表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワンダリングドルイドー幻の雪茸ー  作者: 炭化したウーズ
14/14

15.家に帰るまでが素材採集です

 帰り道では印象が様変わりしていた。行きでは、道はもちろん石の上や落ち葉、倒木に枝に積もった雪が別世界に変えていた。しかし、雪があったことが嘘のように消え失せ木立の隙間に僅かに残るのみとなっていた。

 そばを流れる川には抉れた谷が出来ており、急に現れた沢を幾つも超え、緩い坂を雨の川とともに下っていく。

 

 フクロウの声がする。普段なら姿を見えない事が多いが――そこにいた。まるで自身の姿を見せつけるかのように、雪をかぶった枝の上に漆黒を押し固めたような小さな闇がわだかまっていた。

 

 ――ワイルドハント――

 

 そんな単語が頭をよぎった。黒いフクロウなどまず目にしない。ただのフクロウではないことは確かだった。ソレは動かず、ただじっと私を見下ろしていた。まるで警告するかのように。

 立ち止まると、ぬるく湿った吐息が白く渦巻く。影が揺らめいた気がした。

 

「な――」

 

 気が付くと黒いフクロウは消えていた――。

 私は嫌な汗で冷え始めた体に鞭打ち再び歩き始めた。

 

 

 ――ミスリル街道に合流すればもうすぐだ。小雨となり雲間からは青い空が覗いている。

 

 

 家の前では桜の蕾が春の寒風に震えていた。

 カエルのコートを着たアンナマリーが、見事なフォームで傘を振り回しているのが見える。こちらに気が付いたようだ。

 

「おかえりですわ! イゼルダ!」

「ただいま、アンナマリー」

 

 

 

 ――おわり――

 

 

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ