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4話 Start

「世界旅行か、うん。いいよー。」

『え?いいんですか…?』

 自分で言っておいてなんだが、この願いはしっかりとした終わりがない。当然すぐには終わらない。

「いまさら焦ってないからね。今までの人生を考えてみれば100年以内に叶うとしたら早いもんだよ。」

 なるほど、さすがは不老不死。時間感覚が違うんだなぁ。でも…世界旅行って

『言っといてあれなんですけど…二人っきりですか……?』

 ぜっったいにだめだ…初めて会った男の人と二人っきりで世界旅行とか…しかも、提案したのが私とか…恥ずか死ぬ!私が先に死んでしまう!

「え?そのほうがいいならそうするけど…リーベたち連れてった方が良くないかい?」

『お願いします!リーベさんたちも一緒でお願いします!』

 あれ?なんか、トートさんと二人っきりになるのを嫌がってるみたいになっちゃった。

『別にトートさんが嫌なわけじゃないですよ!ただ…会ったばかりの男性と二人っきりってのが…』

「あはは、それなら良かった。安心したよ。うん、僕も女の子と二人っきりだと緊張しちゃうからその方がいいな。」

 とても可愛らしい笑顔でトートさんはそう言ってくれた。かわいらしい顔であんな笑顔をしてたらそんじゃそこらのマダムを落とせそうだ。少なくとも魔王と呼ばれる人には見えない。

「それではそろそろ行きますか。」

『え?』

「うん、そうだね。」

『え?!今?!』

「「うん。今。」」


 世界旅行を言い出して10分。私たちはすでに隣町へ向かっていた。少し怖いのは何故かすでに旅の準備が終わっていたことと、これから合流する別の従者の人について聞いたら…「ソフィーさんに危害を加えないようにはするね」って言われたこと。しかし、そんな恐怖は初めての馬車という興奮でかき消された。



 馬車を利用したことで一日もかからずに隣町である『バリヤース』に到着した。町は木々に囲まれている。防衛のための壁がないのはすぐ近くに国軍の基地がある私の故郷『セーノリアス』があるから。…今日、トートさんによってほぼ壊滅したけど…

 隣の町でのあの一件。悲劇と言ってもいい事件が起こったにもかかわらず、何故か特に騒ぎになっていなかったのはありがたいことではあったが、別の問題が一つ…

「なんで僕が留守番なのさ!」

「あなたのその恰好は目立ちすぎるでしょう。だから、これからのために全員分の服を買ってくるんですよ。」

 トートさんは真っ黒のローブに真っ白な髪。オッドアイなのもあってかなり目立つと思われる。従者の方々の服装は(仮面以外は)まぁそこまで目立たなそうだし、髪色や目も黒か茶色なので大丈夫そう。私の髪は…うすい桃色だけど。

「ソフィーさんのはフードがついてるので良いですよ。」

「じゃあ僕もローブ被ってれば…」

「それはそれで目立つでしょうが。」


 結局、私とリーベさん、アインさんとツヴァイさんで街に入り、トートさんと(見張りとして)ドライさんは町から少し離れた森で待機することになった。


 町の中はずいぶんと賑わっていた。それもそのはず、私の人生を大きく変えた「魔法種判別検査」、これによってすべての子供の将来は大きく決まる。この辺りの人は検査のためにセーノリアスに集まるが、この距離だから検査を受けてすぐに出発してればもう帰ってきている。ほとんどの子は検査後に魔法を使えるようになるから検査を終了した子供が帰ってきた町はだいたいお祭りになる。さっきの事件もあんなに観衆が多かったのはみんなお祭りで外に出てたからだろう。それがあんなことになってしまって申し訳ないけど…


「お嬢さんがた、何本か買ってかないかい?」

 そう言って私たちに声をかけてきたのは露天商のおばあちゃん。

「今日はお祭りだからね。安くしてあるよ。」

 売ってあるのは鳥の串焼き。値段は普通に買った時の半分くらいだった。

『こんなに安くて大丈夫なんですか?』

「なぁに、この日は毎年どこもこんな値段さね。うちも孫娘が検査でね。なんでも父親と同じ属性だって家族みんな家で大騒ぎさね。私もさっさと売り切って孫に会いに帰りたいのさ。」

 子供が親と同じ属性になることは多く、そうなると子供が親の仕事を引き継ぎやすいので喜ばれることがほとんどなのである。ちなみに私の母はちょっと水出せるだけだった。父がどんな属性なのかは分からないけど。


 その後もいろいろなお店を回ったが、どこも格安で、目当てだった衣服、他にも旅に必要な物の買い出しも無事終わった。リーベさんを見る限り金銭面に不安はなさそうだけど、お金がかからないに越したことはない。本当はもう少し見て回りたいが、早く移動しないと軍の追手が来るかもしれない。せっかくお祝いムードなのに私がいると迷惑をかけてしまうかもしれないので、今は出来る限り早く遠くに行きたい。

「じゃあそろそろ戻りましょう。あの人が我慢できてるうちに。」

『分かりました。』

 まぁ、ある程度旅したらこの町にも戻ってこれるかな。時間ならあるし。


 …あれ?なんだろ…()





          続きます

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