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第三十六話 狂乱のエピローグ:アキ、再び放置される。

目が覚めると、私は見慣れた天井の下にいた。ここは、私の自室。あの、高校生、佐藤アキの部屋だ。


「……夢、だったのかな」


頭がぼんやりと重い。確かに、私は異世界に召喚され、王族を助け、最強賢者と世界を救う旅をしたはずだ。しかし、その旅の詳細な記憶は、霧のように消え去っていた。


だが、違和感がある。


スマートフォンを手に取ると、インストールされているはずのないアプリのアイコンが目に飛び込んできた。


アプリ名: 『放置少女ブラザーズ』 説明: いつも心にトモダチコレクション。


「何これ。こんなゲーム、ダウンロードしたっけ?」


私はアプリを起動した。画面には、記憶にない男の子たちのキャラクターが表示された。


王子風の男: 【エリオット】(称号:王都の剣)


ローブの少年: 【アトラス】(称号:空間演算奴隷)


ウサギ耳の女の子: 【アイリス】(称号:ガトリング砲の天使)


そして、中央にいるのは、私自身をモデルにしたとおぼしきキャラクター。その下には、ゲーム開始時のメッセージが。


[システムメッセージ] 異世界から帰還したリリへ。キミのデータは、世界の安定のために活用されました。今度は、この世界で君自身を放置して、愛を育んでください。


「……何言ってんだ、このゲーム」


私は混乱したが、ふと、部屋の隅に置かれた自作の木彫りのウサギに目をやった。それは、なぜか異様に精密で、私には作れるはずのない技術で彫られていた。


新世界の秩序

学校へ行くと、さらに世界は狂っていた。


廊下を歩いていると、私の後ろから、聞き覚えのある凛々しい声が響いた。


「アキ!急ぐぞ!今日の試験の解析は終わっているな!」


振り返ると、エリオット王子そっくりのクラス委員長が、私を睨んでいた。彼の腕には、ウサギ耳をつけたアイリスそっくりの少女が、大きな工具箱を抱えてぴったり寄り添っている。


「え、エリオットくん?それにアイリスさん?どうして一緒に?」


「何を言っているんだ?君は僕の幼馴染で、アイリスは僕の専属整備士だろう。僕たちが君の『トモダチコレクション』だ。忘れたのか?」


私は、二人の濃すぎる関係に動揺した。


その時、教室の窓が突然、空間的に歪んだ。


「やあ、リリちゃん。久しぶりだね」


窓枠からぬっと現れたのは、最強賢者シリウスそっくりの、金髪の数学教師だった。彼は、チョークを指の間で優雅に回している。


「佐藤くん。君が異世界から持ち帰った『知恵データ』のおかげで、この世界の物理法則の『停滞』は解消された。君の過去の記憶は消したが、その代償として、君の周囲の『人間関係』は、ボクが新しく『調整』させてもらったよ」


数学教師は、ニヤリと笑った。


「君のクラスには、君が最も必要とした『仲間』を配置した。さあ、今度は、この『放置された世界』で、彼らとどんな『絆』を紡ぐのか。それが、君の『ファイナルファンタジー』だよ」


そして、彼の背後から、ローブ姿のアトラスそっくりの生徒が、船酔いのような顔で、空間の歪みから吐き戻しながら出現した。


「うっ……シリウス先生……空間移動は、勘弁してください……」


アトラスは、私の机に突っ伏した。


私は、完全に理解した。異世界での記憶は消えたが、あの旅で結ばれた『絆』が、この世界で「運命の強制力」として再構築されたのだ。


「待って。じゃあ、私は結局……」


私は、目の前のカオスな状況、そして最強賢者の教師に囲まれた教室で、思わず呟いた。


「また、放置されるの?」


数学教師シリウスは、楽しそうに笑い、黒板に大きく書いた。


『次回:佐藤アキの、果てなき放置伝説、再び!』


私の、狂ったような日常は、始まったばかりだった。

狂乱の世界線管理者:シリウスのメモ

フフフフ。完璧なエピローグですね!


私は約束通り、リリちゃんの「記憶」を消しましたが、「絆のデータ」はこの世界に移植しました。彼女が一番求めていたものは、孤独ではない「仲間」ですからね!


さあ、最強のトモダチコレクションに囲まれ、再び「放置」された佐藤アキ。彼女の新しい人生が、よりエキサイティングで、そして何よりもハッピーエンドになることを祈っていますよ!


この物語は、ここで終わりです。ありがとうございました!

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