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第三十話 スーパーロボット大戦:ニャル子迎撃作戦

カフェの壁を突き破って侵入した対王族殲滅兵器「ニャル」は、陽気な声とは裏腹に、エリオット王子に容赦なく鋼鉄の触手を振り下ろしていた。


「リリ!この装甲は硬すぎる!剣が通らない!」


エリオット王子が叫ぶ。彼の【情熱(限界突破)】の剣技をもってしても、ヴァルキリアスの誇る新型機械兵器には歯が立たない。魔力が薄いこの街で、私たちの最大火力である迎撃砲は使えない。


「落ち着いて、王子!このニャル子さんは、魔術ではなく、蒸気と機械で動いている!弱点は、動力源と制御系統です!」


私は、アイリスとアトラスに通信魔道具で指示を出した。彼らは船のそばで待機しているが、船隠蔽に使っていた「エメロードの精神結界」を応用する。


「アトラス様!アイリス!緊急指示です!船の結界を、この街の動力源の空間座標へと遠隔で投影してください!リリの鑑定で、ニャルの動きを完全に予測する!」


「了解!任せてください、リリ殿下!」アトラスの返答が響いた。


蒸気と空間の連携

私が目をつけたのは、カフェの真上を走る、街の巨大な蒸気駆動式クレーンだ。


「王子!ニャルをクレーンの真下へ誘い込んで!」


エリオット王子は、ニャルの攻撃を紙一重で避けながら、その巨大な多脚兵器をクレーンの真下へと誘導した。


その瞬間、アトラスが魔力を解放した。


「空間操作――接触点の歪曲!」


アトラスは、ニャルが立つ地面と、クレーンの制御盤の「接触点」の空間だけを遠隔で歪ませた。魔力が薄い街でも、ピンポイントな座標操作なら可能だ。


「ニャ、ニャニャ!?急に操作盤が滑る!?」


ニャルの陽気な声が焦りを含んだものに変わる。アトラスの空間魔術で、クレーンを操作する制御系統が混乱したのだ。クレーンは制御不能になり、巨大な鋼鉄製の荷物をニャルの真上へ落下させた!


ガシャァァァン!


巨大な鋼鉄の塊が直撃し、ニャルの装甲がわずかに歪む。


「今だ、アイリス!」


私は、船で待機しているアイリスに次の指示を出した。


「アイリス!船に残る予備の凝縮魔力結晶を、遠隔操作でニャルの動力パイプに送り込む設計図を今から送ります!それを実行して!」


アイリスは、古代の知識と彼女の技術を融合させた「結晶射出機構」を急造し、私の指示通りに結晶を射出した。


放置少女ブラザーズの最終合体技

アイリスが射出した結晶は、アトラスの空間魔術によって瞬間的に跳躍し、ニャルの装甲が歪んだ隙間から、蒸気駆動の動力パイプへと正確に突き刺さった。


「うー!にゃー!熱い!熱いですよ、エリオット様!」


ニャルは悲鳴を上げ、動力パイプに突き刺さった魔力結晶が、蒸気と魔力の過負荷を引き起こす。機械兵器の体が、制御不能のまま激しく震え始めた。


「これで終わりよ!」


私は最後の賭けに出た。エリオット王子に最後の指示を出す。


「王子!ニャルの動力部が過熱しました!その頭部の『愛らしい触手』、それが制御ユニットです!剣で断ち切って!」


エリオット王子は、鋼鉄の装甲を避け、唯一防御が薄い、頭部の触手状の制御ケーブル目掛けて、渾身の一撃を放った。


ズバッ!


制御ユニットは断ち切られ、ニャルの動きはピタリと停止した。陽気な声は消え、巨大な機械兵器は、カフェの床に崩れ落ちた。


私たちは、魔術が封じられた街で、「空間操作」と「機械技術」、そして「知恵」を融合させた、まさに「スーパーロボット大戦」のような連携で、最強の機械兵器を打ち破ったのだ。


ボクです!見事な勝利!ボクも思わず立ち上がってしまいました!


今回のバトルは、リリちゃんの「状況適応能力」の勝利ですね。魔力がないというヴァルキリアスの弱点を逆手に取り、街の巨大な機械クレーンを魔術で操って攻撃するという、発想の転換が光りました。


アトラスの成長: 遠隔操作で複数の座標を正確に歪ませるという、空間魔術の「応用力」が格段に上がっています。


アイリスの献身: 船の防御を維持しながら、緊急で結晶射出機構を作り上げた技術力も賞賛に値します。


そして、エリオット王子を狙った「ニャル」の出現は、ヴァルキリアス王国内のクーデター勢力が、エリオット王子の帰還をどれほど恐れているかを示しています。


リリちゃんたちは、故郷で歓迎されるどころか、最初から命を狙われるという最悪の状況に直面しました。次は、この街で「協力者」を見つけるという、新たなミッションが始まりますね!


次回は、ヴァルキリアスの王都での、新しい展開に期待しましょう!またね!

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