4,情報収集
本部に戻った藤沼と瓦井は早速、被害者の情報収集を始めていた。
とはいえ、時刻はもうすぐ2時を回る、事件が起きた県の警察署に電話をかけるのも気が引けるので、それは朝になってからにすることに。
それ以前に情報は回ってきている。
青森、長野で起きた事件の詳細も調べることが可能。
「こんな時間から事件を徹底的に調べることになるなんて思いませんでしたよ。」
「警察やってる身としては経験しといて損はないと思うけど?
私は何度も経験してるし。」
「藤沼さんは事件を調べるのが趣味だからですよ。」
「趣味とか言わないで、あくまで仕事よ。
趣味なら…まぁ色々とね。」
「ないんだな…。」と瓦井は察したが、そのことに触れると厄介なことになりそうだと思ったため、口には出さなかった。
藤沼と瓦井は青森と長野に担当を分けて情報収集を行っていく。
調べていく中でやはり、事件には共通性があるように思える箇所と、しっかり調べなければ分からないという部分も多いということが発覚した。
共通する点は遺体の状態である。
3つの事件の遺体は全て眼球が飛び出し、表情が何か恐ろしいものを見たかのようになっていること。
ある程度調べ終わったあと、2人は内容を共有し始める。
「青森の事件の被害者は江橋杏梨、32歳で過去に離婚履歴あり。
地元のスーパーで働いていた。
一人暮らしでアパート住み。
そのぐらいね。あ、あと、この人が働いていたスーパーで後に分かったことなんだけど、商品をレジに通さないことがあったみたい。
この人がやめたあとから無くなったことから、江橋さんがやってたとみて間違いなさそうよ。」
「レジを通さない?なんでですかね?
自分のためならともかく、人のものを…ですか?」
「そこは私もおかしいと思った。
考えられるのは何らかの形で脅迫を受けていた可能性よね。
監視カメラを見たけど、分からなかったそうよ。
相当やり手だったって事ね。」
この情報は殺しの同期になるとは考えにくい。
しかし、可能性がゼロである可能性も捨てきれないのだ。
脅しを受けていたとすれば、スキャンせずにレジを通すことを拒否したとすれば、脅迫相手から殺意を抱かれる可能性もある。
「私のはこんなものね。
死体の状態も、眼球以外は目立った外傷はなし。
顔はまぁ、言わずもがなって言ったところね。」
藤沼は目配せで合図をしてきた。
次は長野の情報を教えてくれ、というものだ。
瓦井は意図を汲み取り、話を始める。
何気なくできるようになったコミュニケーションだが、入った当時は中々慣れずに藤沼に怒られていた瓦井だった。
今では古い友人のような仲になれていることを嬉しく思っている。
「長野の被害者の名前は杉村匠海、24歳。
植物園で働いていたそうです。
こっちも一人暮らしでアパート住みですね。
で、こっちは死んだ理由がちょっと見えるかもですよ。
身体と自宅から麻薬が発見されたらしいんです。」
斜め下を向いていた藤沼の顔が上がる。
たしかに、死亡理由はそれかもしれない。
麻薬の大量摂取により幻覚でも見たのか?
だとしても、死に方が異常であることに変わりはない。
「出処は?」
「植物園の職員から定期的に貰っていたらしいですね。
その方は薬物所持で逮捕されてますね。」
「長野なら行けなくもないわね。」
「藤沼さん?まさか…」
「その人に聞きに行くよ、話。
無駄足になる可能性は十分にあるけど、まぁやれることは片っ端からやってくから。
着いてきたくないならいいよ。」
「行きますよ、さすがに。」
一旦業務を終了して家に帰ることにした。
朝になったら長野に出発をするのだ。




