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白瀬レイン、高校1年生、春。5

1


ソーヤはレインの友人戦の設定画面を見ながら、細く麻雀のルールを設定していく。

「とりあえず、レインちゃんがいつもしている段位戦と同じルールで打とう。持ち時間は300秒あるよ。ルールは半荘(はんちゃん)東風(とんぷう)戦を2回すると思うといいよ」

「半荘って、1人1回の親じゃなくて、もう1回あるやつだよね?ソーヤくん?」

「それだよ。東風戦だと、1人1回の親だから誰かが大きな点を取ると途中でラストが決定しやすい。でも、半荘なら、もう1回、自分に順番が来るから、負けていても後から逆転しやすいかなって。回数が多くなる分、遊ぶ時間も長くなるから、ゆっくり遊びたいときは半荘がいいかもしれない」

「なるほど。休日は半荘で打ってみようかな」


2


友人戦の画面になる。レイン、ソーヤ、ヒリュー、エリーの4人のアバターが画面に揃った。

「あ、ヒリューのアバターキャラ、可愛い!」

「あら、ヒリュー君も課金しているのね」

「好きなマンガだったから課金した」

「最近の麻雀アプリは沢山のアニメやマンガ、Vチューバーとコラボしているよね。こういうキッカケから麻雀をはじめる人が増えて嬉しいな」

「レインと兄さんは初期キャラで、エリーも課金組だったのか。意外だな」

「そうかしら」

「エリーって、こういうゲームには興味無い人間生活だと思っていたからさ。ソーシャルゲームに課金とかするんだって」

「重課金はしていないけど、好きな声優さんやコラボキャラなら課金するタイプよ」

「エリーって、好きな声優さんがいるの!聞いていないよ!」

「あれ、そうだっけ。レインには言っていると思っていた」

「そろそろ300秒になるから、みんな、麻雀を始めようよ。東場(とんば)起家(ちーちゃ)はヒリューね」

「はいはい」

レインは不思議な顔をする。

「『ちーちゃ』って、何?ゴメンね!初心者な質問して!」

ソーヤは、にこやかに返事をする。

「いいんだよ。レインちゃん。わからなくても謝ることないよ。せっかくの機会だから、なんでも質問してね」

「おーい。牌、捨てるぞー」


ヒリューは①を捨てた。


「次は、僕の番だ。最初に親をする人を『起きる人』と書いて起家(ちーちゃ)というんだ。リアル麻雀と違って、ゲーム上だと意識しにくいかも」

「私、最初に親になると緊張しちゃう。何を切ったらいいかわからないし、終盤で逆転もしにくいし」

「半荘だと逆転のチャンスは沢山あるよ。ゆっくり打とう」


ソーヤは北を捨てる。


今回の順番は、東場がヒリュー、次の南家がソーヤ、その次の西家がレインで最後の北家がエリーだった。


レインは九を捨てる。


「それ、ポン」

エリーがレインが捨てた九をポンする。同じ牌である九が3つ揃った。


次にエリーの番になり、エリーは北を捨てた。


3

東2局目、ヒリューの親が終わりソーヤが親に変わった。

東1局目はエリーがヒリューの捨て牌をロンして、エリーが1位になった。

「まぁ、起家だし。取られた点数は低いし。べつに悔しくねえ」

「未練たらたらじゃない」

「かなり良い手だったんだよ!エリーがポンポン鳴くから、順目が早く終わった!」

「早く親を流すのは普通でしょう」

「わかってる!」

「2人とも喧嘩しないでよ!」

レインは競り合うヒリューとエリーを注意した。

「ごめん」

「すまない」

「お父さんもだけど、麻雀をすると感情的になり過ぎ!冷静に打つのがカッコいいじゃない?」

「レインちゃん、それ、ロン」

「え!立直していないのに上がれるの!?」

「うん」

「ひどいよ!ひどいよ!そんな必殺技は、私には分からないよ!もう、みんなを、何も、もう信じられないよ」

レインは、とてもションボリした。その姿を見て、ヒリューとエリーは、ソーヤに抗議する。

「兄さんは、初心者を相手にダマテンするのかよ!」

「手加減ってあるでしょう!」

そんな2人の抗議を受けたソーヤはケロリとした顔をして言う。


「勝負は勝つためにする。僕は手加減しませんよ」


空気が一気に変わる。

和気あいあいとした友人麻雀はここで終わりという、ソーヤからの宣告であった。


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