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依頼者ー早川力也2

 視線の先には制服姿の二人の女子高生が仲良さげに歩いている。二人とも身長が高いというわけではなく、女子高生としては平均より少し低いぐらいに感じる。

 片方は短髪で、もう片方は肩に丁度髪がかかるぐらいといったところか。


 俺は物陰に隠れて二人の動向を目で追う。

遠野(とおの)(ゆい)はどっちなんだ?」


「髪が短い方だよ。長い方は一年生じゃないのかな」

 そう答えてくれたのは春風美咲。俺と共に白石から尾行という名の調査を強制させられた可哀そうな女の子。暑いのか緊張しているのか分からないが少し頬が赤らんでるように見える。


 顔を上げると遠野と一年生はショッピングモールに入っていった。


「後を追うぞ、春風三等兵」


「・・・・・・え、あ、うん」

 困ったように小さな返事を返す春風を見て、やらかしてしまったんじゃないかと思い、一気に寒気が全身を駆け巡った青春委員の足軽こと京橋龍太だった。


 足早にショッピングモールに向かっている途中で、視界の端っこで小さな男の子がおどおどしながら立っているのが見えたが気にしないことにした。


 そしてショッピングモールの中に入り込み二人を探すのだが見つからない。

 もしかしていきなり尾行失敗ですかと思っていた矢先、春風の小さな声が鼓膜を揺らした。

「二階にいる」


 俺は急いで上を見上げると、どうやら遠野と一年生は目の前のエスカレーターを使って二階に移動したようだ。

 俺と春風はすぐさまエスカレーターに乗り込む。


 今回の遠野唯調査は彼女が何が好きなのかなどを知るために行われている。友達である春風に聞いてしまえばこんなことをする必要もないのだろうが、一緒に遊ぶ友達によって色々と見せる側面が変わってくるというのもある。

 例えば、この友達とカラオケに行くときはアニソンを歌わず、あの友達とならアニソンを心置きなく歌うといったような感じだ。


 春風情報によると、遠野唯はこのショッピングモールに来ると必ずフードコートにあるアイスクリーム屋に足を運ぶそうだ。しかし、今回は春風と遊ぶのではなく、同じ部の後輩だ。もしかしたらフードコートに足を運んだとしても、アイスクリームではなく山盛りのラーメンに舌鼓を打つのかもしれない。


 そう言った具合に、兎にも角にも遠野唯について知らなければいけないのだ。意味があるのかは俺に聞かないでくれ。


 まず初めに遠野と一年生が入ったお店は服屋さんだ。この辺りはファッション街という事もあり次に入ったお店も服屋、その次も服屋といったように服屋巡りをのんびりと行っていた。


 俺と春風はバレないように、向かいの店の奥から二人を観察していた。店の人から不審な目で見られていたが、気にしないように努めた。


「春風とここに来るときも服屋を巡るのか?」


「うん、そうだね。いつもと変わらない」


「そうか」

 この会話だけでは分からないと思うが、俺はやはり春風との間に距離感があることをひしひしと感じていた。いや、距離感というよりはもう少し違う何か分からない有耶無耶なような。うん、距離感だな。

 どうしたものかなー。

 白石から仲良くなれと言われたのだが、そんな簡単にはいかない。会話をしないと仲良くなれないなと思いちょくちょく話しかけるのだが、感じていた距離感はまだ埋まるような気配を感じさせない。


 それからも服屋巡りは終わることなく続き、俺はたまたま見つけたジーンズを見てこれいいじゃんと思い、しれっとレジに並んでいると春風がジト目で見てきているのを感じていたりした。

 結局、俺の左手には先程ジーンズを買ったお店の袋が握られている。

 結局、遠野と一年生は服を買うことなくフードコートへと向かった。


 二人は案の定例のアイスクリーム屋でアイスを買うと近くの席に座った。

 俺と春風は二人を観察できる離れた席に座る。


「アイスを買ってからフードコートにはいつもどれくらい滞在してるんだ?」


「一時間はいつもいると思うよ」


「そっか」

 一時間もあれば十分か。これだけ遠野たちとの席は離れている。さらにここはショッピングモールのフードコートなので人が多く話声もある。つまり、最初から俺には遠野たちの会話を聞こうとする気がないのだ。

 狙いは一つ。目の前で少しもじもじしながら遠野たちの方をちらちら見ている春風美咲と仲良くなるためのイベントだ。


 考える、どうすれば会話がポンポン繋がっていくのかを。しかしなかなか思いつかない。くっそ、コミュ力モンスターたちなら何て話しかけるんだ。

 考えあぐねた結果当たり障りのないようなどうでもいいようなことを聞くことにした。

「春風ってさ、なんで青春委員に入ったんだ?」


 春風はきょとんとした表情をしてからゆっくりと口を開けた。

「私ね、実はバレー部なんだ」


「ん?確か青春委員になると部活はやれないんじゃ」


「そうだよ。一年の三学期に部活の先輩からちょっと嫌がらせを受けてね、今は休養中ってことになってるの。まあその先輩は停学中で、部活を辞めさせられたんだけどね」


「ほ、ほう」

 なんか思っていたよりも重いのが来てしまった。


「まあ私がその先輩のポジションを奪ったのが悪いんだけどね」

 とほほほとでも言いたげに春風は呟いた。


「春風は悪くないだろ」


「でも私がその先輩からポジションを奪わなかったら、」


「だから、悪くないって。春風は自分の実力でそのポジションを先輩から奪ったんだ。なにも悪いことなんかしてないよ」


「そうかな」


「そうだろ」

 やっべー、勝手に知ったような口で言ってしまったが大丈夫か。

 不安になる俺をよそに春風はどこか落ち着いた雰囲気だった。


「私は今、顧問の先生に勧められて部活を休養中なの。身体的じゃなくて精神の方でね」


 休養を勧められるぐらいだ。春風はオブラートに包み込んでるが、もしかしたらかなり酷い嫌がらせだったのかもしれない。


「青春委員は一年の三学期から活動開始ってのは知ってるよね」


「ああ、それは知ってる」

 青春委員は一年の三学期から活動が開始されるのだ。これはある程度生徒同士が仲良くなるのを待ってからじゃないとカップルなんてできるわけないだろ、ということからである。


「ちょうど、青春委員があと一人人員を欲していて、このままじゃ抽選になるから、休養中の間だけでいいから青春委員に入ってくれないかって言われて入ったの」


「うん?それだと春風はその休養が終われば青春委員を辞められるということなのか?」


「そうだよ。そしてもう、その休養期間は終わってるんだ」


「つまり、いつでも青春委員を辞められるってことなのか」


「そうだよ。でも、まだ部に戻る気にはなかなかなれなくって、顧問の先生からは今月末までには決めてくれって言われてるの」


「そっか」

 この学園は部活動にも力を入れている。その中で春風は一年の時点でポジションを奪えるほどの選手だ。多少のブランクがあっても取り戻せるだろう。

 それに、春風が青春委員に残るという選択肢を選んだところで彼女には何のメリットもないだろう。

 彼女は可愛いので青春委員を辞めてすぐにでも彼氏を作るのも簡単なことだろう。その時は是非青春委員を御贔屓にしてもらいたいとこだ。


 春風は伏し目がちに、ねえと呟き。もじもじと照れくさそうに言った。

「京橋君のこと教えてほしいな」

 

 思わず俺はドキッとした。その雰囲気でそのセリフは駄目だろ。

「・・・つーてもな。俺のことなんて教えることないだろ。青春委員に入った理由も昨日の抽選なわけだし」


「むうう、そうだね」

 春風は頬を膨らませながら考えている様子だ。

 あ、これ可愛いな。思わずそう思ってしまった。青春委員でもこういう感情を持つのは問題ないはずだ。

 

 しばらくして、春風はぱあっと何か思いついたように顔を輝かせると。

「じゃあ、どういう風にこの学園に入学したの?」


 春風が聞いてきたのはこの学園の入学方法だろう。普通の高校などなら一般入試やスポーツ推薦などがあり、この学園も似たような形式なのだが色々と特殊である。


「俺は、・・・・・・スポーツ入試法だ」

 言うべきか少しためらったが、俺だけ何も言わないというのはなしだろう。


 俺の予想通りというか、春風は驚いた顔をしていた。

「え!そうなの?でも部活はやってないよね」


「ああ、やってないよ。まあ、ちょっと足首と膝を痛めちゃってな、もうそのスポーツはやらないって決めてたんだよ」


「ごめんね、あまりいい思いしないこと聞いちゃって」


「いや、それは俺も同じだろ。それに、もう終わったことだからいいんだよ」


「そっか。あと一つ聞いていい?」


「一つと言わずいくらでも」


「ありがと」

 そう言って彼女は椅子に座り直し真剣な表情になる。

「そのスポーツをやめて後悔はしてないの?」


 俺は返答に困った。うーんと唸り声を上げながら腕を組んで考える。

「後悔はしてないって言ったら嘘になるんだよな。でも俺が選んで決めた道だし、あいつにこんな弱音言ったらぶっ叩かれるし、・・・。分からないな。後悔してないともしてるともはっきり言えないんだ」


「そうなんだ」


「でもさ、誰かが勝手に決めてそれに従うって選択はしてないわけだし、結局は自分でこの道を選んだわけだから。後悔は思ったほどないかな」

 すごい抽象的な返答だったと思う。自分でもはっきりと答えを出すことができなかった。けれども、春風は真っ直ぐに俺のことを見ながら聞いてくれていた。

 目が合い二人の距離感が近くなっているような気がした。


「私も、自分で決めなくちゃ」


「え?」


「あ、ううん。こっちの話だから気にしないで」

 そう言った春風は笑みを向けてきた。


 互いに痛みを見せつけあうことで仲良くなれることもあるんだなと思い、この遠野唯の調査は案外俺にとっていい方向に転がったのではないかと思った。

 うん?遠野唯の調査・・・・・・。


 俺はゆっくりと首を動かして、アイスクリーム屋近くに座っているはずの遠野と一年生の方に目を向けると、二人の姿はいなくなっていた。

 ・・・まずい。お喋りしてたら見失いましたとか白石に言ったら『尾行もろくにできないの?』と絶対あいつに馬鹿にしたような表情で言われるに決まってる。ていうかまだ三〇分も経ってないぞ!


「春風!遠野が消えた。二手に分かれて探すぞ!」


「うん!でも、どうやって連絡とるの?」


「そうだったな」

 俺と春風は互いの連絡先など知る由もない。ならどうするか、答えは一つだ。ポケットからスマホを取り出し。

「ライン、交換しとくか」

 何だかよくわからない気恥ずかしさがあった。

 それに、いきなり苦手意識を持っているであろう相手に言われたらさらに警戒されるかもしれない。

 

 だが、そんな心配は不要だった。

 うんと呟くと、春風はすんなりとスマホを取り出す。

「それじゃQR出すから読み込んでね」


「お、おう」


「どうしたの?」


「いや、なんもないって」


「変なのー」

 彼女はそう言って笑い、すんなりとライン交換をしたのだった。


 それからというもの、二手に分かれて遠野を探したのだが行方は知れず、ただ時間だけが過ぎていった。ついには、春風から連絡が入りもう諦めようという結論に至り二人してショッピングモールの出入り口付近で落ち合った。


「今日のことは白石には内緒だぞ。いつも通り過ぎて特に新たな情報になるようなものは何もなかった、これでいこう。完璧だ」


「うん、そうだね。二人だけの秘密だね」


「そうなるな。それじゃ帰るか」

 そう言って今日はもうお開きという事にした。といっても、途中までは一緒らしいのだが。

 ショッピングモールを出ると街灯に明かりが灯っていた。気付いてないだけで、時間は経ってたんだな。


 まだ四月なので夜風は寒い。ちゃっちゃと帰って温かいものでも作るかと思っていると、見覚えのある男の子が視界の端で立っていた。

 あの子・・・。


「悪い春風。ちょっと用事思い出したから先帰っててくれない?」


「急にどうしたの?別に用事もないし付いていくよ?」


「結構時間かかるかもしれないし、男には男にしか分からないという悩みがあってだな」


「ふふっ。何それー」


「女子トイレの個室にある三角コーナーが男子トイレにはないぐらい大事な話をしてるんだぞ」


「え、ちょっと待って。なんでそんなこと知ってるの。女子トイレに入ったことあるの!?ていうか三角コーナーが何か知ってるの!?」


「もちろんだとも」


「わーわー、変態!セクハラ!もう私帰るからね!お大事にー!」

 春風はそう言って帰っていった。

 今日で大分仲良くなれただろう。別れ方は酷いと言えるが。


 さてと。俺はゆっくりと目線の先にいる男の子の前まで歩いて行った。このショッピングモールに入る時からいたよな、どれだけ時間が経ったって思ってるんだ。

 俺はしゃがんで男の子を見上げるようにして言った。

「どうしたんだい?お母さんとはぐれちゃったりしたのかな?」


 男の子は無口で喋らずに頷いた。泣きそうになっているのをぎりぎりで堪えているということはすぐに分かった。


「どこではぐれっちゃたのか分かるかな?」


 男の子は唇を震わせてボロボロになりながら話し始めた。

「こ、この、おっみせの、中の、ほ、ほん、・・・本屋さん。待ってなさいって、言われ、て」


「そっか。本屋さんで待っていたけど、なかなかお母さんが来ないから不安になって探し回って、飛び出しちゃったってことでいいのかな?」


「う、ん」


「そっかー。じゃあ、一旦このお店の中に戻ろっか。もしかしたら、館内放送してるかもしれないし、ここじゃ分からないからね」

 俺はそう言って立ち上がって、その子の手を取りショッピングモールに戻るとするのだが、ここからは動かないぞという意思のこもった力で引っ張られた。


「ここ、から、入ってきた。から、ここにいたら、お母さん、くる」


 なるほどね、そういうことか。

「じゃあ、お兄ちゃんが探してきてあげるから、名前教えてくれるかな?」

 この子を探す館内放送が入っているのなら、せめて俺が名前を聞いてサービスセンターなりに聞きに行けば解決する話だ。


 だが男の子の握る手はより一層力強くなり。

「いか、ないで。一人、は、怖い」

 震える声で、今にも崩れ落ちてしまいそうだった。


 そうきたかー。俺はどうするか少し考えたが、考えるのを止めた。

「よっし、分かったよ。お兄ちゃんもここにいるから、一緒にお母さんを待とうか!」

 乗り掛かった舟だ。そう思って耐久コースを選んだ。今晩の夜ご飯は牛丼屋コースで決まりだな。

 男の子の手から力が抜けていくのを感じ、俺は微笑みながら隣でしゃがみ込んだ。

「今日はお母さんとお買い物しに来たのかな?」


「うん」

 恐怖が和らいだのか、先程よりも口調ははっきりしている様に感じる。


「何か買ってもらったのかな?」


「これだよ」

 そう言って男の子は背負っていた小さなリュックを地面に置いて、中から可愛い小さな袋を取り出した。袋から察するに、女の子向けのお店のような気がしていると。

「プレゼントするんだ」


「友達の誕生日とか?」

 

 男の子は力強く頷く。そして、今の俺には言えないことをはっきりと言い切った。

「あやちゃんに告白するんだ!」


「そっか。頑張れよー」

 俺は男の子の髪の毛を右手でくしゃくしゃになるように撫でながらつい頬が緩んでいた。

 男の子はやめて欲しそうに手で払いのけるが、俺はやめずに撫で続ける。眩しく見えてしまったのだ。


 するとそこへ、聞き覚えのある声が割り込んできた。

「ちっちゃい子いじめて何してるの」


「いじめてなんかねーよ」

 俺はそう言って、目の前で立っているジト目の春風を見上げた。

「帰ったんじゃなかったのか?」


「途中まではそうだったんだけど、なんだか気持ち悪くなって戻ってきたの」


「吐くならトイレで頼むぞ?」


「そーゆことじゃないから!」

 春風は顔を真っ赤にさせて頬を膨らませた。しかし、呆れたようにため息を吐きだして男の子を見て。

「迷子なの?」


「そういう事だ。・・・あ、そうだ。今からこの子のお母さん探してきてくれない?」


「いいよ。でも、どうやって探すの?」


「この子の名前とお母さんの名前を聞いてモールのサービスセンターとかに行って伝えるだけの簡単な仕事だ。ここにお母さんを呼び出してくれ」


「サービスセンターとかじゃなくて、ここに呼ぶの?」


「細かいことはいいから。頼んだぞ春風二等兵」


「その呼び方何なの?」

 そう言いながら苦笑し、春風は男の子から名前を聞いてショッピングモールに軽やかに走っていった。彼女は嫌そうな表情を一切見せることはなかった。


 事の顛末としては、五分もたたずして男の子とその母親は再会した。

 俺と春風はその男の子の母親から何度もお礼を言われ、制服を着ていたこともあってか通っている学園にもお礼の電話をさせてもらいますねと言われたところで必死に止めに入った。

 その後、怒る母親と、悪いのはお母さんだと言い張る男の子を様子をしばらく眺め、別れ際に俺は男の子に、頑張れよと声をかけたのだった。


 

「はあー。今日は何だか濃い一日になったねー」


「そうだな」

 俺は隣で伸びをしながら並んで歩いている春風に向かって答える。

 彼女の表情は心なしか満足で満たされているような表情だ。だが、不満そうな顔をして俺の顔を見る。

「で・も・ね。ああいう時は一人で解決しようとするんじゃなくて私も頼ってよね。迷惑だなんて思わないから」


「どんな時だよ」


「分かってるくせに」


「なんのことだかさっぱりだ」

 知らん顔を貫き通す俺をよそに、春風は頬を膨らませてむうううと唸っていた。そんな彼女を見てつい笑みがこぼれてしまう。

 そして俺は何の気もなしに独り言のように呟いていた。

「春風って優しいよな」


「そんなことないよ」


「そんなことある。なんで優しくできるんだ?」


「・・・優しくされるのが好きだからかな。だから他の人にも私は優しくありたいと思う。それに、優しい人を見ると私の心も温かくなるんだ」


「なんだ。結局、自分で私は優しいって認めてるじゃないか」


「むうううー。いじわる!意地悪する人は嫌いだよ!」


「へーへー、そうでございますか」

 そんなどうでもいいやり取りをしていると、気が付けば駅についていた。

 俺はこのまま徒歩なのだが、春風はここから電車らしい。丁度、春風が乗るであろう電車がホームに向かって来た。

 今から走ればぎりぎり間に合うかもしれない。


「じゃあ、また明日ねー!」


「おう」

 俺はそう答えて慌てるように駆けていく春風の姿を見失うまで眺めていた。

 彼女ともっと仲良くなりたい、沸き上がった感情を俺は一人で抱えた。

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