24
2日に1度投稿に変えます。
最近時間が無くて厳しかったですm(*_ _)m
時間も決めた方が書くかなと思いましたが、守れそうもないのでやめます。
もうここに滞在して一週間になる。
真鈴は未だに帰っていなかった。
ここの住人、タカハタと名乗った男性にここは何処だと訪ねたら、ダンジョンのボス部屋だと言われた。
「ここは俺の庭みたいなもんだからゆっくりしてって」と言われた時は、驚きで固まった。
ダンジョンのボス部屋が庭。
恐らく――
タカハタ自身がボスなのだ。
高位な魔物の中には人語を話せる魔物もいるらしい。
人間の姿へ変化できる魔物もいると習った。
一日に一回、タカハタが恐ろしい唸り声を轟かせているのを真鈴はベッドで震えながら聞いていた。
恐らくそれがタカハタの本当の声――
名を持つタカハタは、ネームドボスと言うやつだろう。
ネームドボスは自我を持っており、通常個体よりも遥かに強い。
タカハタを倒さない限り、帰還ワープは湧かないし、だからといって1層ずつ登ることも真鈴の実力では出来ない。
スマホはバキバキに割れていて使えないので連絡手段もない。
完全に詰んでいた。
幸い、タカハタは人間が珍しいのか好意的だ。
「全然人が来なかったからやっと来てくれて良かったよ〜」と言って、宝箱を渡してきた。
中身はスキルブックだった。
何故宝箱が貰えるのか分からず、怖くて使うことが出来ずに部屋にしまい込んでいる。
真鈴以外の人が来ないということは、未到達の場所であるということ。
一体ここは何層なのだろうか。
かなり下に来てしまったんだなと真鈴はため息をつく。
帰ってもどうせ死んだことになっているし居場所はないので、もうこのままでもいいやと思ったが、タカハタの機嫌一つでどうにでもなってしまう状況が恐ろしく、やはり帰りたい。
生殺与奪の権利を握られてると思うと胃がキリキリする。
真鈴はほとんど部屋から出ず、タカハタと会わないように過ごしているが、時折向こうの方から訪ねてくるので、その時は仕方なく料理を振舞ったりおべっかを言ったりして機嫌を取っていた。
機嫌伺いなら得意分野だと、乾いた笑い声をあげて狂いながらも決意を固めてやり遂げた。
タカハタさえどうにかできてしまえば、衣食住は充実している。
服はタカハタが民族衣装のようなカラフルなワンピースを持ってきた。
食料もタカハタが白丸の肉という謎肉を持ってくるし、この部屋もオシャレで居心地がいい。
タカハタが飽きたら食べられてしまうのかもしれないのが唯一にして最大の懸念点だが、真鈴にはここで暮らす以外の選択肢はなかった。
(オオカミに育てられている子供の気分だよ……)
頭をガックリ下げて、ため息を吐く。
(いや違うか、あれは子供の方も自分をオオカミと思ってるから幸せなんだ……)
真鈴も見習って魔物になりきるしかないのでは?奇天烈な処世術を身につけようとした時、ドアノックの音が鳴った。
(今日も来た……)
真鈴は顔に笑みを貼り付けて、努めて明るい声を出す。
「っ……はーい!どーぞ」




