
参加者一覧
穴吹 和歌恵
稲崎 太一【死亡(初日夜)】
鏡 桜花
川淵 進
小石川 未来
軸丸 夏希
島野 黎【死亡(初日夜)】
高浦 大祐
三溝 凛【死亡(2日目夕処刑)】
湯村 哲西
鷲頭 朗真
瀬上 咲
宮田 涼
2日目夜の部屋割り情報
夜
1「穴吹―小石川」 2「鷲頭―鏡」
3「高浦―瀬川」 4「宮田―軸丸」 5「湯村―川淵」
役職一覧(人狼サイド―勝利条件は村人サイドの全滅)
人狼(3人)―毎夜同室相手の一人を襲うことができる。襲われた相手は死ぬ。パスは一回のみ。人狼同士は誰が人狼か把握しており、また常に念波によってお互い意思疎通が可能。
狂人(3人)―夜中自殺を行うことで同室相手に疑いをかけることができる
役職一覧(村人サイド―勝利条件は人狼の全滅)
祈祷師(1人)―2日目以降人狼に襲われた場合、聖水で反撃することにより人狼を殺せる。1回限り有効
牧師(2人)―人狼に襲われた場合、お守りを使って防御することができる。1人1回限り
村人(4人)―能力はなし
時間経過について
昼(議論タイム)→夕方(投票タイム。公開投票。1番票を集めた人を処刑)
→夜(ゲームマスターがランダムに選んだ人が夜一緒に過ごす同室相手を選択できる。奇数人数の場合のみ最後の部屋は3人。能力の行使は基本ここのみ)
――おはようございます。朝になりました。各自家の外へ出てください。またこれ以降、次の「夜」まで能力の行使を禁止します――
外に出てみると、どうやら今回はオレが一番早かったらしい、他の人の姿がまだ見えてなかった。
数分もすると、ぞろぞろ他の人も集まりだした。
――これで全員揃いましたね。それでは皆さん、広場へと向かってください――
人数を数えてみると、十人居た。
あれ、十人……ということは今日は……
――今日は死者が出ませんでした。ですが、まだ人狼は潜んでいます。では「昼」を開始します――
やはり死者なしか。しかし、おそらく……
「おい、聞いてくれ、俺は昨日湯村が襲ってきたから防御した。やっぱり湯村は人狼だった!」
予想通り、防御宣言が出た。
「川淵テメェ、昨日は平穏に過ごしたじゃねーか。俺が気にくわねえからってそんな嘘つきやがって。
そうか、お前狂人か!」
「んだと適当言うんじゃねえ!」
――言い忘れてましたが暴力行為は禁止です。くれぐれも紳士的淑女的な行動をしてくださいね――
「チッ何が紳士的だ。一体こいつはどこで見てやがるんだ。村をこんなにしやがって、なあ湯村。お前もなんだろ、この村メチャクチャにしたの」
「あ? お前そこまでにしろよ! なんで俺が村をメチャクチャにしないといけないんだよ!」
……これは止めるのは難しそうだ。他に防御宣言もなさそうだし、今日の情報としては、川淵さんが湯村さんを防御したと言い、湯村さんはそれを嘘だと言い張った。ぐらいに捉えておけばいいだろう。
ただ、これ以外にも一つだけ確定した事項がある。
それは、三人の人狼の内少なくとも二人は初日もしくは二日目の夜に同室しているという点だ。
今までの夜での死者や、今の防御が人狼による襲いだとしても、三つしかなく、しかもその内の二つは湯村さんが襲っているということになる。どう考えても、少なくとも一人は二日連続で襲っていない。「襲える状況で二回襲っていなければ餓死」するようなので、襲えない状況、つまり人狼同士で同室があったのだろう。
もし、川淵さん以外の牧師が狼をブロックしていたのなら、宣言しない理由がないし、同室以外では説明できない。と、言ってもこれで誰が人狼か分かるわけではなく、あくまで「人狼同士で同室があった」という情報が分かっただけだ。まあ情報はあればあるほど良い。これが後々活きてくるかもしれない。
結局今日の昼は川淵さんと湯村さんの口論だけで終了してしまった。
――さて「昼」が終わり「夕方」に移ります。日が暮れるまでに投票を終わらせますように――
さっきの昼は長々と川淵さんと湯村さんだけで口論をしていた。容疑者らしい容疑者はこの二人だけなのでどちらかに票を入れる、ということになるのだろうが……
――これで皆さんの投票が終了しました。では、投票結果を発表します。
「湯村」(八票)……穴吹、鏡、川淵、小石川、軸丸、瀬川、高浦、宮田
「川淵」(二票)……湯村、鷲頭
よって今回処刑となるのは湯村さんです。それでは湯村さん、最後に遺言として、言いたいことがあれば三分以内にどうぞ。その後は一人で南の出口へと向かってください――
「川淵、お前だけは絶対に許さないからな! 俺はただの村人です。皆さんどうか、村に勝利を、そして川淵に天誅を、どうかお願いします」
湯村さんは怒髪天を衝く勢いでそう叫んで、川淵への恨み言を言い切った後、三溝さんと同じように急に頭を押さえだし出口へと向かっていった。
川淵さんと湯村さんを客観的に比較した場合、川淵さんが人狼サイドだとすると、狂人の可能性が高く、湯村さんが人狼サイドだとすると、人狼の可能性が高い。さらに湯村さんは一日目でも容疑者になっており、言ってしまうのは憚られるが、投票先の安牌とも言えた。この結果は当然と言えるだろう。
そして遂に俺の待ち望んでいたこの時がやってきた。
――さて「夜」になりました。それでは、最初に宮田さん、誰と同室するか決めてください――
ついに来たか……ようやくだ。
「咲で」
前の二日間は二人で話せる機会が訪れなかったから、本当に助かった。ここまで二人とも脱落してなかったことにも感謝しよう。
――では宮田さんと瀬川さんは「1」の家に入ってもらいます。続いて軸丸さん、誰と同室するかを決めてください――
「高浦さんで」
「はい。喜んで」
――では軸丸さんと高浦さんは「2」の家に入ってもらいます。続いて鏡さん、誰と同室するかを決めてください――
「……穴吹……」
「え、はい。よろしくね桜花ちゃん」
――では鏡さんと穴吹さんは「3」の家に入ってもらいます。そして残った小石川さん、川淵さん、鷲頭さんは「4」の家に入ってもらいます。それでは皆さんそれぞれの家へお入りください――
「1」の家に向かい、咲と一緒に家に入った。そして三回目の夜の始まりの合図が聞こえた。
――それでは、今から「夜」を開始します――
「ようやくだな咲。話したいことは色々あると思う。夜も長いしゆっくり話し合おう」
心からの本音を話し、なんとも言えない安心感に包まれる。正直に話すというのはなんと心地良いことなんだろうか。
しかし、咲の反応はあまり良くなかった。
――確かに違和感はあった。俺が夜の部屋割りを咲に指名した時も喜ばしい表情をしていなかったからだ。
「どうして……どうして……こんなことになっちゃったの……ねぇ涼くん助けてよ……」
「どうして……なんだろうな。オレにも分かんないよ。 オレだって父さんや母さんがあんな姿になってたの、今でも思い出すと吐きそうになる。どうしてオレたちがこんな目にあわないといけないんだって。でもさ、今はとりあえず現状を抜け出せるようにお互い頑張ろう。それから考えればいいんじゃないか?」
ありのままの気持ちを伝え慰める。咲には偽りに慰めなんて要らない。ただ本音で語り合えれば良い。
――大丈夫。咲はこの惨劇で落ち込んでいるだけだ。この不安は杞憂に違いない。
『違う……違うの……わたし、もう止められない……自分が分からないの……誰も襲いたくないのに、日に日に抑えられなくなってくる……人が死んでも、もう何とも思わなくなってきちゃった……わたし、どうなっちゃうのかな……」
――ああ、この感覚はダメだ……この先は聞いてはいけない。これ以上は……きっともうオレの望む答えは返ってこない。しかし、一縷の望みに託して聞かなければならない。
「咲、お前まさか……」
咲……ダメだ……それ以上は言わないでくれ……
思考がぐちゃぐちゃになる。オレから聞いているのにオレは咲の次の言葉を拒否しようとする。しかし、咲はその涙ぐんだ目でオレの目を見据えてはっきりとこう言ったんだ。
「わたし……――人狼みたい」
――そして、オレの中の一つの世界が音を立てて崩れていった。
3日目までの動向
初日 夜
1「稲崎【死亡】―湯村」 2「小石川―宮田(主人公)」
3「鷲頭―瀬川」 4「高浦―鏡」
5「三溝―島野【死亡】」 6「軸丸―川淵―穴吹」
2日目 昼
湯村「村人CO(=カミングアウト、宣言のこと)」
三溝「村人CO→祈祷師CO→村人CO」
夕
「三溝」(七票)【死亡】……穴吹、軸丸、瀬川、高浦、宮田、湯村、鷲頭
「湯村」(四票) ……鏡、川淵、小石川、三溝
夜
1「穴吹―小石川」 2「鷲頭―鏡」
3「高浦―瀬川」 4「宮田―軸丸」 5「湯村―川淵」
3日目 昼
川淵「牧師CO。湯村防御宣言」
湯村「川淵は嘘を言っている」
夕
「湯村」(八票)【死亡】……穴吹、鏡、川淵、小石川、軸丸、瀬川、高浦、宮田
「川淵」(二票) ……湯村、鷲頭
夜
1「宮田―瀬川」 2「軸丸―高浦」
3「鏡―穴吹」 4「小石川―川淵―鷲頭」
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
この物語で使われているルールはとあるMMORPG内で実際に行われていた人狼ゲームのルールを基にしています。
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