記憶に刻まれた、最初の君-完
再び慣れ親しんだ呼び出し音に囲まれて目を覚ます。
電源の差込口の方へ手探りでいくと、携帯電話には触れたが、この充電量はどういうことだ…ケーブルがきちんと挿さっていなかったのか?まあ、予備の携帯電話があるからいいか。
「ふううううっ!はあ!」
背筋を伸ばし、腕を伸ばして、昇る朝日に迎えられ、心地よい寝床に別れを告げる。
昨日のうちに荷物の手入れは済ませており、残りは冷蔵庫の中の飲み残しの缶ジュースと、お土産を忘れずに持って行くことだけだ。その前に、まず朝食を作ろう。
そんな気持ちで冷蔵庫のドアを開けると、昨日用意しておいた生卵とトーストの他に、肉まんが一袋!
終わった…。彤生は、その20個入りの冷凍肉まんの袋を取り出した。
この袋は単なる冷凍肉まんのパックというだけでなく、彼女の衝動買いの証拠でもある。
「限定特産品」という五文字だけで、深く考えずに消費権を行使してしまったのだ。今日、税関を通過しなければならないというのに、肉類食品は国内の税関を通れないではないか。
朝食すらまだ食べていないのに、過去の苦い教訓をまた味わうことになったというのか?そんなはずはない。
もちろん、卵とトーストは無駄にできない。
彤生は一度に全ての食べ物を食べきることにしたが、肉まんは後で道中ゆっくり消化することにしよう。
簡単な身支度、荷物の整理、そしてチェックアウトの手続きを済ませた後、斜め掛けバッグを背負い、スーツケースを引きずりながら、立ち去る前に、最後にもう一度二階の賃貸部屋を振り返って見た。
未来はきっともっと良くなる!口角を上げ、そう自分を励ます。
彼女は袖で木製の表札の埃を軽く拭い、二週間あまりを共にしたこの仮住まいに別れを告げた。
「はあ~。」
道中、あらかじめ取っておいた内省の段階では、時の経つ速さに感慨を覚えずにはいられない。いつも瞬く間に戻らない。
苦労して計画した一週間以上の休暇は、こうして知らぬ間に時間を浪費し、休止符が打たれてしまった。明日から仕事で撮影があることを意識すると、新しい服を着るのは嬉しいけれど、もう少し海外で遊びたかったという気持ちもある。
だが、これで十分だ。今日は気持ちを引き締め、明日の仕事の準備をするのが本筋だ。
彤生は手に持った蒸し肉まんの袋を見つめながら、そう自分を励ました。
一つ手に取り、口元へ運びながら、今日中にこの袋を食べきらなければならない、食べられるだけ食べよう、と心の中で思った。
空港へ向かう途中で、視線が何気なく人混みを通り抜けた時、一瞬、一行の馴染みのある文字が頭の中に飛び込んできた。この文字の主人が、彼女の注意を再び引きつけたのだ。
あれは靦語だろうか? 乞食? 今のホームレスはこんなにきちんとした格好をしているのか? 違う、助けを求めている? 助けを求めているのに、なぜ隣に茶碗を置いているんだ…誰かがお金を入れた! ということは乞食なのか? だが、彼は主に助けを求める看板を持っている。この世には本当にこんなに特殊な方法で助けを求める人がいるのだろうか?
ちょっと見てみよう。
「けーたいでんちが きれちゃって、まいごになっちったから、たしゅけてお。」食べ物を飲み込むのを忘れた、んぐっ? んぐっ! 水! 水!
はあ! なんて気まずいんだ、彼がずっと私を見ている。何か言うべきなのだろうか。ひょっとしたら彼は靦語が全く理解できず、何を掲げているのかさえ分かっていないのかもしれない。ただの文盲で、誰かに看板に勝手に変な文字を書いて悪ふざけされたホームレスなのか? それも有り得る、人間の悪意というものだ。
「まさか、急に梨語が読めるようになるとは。」
「違いますよ、これは梨語ではありません…。」
彼、理解できる! しかも話せる! まさか本当にこんなに特殊な方法で助けを求める人がいるとは、面白い!




