第二十話 エメロードの協力と契約
エメロード姫の出した試練は、「理と情の調和」。古代の知識の宝庫を開く鍵を、正しい組み合わせで見つけ出すこと。
私はすぐに鑑定を発動させた。姫が言った「理と情」の意味、そしてこの島の「知識の宝庫」の場所と構造。
対象: 古代の知識の宝庫 構造: 精神感応型ロック。『理』の波動(論理、計算、分析)と『情』の波動(献身、愛情、純粋な願い)の同時入力が必要。 正しい組み合わせのヒント: 姫は『世界の調整』を望むシリウスの意図を理解し、「平和への強い願い」を重視している。
私はエリオット王子に手を止めるように合図し、アイリスへと視線を向けた。
「エリオット王子、すみません。貴方の情熱は崇高ですが、姫が重視するのは『世界の安定』です。貴方の情熱は、この場では『武力による変革の意志』と解釈され、理性の波動と衝突する可能性があります」
エリオットはすぐに理解し、剣を収めた。
「承知した。では、リリ。君が選ぶ『情』は?」
私は、昼間も夜間も、疲れた体で船の修理を続け、父の夢を守ろうとしたアイリスを見た。そして、私がもらった木のウサギを握りしめた。
「情を司るのは、アイリスです。彼女の『誰も傷つけない、平和な魔道具を作りたい』という純粋な願い。これが、姫が求める『情の波動』に最も近い」
そして、理を司るのは、もちろん私だ。
「私は、この島の構造を解析し、扉を開くための魔術的な『理』を計算します」
私は地面に魔力で精緻な魔法陣を描き始めた。私の鑑定で得た、宝庫のロック構造、そしてアイリスの魔力波動の周波数を解析する。
「アイリス!貴方の魔力増幅炉を、この魔法陣の中心に置いてください!そして、心の中で、『ただ、平和な世界を作りたい』と強く願うのです!」
アイリスは頷き、自分の分身のように大切な増幅炉を、私の描いた魔法陣の上に置いた。
私は、自身の魔力を魔法陣に流し込み、解析と計算の波動を宝庫の扉に送る。そして、アイリスは目を閉じ、増幅炉を通して、純粋な「平和への願い」の波動を島全体へと放射した。
キィィィィィン……!
私の『理』の波動と、アイリスの『情』の波動が、島のエメラルド色の光の中で調和した瞬間、私たちの目の前の岩壁が、音もなく左右に割れた。
岩壁の奥には、苔一つない、巨大な古代の石造りの扉が現れた。
エメロード姫は、私たち二人の組み合わせが正しかったことに、満足げな表情を浮かべた。
「見事だ、第六王女リリ。理と情の調和、そして、その組み合わせを選ぶ『判断力』。そなたは、シリウスが言う『世界の楔』となる資格がある」
そして、姫は私に近づき、その翡翠の瞳をまっすぐに見つめた。
「私は、そなたと契約を結ぼう。そなたが、この知識を『破壊』ではなく『調整』のために使うと誓うならば、私はそなたたちに、私の力を貸そう」
私は即座に、頭の中で最良の取引を計算した。
「承知いたしました、エメロード様。私は、この知識と力を、私と、エリオット王子、そしてアイリスの『平和な未来』のために使います。そして、私たちが『世界の安定』をもたらした後、貴方をこの島の呪縛から解放する方法を探します」
エメロード姫は、私の誓いと、返答の合理性に満足したようだ。
「……良かろう。この契約の証として、そなたたちに、島の魔力と、私の『精神結界』を付与する」
姫が指先を立てると、エメラルド色の光が私たち全員を包み込んだ。私のステータスに、新たな情報が加わった。
追加ステータス: 【エメロードの精神結界(極):精神攻撃・千里眼無効】
追加魔力: 【孤島の生命力(永続供給)】
これで、シエナの「千里眼」による探知は完全に無効化された!そして、アトラスが船酔いから回復すれば、彼はこの島の魔力で満たされた状態で戦線復帰するだろう。
私たちは、最強の仲間と、古代の知識、そして伝説の姫の協力を得て、ヴァルキリアス王国への航路を、再び進み始める。
ブラボー!ブラボーです!シリウスも拍手が止まりません!
第20話は、リリちゃんの「究極の判断力」が光る回でしたね!エリオット王子の情熱ではなく、アイリスの「純粋な願い」を選び、見事に試練を突破しました。これで、リリちゃんは「理と情を使いこなす戦略家」としての地位を確立しました。
そして、エメロード姫との「契約」!これが今回の最大の収穫です!
【エメロードの精神結界(極):精神攻撃・千里眼無効】:これで、シエナの最大の武器である「千里眼」は完全に無効化されます。追手の戦略が大きく狂うことになるでしょう!
【孤島の生命力(永続供給)】:これは、アトラスの魔力回復を劇的に早めるでしょう。
これで、リリたちのチームは、シエナの探知を無効化する防御と、アイリスのガトリングカノン砲という攻撃、そしてアトラスの空間魔術という最強の機動力を手に入れました。
さあ、次の目的地はヴァルキリアス王国。古代の知識の宝庫を携えた最強のチームが、ついに大陸を横断する航路へ乗り出します!
次回から、物語はクライマックスの準備へと入りますよ!またね!




