004話
安土駅
「安土」言うたら「アレ」しか無い!
「安土城」
今回の目的地や。宝玉の場所の写真は、よく分からんけど天主(安土城だけ「天守」や無くて「天主」なんやって!「へぇー」思うんやったらこの小説の評価を上げゲフンゲフン…………)の跡地。安土山山頂やと思うんよね~~。で、ゾンビの彷徨く駅をスーっと通過して、他のんに見つからんよう歩くような速さで安土山へ向かう。
「やっぱゾンビ多いな~。今までとは比べ物にならへんで。」
うちは今、「安土郵便局交差点」に居る。この先のスーパー辺りまで行ったら、そりゃゾンビも居るやろと思っとったけど、まさかここで観光バスが事故ってゾンビ大量発生は予想しとらんかったわ。
「しゃあない、迂回してっ!!!」
迂回しよかー。ってクルンと回ったら、さぁ困った。幼稚園生ゾンビ30ちょいが近づいてきよった。それもバレとるらしく、さっきの観光バス客ゾンビも段々近づいてくる。
「………………脇道無いし…………これ、詰んどらへんか?」
虎穴に入らずんば虎児を得ずとか、ようゆうけど、これそんなこと考える前に死亡一直線やないかい!!そもそも大きい成功狙うんや無いんや、こっちは生き残り懸けて頑張っとんねん!!せやけど、あれやな……
「どないしょ。本気でどうしようもないわ。」
武器はリュックにぶっ刺した金属バットと普通の包丁。それだけや。
「これで殺れ言うてもなー………………はぁ~。しゃあないな。やれるだけやろか!」
観光バス客ゾンビ40ちょいは、後10秒もせんうちに追い付くやろ。せやから追い付かれる前に幼稚園生ゾンビん中を突破する!!
すっ。と、バット出して右手に持つ。
「悪いけど。そこ、退いてもらうで!!」
一気にペダル踏んで、幼稚園生ゾンビに突っ込む。
「そいやぁっ!!」
すれ違い様にバットで殴り飛ばす。片手運転やったからバランス崩したけどこんな程度で倒れるほどうちの身体は柔やない。
「てやっ!」
左足掴んできたゾンビを蹴っ飛ばして、もう1体のゾンビをバットで殴り飛ばす。
「よしっ!穴開いた!!」
そりゃ、一気に3体のいたら穴も出来るわな。
「ほな、さいなら~~~!!」
バット抱えたままチャリを加速させる。客ゾンビは幼稚園生ゾンビにぶつかってストップしとるみたいやな!いや~よかった!これなら逃げきれそうや!
そっからは、ぐるーっと迂回して、ゾンビをかわしつつ川を渡って、安土城(安土山)の麓に着いた。
グ~~………………
「………………お昼食べよか。」
朝食べてから道に迷ってゾンビに追われて戦ったから、昼前やのん、もうお腹が鳴り始めとる……
「腹が減っては戦が出来へんもんな。ちゃっちゃと食べとこ。」
今日のお昼は、行きのコンビニで取ってきた「某温めなくても食べれるカレー」とごはん、それと缶詰のみかんや。
温めんくても食べれるカレーをごはん(もちろんこっちも温めんで食べれる。その代わり水に浸さんとアカンねんけどな。)にかけて、ぱくぱく。
「うん。普通に美味しい。せやけど、辛口でこれか~。これやったら激辛口とかあったらええのんな~」
そーいや昔、誰やったか忘れたけど「ちか(うちのあだ名)、辛いの好きやね」って言われた気がするな~。
誰に言われたどころか、何時の話やったかも思い出せんけど……
ま、別にええわ。忘れとっても。いつかは思い出すやろうし、最悪思い出せんでもええわ。どうせ、もう居らへんのやし……
「よしっ!糖分も摂れたし、山登ろか!」
正面から登ったらゾンビが多そうやから、チャリ置いて、適当な木の間から入って山頂の道に沿うように進む。
予定やった。
「道沿い言うても………………これ全部ゾンビかいな…………」
今、うちの顔はどんなんなっとるんやろ?おおかた真っ青やろうけどな。
「道全体にゾンビとか…………どないして行けっちゅーねん。1体1体ボコせって?無理やろ。何体居る思っとんねん!」
「「「ザッ」」」
「あっ。やらかしたかも…………」
また大声あげてもうた!ゾンビもメッチャこっち向いたしもうアカン!終わった!!!と思ったけどギリギリ回避できたっぽい?
「静か~に行こっ。声も出さずに………………」
で、静かに行ったら、羽柴秀吉邸跡を過ぎてもゾンビに気づかれんかった。
「行ける…………行けるでこれ!」
と、思っとった時期がうちにもありました。
秀吉邸跡から少し登って…………
左に行ったら摠見寺。真っ直ぐ行ったら山頂の、ちょうど分かれ道のとこまで、うちは登ってきた。
「うわー。(麓の道から見て)左から入ったけど、これやったら道渡れへんやん。下にもゾンビうじゃうじゃおりよるのに…………」
さーて。目の前の道に溢れるゾンビ軍を駆逐(もしくは避ける)しなければならない山近軍。
① ゾンビたちの目を盗んで突破
② 物理こそ正義!ここで殺る
③ 摠見寺の裏を回る
④ 下に降りて別ルートを探す
⑤ ゾンビが少なくなる(らしい)夜まで待つ
ざっと対処法はこんなもんか?
「②、⑤はどう考えてもアウトやし、①も危ないな~。バレたらそれまでやし、下に降りてもな駐車場の道の方が絶対ゾンビ多いし………………こりゃ、③かな~?」
そうと決まったらすぐ行動~~
敵前逃亡やないからな!!戦略的迂回や!!
ガサガサ森の中を突破して、お寺の横に到着。
「…………………………………………居らんかな?居らんな?」
さっと飛び出して、向こう側の森に飛び込む。飛び込んだ時、「ガサガサ」って音がしたけど、気づかれとらんっぽいし大丈夫やな。
「ゼェー、ゼェー………………ハーーー………………………………ここか?」
山の上の方の台地。よーく見ると、台地の真ん中に何かが置いてある。
「ここだけゾンビが居らんのも、チャラ男がやったんかもしれへんな~」
ゾンビが居ったんは、ちょっと下の織田信長本廟辺りまで。そっから上は1体も居らんかった。一応、神なんやし人間には見えん壁でも作れるんかね?
「まぁ、そんなことはどっちでもええねん。とっとと回収して帰ろ。」
台地の真ん中に近づく。
「ふーん。これが宝玉か………………なんちゅーか、ドラ〇ンボールみたいな感じやな~。パクったんちゃう?」
別んどっちでもええけどな。で、宝玉取ったら下にプラカードが1枚。
「何が出るかな~何が出るかな~」
クルッ
「…………………………奈良。……………………のどこやねんこれ!!」