13,手紙
2025年4月24日、群馬県。
藤沼は椅子に座りながら天井を見上げていた。
連絡をもらい、ショックを受けていたのだ。
まさか、自分のバディが死ぬなんて思いもしなかったのだから。
死に方も報告を受けたのだが、調べている事件と全く同じ。
自分がこの事件を調べていたことによるものだったらと考えると後悔の念がどうしても消えない。
更に後悔を加速させたのは瓦井が残した手紙。
不器用すぎる字で書いてある。
母親の証言によれば、目を瞑りながら書いていたとの事。
目をあけさせてしまった母親は泣き崩れていたという。
『大好きでした。』
ボロボロの字を解読するのに時間はかかったが、読めた。
これは母親に向けられたものだろうと最初は思っていたのだが、そうではないと思う。
手紙の端っこに、「ふじ」と書いてあるように見えるから。
涙をこらえることで精一杯だった藤沼に警察の人々は声をかけたのだが、何1つとして響かない。
こんな事件、追わなければ良かった。
なぜ、目を逸らさずに現実に向き合ってしまったのだろうか。
上のように見ないふりをしていれば、未解決事件として封印されていたかもしれない。
犯人がいたとして、事件を追っていることがバレて瓦井が殺されてしまったと思うと、心が痛む。
何時間も椅子に座り、虚無の空間を味わう。
彼女の手には瓦井からの手紙がギュッと握られている。
それから10年後…
慌ただしい捜査1課の2人の刑事が藤沼の目に止まる。
またもや、同じ事件が起きたのだ。
そして、今回も熱心にその事件を追おうとするものが現れた。
藤沼はその2人が10年前の自分と同じようで懐かしい気分になると同時に、あの時の後悔が押し寄せてくる。
ファイルを取り出して、瓦井が書いた手紙を見た。
捜査に協力をすることもできた。
そして、2人の刑事から何か知らないかと質問もされたが、「分からなかった。」とだけ返した。
あの時の後悔が藤沼のやる気を失わせ、見たくもない現実から目を逸らしてしまうようにしたのだ。
そう、目を瞑ってしまった。
そんな藤沼の前にあの男が現れてしまうのか…
運が悪ければ出会ってしまうだろう。




