第1の街 カセイルへ
色々と矛盾点とか色々あると思いますが、孫を見る気持ちでいてくれたら幸いです。
あかん…頭痛が収まらない…
「うっわぁぁぁ~ 、すっげぇぇえええぇ〜」
実年齢と不相応(まあ見た目は7歳くらいなんだけどね)な声を出してしまったが、そこには叫ぶに値するだけの景色が広がっていた。どんなものかと言うと、見渡す限り、緑緑緑の一点張り。まあ平たく言うと草原ってやつだ。
「いや~、まさかここまでとは… 」
正直驚いていた。まあ歩きやすくて良いんだけど。そういえばレーシーが、あの森は外から見えないとか言ってたけど実際どうなんだろうか。少し気になって振り返ってみると、ほんとに全く見えなくなっていた。
「あれ、どうなってんだよほんと… 」
と、まあ少し驚きつつもレーシーに言われた通りにひたすらにまっすぐ歩いていると
(ドスッ ドスッ ドスッ ドスッ)
あれはまずい。俺はそう思い咄嗟に逃げ出した。まだ遠いがそこには俺の2~3倍はあろうかという巨大な熊のような動物が歩いていた。これは小さい体が功を奏し、地面にうつ伏せになり草の間に身を隠すことが出来た。
「… なんだよあれ。前世でも見たことないぞ。」
思わず声が出てしまったが、それも仕方が無い。マジででかいのだ。あれが、魔族か? いや、でも魔族は人型で言葉話すって言ってたしなぁ。うーん。あんなのがいるなんて聞いてないぞ。とりあえずこの状態でやり過ごすしかないか。うわぁ〜 めっちゃ怖いっすわ〜。うわっ!まずい、こっちきやがった。どうしようどうしようどうしよう。
「…………………… 」
そこで俺がとった行動は、伝家の宝刀『死んだフリ 』だった。微動だにせずそいつをやり過ごす気だった。しかし
(ピタッ)
そいつは俺の目の前で突然止まったのだ。そして俺の匂いを嗅ぎ始めた。
(スンスンスンスン)
まずいまずいこれはまずいバレるバレるバレるバレる。これはあかん、緊張の余り変な汗かいてきた。動かないように、息を止めて… そうしているうちにそいつは俺の匂いを嗅ぐのを止め、何処かへ過ぎ去っていった。
「ふぅ〜… 何なんだよあいつ。さすがにサイズ感おかしいだろ。」
もしかして、アイツみたいな化物がまた出るのか と思うと、ため息しか出なかった。
――――――――――
しかし、その先の道では、想像とは違いあんな化物は現れなかった。ただ、何も現れなかったという訳ではない。とても小型の、弱い動物が数匹現れた。前世でいうイノシシや、ウサギの様な動物が大半だった。襲ってくるもの、襲ってこないもの、両方いたけど、襲ってきた方はレーシーの森の枝で作った剣でほとんど一撃で仕留められた。それによって、俺は糧になる肉類を確保することに成功したのだった。
時間はお昼時… なのだろうか。太陽が高く登っているから恐らくそうなのだろう。前世と同じならば。ちょうど腹も減ってきたことだし、昼食を取ることにした。メニューは至ってシンプル。倒したイノシシとウサギ的なやつと肉を魔法で焼いて食べるだけだ。
「…… 美味い。」
正直想像以上だった。肉は柔らかく、それでいてしなやかな歯ごたえがあって、味付けがなく不安だったが、ほんのりと付いている塩味が、食欲をそそった。ひとしきり食べたあと、暫く座って休んでいると、隣を馬車が通りかかった。
「おい、子供がこんなところでどうしたんだ?親御さんはどうした。」
子供とは失礼な輩だ。俺は立派な… あ、そうか。俺の見た目今少年だったんだわ。気を取り直し
「カセイルという街に向かっているんです。親はいません。あ、この方向であっていますか? 」
「おう… すまん。無頓着に聞いちまったな。カセイルは俺も向かっているところだ。良かったらお詫びも兼ねて一緒に乗ってくか? 」
「いえいえ、お気になさらず。」
そう、この世界に親は存在しないので、ほんとに気にしなくていいのだ。
「本当ですか! そしたら乗せていただけないでしょうか。ちょっと先が見えなくて辛かったんです。」
「おお! 子供一人くらいなんのもんだいもねーよ。ところで坊っちゃん、どこから来たんだい?」
まずい… なんの答えも用意してなかった。こうなったら適当に
「え… えーっと、大陸の南の方です…」
「おお!そうか!そりゃはるばるご苦労さんだ! 」
「ちなみにここは大陸のどの辺り何ですか?」
「結構北の方だ。ところで坊っちゃん、その骨はいったいなんの骨だい?」
「え?」
あ、すっかり忘れていた。危ない危ない。食べた後の骨をポイ捨てするところだった。
「この辺に出た動物を狩って食べたんですよ。」
「え?… 坊っちゃん見た目と違って強いんだなあ。感心したぜ。」
あの動物クッソ弱かったけどなぁ… あれれー?
「えへへ~ あ、そういえばさっきめちゃくちゃでかい熊のような動物がいたんですけど、何だか分かりますか?」
「え?… 坊っちゃん、それってどのくらいの大きさだったか分かるかい?」
突然おじさんの声が真剣になった。俺、何かまずいこと言ったのだろうか。
「えーっと、大体僕の2~3倍くらいでした。」
「うーん…」
おじさんは突然深刻な顔になったかと思うと、口を開いてこう言った。
「坊っちゃん、急いでカセイルに行くぞ。」
――――――――――
「おじさん、結局あの熊は何だったんですか?」
「恐らくだが、それは魔獣だ。」
「魔獣?」
「ああ、最近…と言っても50年程前からだが、突然現れ始めたんだ。始めは大型動物だと思ったが、奴らには一定の知性がある。奴らのせいで相当数の犠牲が出ている。だから現れたら近くの街にすぐに知らせなきゃいけねーんだ。」
50年前ね… 道理でレーシーが知らなかったわけだ。あいつ100歳はとっくに超えてるって言ってたし、長いこと森の中にいるって言ってたしな。
「その魔獣ってやつは何で現れたの? 」
「まだ詳しくは解明されてねーんだ。ただ、大気中に漂う魔力を偶然吸収した動物だって説が今のところ1番有力なはずだ。」
世界を救うなら、あんな化物も倒さなければならないのだろうか。なんか突然不安になってきた…
「お、坊っちゃん。話は後でな。そろそろカセイルだぞ。」
お、見えてきた。おお!なかなかいい街じゃないか! 今まで草原ばっかりだったから正直期待してなかったけど、建物も沢山あるし、街も夜なのに明るかった。
そうしているうちに第1の街、カセイルに到着した。
ここで新しい種族、魔獣登場!
この後の物語の展開やいかに!