白戸 いのりは加入させたい
4話目!
新キャラです一応
全ての授業と帰りのホームルームが終わった俺は今、担任である白戸先生に職員室に呼び出されていた。
本来なら、昼休みに柊と約束したとおり、図書館に行くはずだったのだが、その前に中ボスとのバトル勃発である。柊には連絡していないが、まあ大丈夫だろう。だって俺、ぼっちだからあいつの連絡先知らねえし。俺悪くないし。
「おい、小鳥遊。呼ばれた理由分かるか?」
「えっと…なんですかね?僕はぼっちなので、むしろ呼ばれる理由なんてないと思うんですが。てか、その理由ができる訳がないと思うんですが。」
「ふざけるな。そうやって、違う話題にすり替えて逃げようとするのは君の悪いくせだぞ。」
白戸先生は、机を軽くドンと叩き俺を叱責する。
白戸先生は、周囲の生徒からは『白戸ちゃん』と呼ばれている二十代後半の比較的若い先生だ。容姿も黒色のボブの髪型が良く似合っていて美人であるため、男女問わず人気が高い。そう言ったこともあり、生徒たちからは慕われているため基本的には優しいのだが、俺と喋る時だけは何故か少し怖い。なぜだろう、ぼっちは厳しく育てるというのが白戸先生の家の方針なのだろか。正直育てるなら優しく育てて欲しい。
「はは、すみません…それで、本当に心当たりがないんですが、なんの用なんですか?」
「ああ、君を呼んだ理由は一つさ。部活だよ部活。君も我が校の校風が文武両道なのは知っているだろう?だから、学外での活動がある生徒以外は基本的には部活に強制参加なのだよ。」
「それかぁ〜。」
俺は天を仰いだ。
ぼっちにとって、部活とは恐怖のイベントである。もちろん、部活に入ることで広がる交友関係はある。だが、それは事前に友達がいる場合に限る。部活には見学というイベントがあるが、やはり大抵は友人を誘って一緒に見学し、そして入部が定番の流れなのだ。だが、俺みたいなぼっちの場合はそれができないため、見学に行ったとしても隅で邪魔にならないように努めるのが関の山なのである。だからこそ、入学式から一人も友達ができなかった俺は部活を避けているのだ。
そう、部活はなんとしても避けねばならないのだ。この時期に入ったら絶対浮くし。
「いや、あれですよ?僕はあえて入ってないんです。なんたって学外活動がありますから。」
「は?君が学外活動?嘘を言うんじゃない嘘を。」
「嘘ではないですよ。僕は帰宅する際、さまざまなルートを利用して帰るんですよ。最短な道、最長な道、安全な道、険しい道などの多種多様な道を使ってね。ちなみに、これは後々地図にして生徒たちに配る予定です。つまり、僕は学外活動の一環として帰宅をし、生徒たちの帰宅を支援するために日々活動をしているのです!」
ちなみに嘘ではない。地図を作って配る予定があると言うのは一旦置いておいて、俺はさまざまな道を利用して帰宅をしている。その成果もあって、普段なら30分かかる道のりを15分も短縮することに成功したのだ。我ながら素晴らしい成果である。
だが、そんな言い訳は白戸先生には通じない。
「だーかーらー、ふざけるなと言っているだろうこの馬鹿者め!君に友達ができない理由を垣間見た気がするよ…先生は心配だ、主に君の頭が。」
どうやら、俺の頭は白戸先生からすると相当に残念らしい。おい、残念ってなんだよ。ぼっちのガラスのハートにちょっと刺さっちゃうだろ。
「…つまり、先生はぼっちの俺に部活に入って死んでこいってことですか?」
「ふむ、まあそう言うことだ。」
「いやいやいやいやいやいやいや、嫌ですよ死にたくないですよ!確かに友達いないから失うものはないですけど、心だけは死んじゃうから!ほんとに!」
白戸先生の言葉に、俺は必死に抵抗する。なんでこの人、真顔で生徒に死刑宣告できるんだよ。本当に人間か?本当は妖怪とかなんじゃないの?
「はっはっはー!冗談だ冗談!君が普通の生徒たちみたいに立ち回れないのは良く知っているさ!そこでだ、君に一つ朗報だ。」
「朗報?」
俺は白戸先生の言葉に首を傾げる。
「君、よく休み時間とかに本読んでいるだろう?しかもジャンルを問わず。」
「まあ、基本ライトノベルですけど、一般的な小説も読みますね。」
「そこでだ!文学部はどうかね?」
「文学部!?いやでも、この時期に入っても先輩や同級生と仲良くなれる気しないし…」
「ガハハ!心配すんな!文学部は去年、最後の部員である3年生が卒業して、今現在は部員がいないのだよ。つまり、今君が文学部に入れば、部長確定&誰の目も気にせず部活動に参加できるのだよ!最高だろう?」
白戸先生はニヤッと笑う。
まあ、確かに部長になるのは正直面倒臭いが、部員が一人もいないのならば入りやすい。
「分かりました。その提案乗りましょう。」
「よし!さすが小鳥遊だ!じゃあ、後は柊を誘ってきてくれ!」
「了解で……は!?柊!?」
「ああそうだ。柊もお前と同じで、いまだに部活に加入していないのだよ。色々勧誘はされているみたいだが、断っているみたいでね。そこで、お前と柊を一旦同じ部活にぶち込んで万事解決と言うわけだ!」
こいつ、はなから俺に厄介ごとを押し付けようとしていたのか。完全にやられた。
「て訳で、頼んだぞ!小鳥遊!」
白戸先生から難易度【鬼】の宿題を与えられた俺は、絶望しながら職員室を後にした。
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