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大地に立つ

「今の君は木を器にしているから動けないんだ。世界樹の君なら生き物なんかの器をイメージすれば実体化が出来るはずだよ。」


スライムはあっさりと言う。体の感覚が無いだけでこんなにイメージするのが難しい。走るイメージなら何とか出来そうにあった。一瞬視界がぶれたと感じると身体の感覚があった。夢じゃなかった‥‥つい今しがたまで夢の中の一幕に居るだけだったのが、言い様の無い不安と喜びがどこからともなく現実味と共に押し寄せてきた。

「手も足もある。まるで生身の体みたいだ‥‥」

血が通っている、心臓の鼓動がやけにうるさく聞こえた。

スライムは好奇心から尋ねてくる。

「どうやら君は目覚めたばかりのようだけど、これからどうするんだい?」


私は返事に困っていた。夢だと思っていたら現実で、知らない世界に放り出されむしろどうしたらいいか聞きたいぐらいだった。

「私はこの世界の事を何も知らないのです。だから何をしたらいいのか、何をすべきなのかまったく分からないのです。もし良ければこの世界の事を教えていただけませんか?」

物憂げにゆっくり答える。


「そうだね、少しの間なら君に付き合うのも楽しそうかもしれないね。僕が知る範囲で良ければ話をしよう。」


「今居るここは、ランパード大陸のフィゴの森と呼ばれていて大陸の1番端にあるんだ。森の殆どが木と草しかなく魔力を宿すものが皆無だから、魔物は数えるほども居ないよ。近くに村や王国も無い。僕も友達に頼まれてここに来たんだけど、近くの村でも行くには歩いて10日位かかるかもしれない。そんな訳で人も殆ど寄り付かないかな?何せ森に行くのに食糧や荷物は大量に準備しなくちゃいけないだろ?でも来てみたら普通の木とありふれた薬草位しかないんだよ。」


どうやらとても寂しい森らしい、逆に言えば開拓し放題じゃないのか。いまだ開拓されていないのは人工が少ないからなのか、大陸が広いからなのか‥‥

「たまに魔法やスキルの修行に来る人間も居るらしいが、今の人間達は戦時中だからね遊んでいる暇はないだろうさ。」


修行を遊びだなんて、スライムさんは強い魔物なのかも知れない。

「君も僕とここで遊んでいくかい?そうしよう、それがいい。」


一瞬、背筋がゾッとした。

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