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柊 真白は呼び出したい

3話目です!!

 翌日、教室の自席に座った俺は、机にうつ伏せになって後ろの方へと目をやる。目線の方向ではクラスの中でも一際目立つギャルたちのグループが楽しそうにお喋りをしており、その中には柊 真白の姿も当然ながらあった。

 すると、目線に気づいたのか、柊がこちらを睨んでくる。まさか、長年のぼっち生活で習得した『寝たふりしながら周囲の様子を伺いクラスの輪になんとか入ろうとする術』を簡単に破ってくるとは…。まあ、クラスの輪に入れたことはないのだが。

 そんなどうでもいいことを考えていると、柊が急にこちらの方へと歩いて来る。廊下に出ようとしているとかではなく、周囲に誰も座っていないことを踏まえると完全に俺の方へと向かって来ていた。


「小鳥遊くん、昼休みに屋上近くの階段まで来て。あそこなら基本誰も来ないから。」

「お、おう…」


 柊はそれだけ伝えると、すぐにグループの方へと帰っていった。

 なになに怖い!怖すぎるよ!なんで呼び出されたの?カツアゲ?腹パン?柊ってオタクに優しいギャルなんじゃないの!?

 さらには、万年ぼっちの俺にクラス、いや学年一の女子が話しかけていたという謎イベントが発生したことにより、クラスがざわついていた。非常に居づらい。こういうクラスで居心地の悪いときはそうだな、うん、寝よう!

 俺は心の中でそう宣言し、再度うつ伏せになった。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 来る昼休み、俺は屋上近くの階段に向かっていた。非常に足が重い。普段なら、ラノベタイムを満喫できる最高の昼休みなのだが、今日に限っては最低最悪の昼休みである。

 まだ救いだったのは、呼び出した当の柊が早々に昼飯を終えて教室を出ていってくれたことだ。行くタイミングが被ったりとかしたら、気まずすぎて多分地獄だっただろう。


「こ、こんにちは!柊!あ、えっと…良い天気だな!」

「あら、こんにちは小鳥遊くん。そうね、雨降ってるけどね。」


 柊は俺の訳のわからない挨拶に冷静に返す。

 いや、なんだよこんにちはって。しかも、会話デッキの切り札である『天気の話題』も天気を間違えたせいで完全に空振りだよ。

 いや、だがそんなことはどうでも良い。まずは柊がなぜ俺をここに呼んだのかを確かめなければ。


「それで、なんで俺を呼び出したんだ?」

「呼び出した理由?そんなの一つでしょうが…」


 柊は俺の問いに対し、呆れた様にそう返す。

 そんなの一つってなんだよ。分からねえよ。もし、俺がただのぼっち童貞ならば告白なのかと勘違いしたかもしれないが、俺レベルともなればそこら辺の勘違いは絶対にしない。だからこそ、柊に呼ばれるような心当たりはないのだ。


「いや、だって俺と柊って接点なんてないじゃんか。喋ったのだって、この前の本屋が初めてだし…」

「そう!それよ!本屋でのことよ!!」

「は!?そのことで呼び出したってこと!?」


 俺は声を荒げて驚く。


「いやいやいや、なんであれでちょっと怒った感じになるの!?帰り際俺が、『万引きになるぞ』とかちょっとおちょくる感じで指摘したから?」

「…!!それも確かにちょっとって言うかかなりムカついたからそうなんだけど、今回は違うわ。まあ、ぼっちの小鳥遊くんにそこら辺の気づかい的なことが言えるとは思ってないから大丈夫よ!」


 柊は少しだけ顔を赤らめてそう言った。

 ちょっと気にしてたのかよ。てか、ごめんね?ぼっちでごめんね?気づかいできなくてごめんね?


「じゃあ、なんで俺に怒ってんだよ。」

「言わないで欲しいのよ、あれを、あれ…私が…だったこと…」

「え?なんだって?」

「私がオタクだったってことよ!!」


 柊は恥ずかしそうにそう叫んだ。


「なるほど!周りにオタク隠してることを言わないでってことか〜。なーんだ、ビビって損したよ。」

「な、なんだって何よ!!」

「いや、俺はてっきり理由もなくカツアゲでもされるのかと…だってギャルだし。」

「ギャルに対してどんなイメージ持ってるのよ!自分で言うのもなんだけど、私はあの伝説のオタクに優しいギャルなのよ?ふん!」


 柊は照れつつも、怒ったようにそう言った。

 てか、オタクに優しいギャルっていう自覚あるのか。


「って、そうじゃなくて!ほら、私って可愛いじゃない?優しいじゃない?運動できるじゃない?頭良いじゃない?要するに完璧なのよ。そんな私がラノベ大好きのラブコメオタクってことがバレるのは良くないのよ。分かるでしょ?」

「うーん、前半の自画自賛は置いておいて、まあ柊の周りやつらは確かにラノベとか漫画が好きじゃなさそうだもんな。」

「そういうこと!みんなに期待されていないオタクな私は周りに見せたくないのよ。もう、あんな思いはしたくないし…」


 柊は少し悲しそうな表情でそう言った。

 すると、そのタイミングで学校中に昼休みの終わりを告げる鐘が鳴り響く。


「てことで、頼んだわよ!小鳥遊くん!」

「はいはい、分かったよ。」

「あと、放課後にも話あるから今度は図書館の方に来てよね!バイバイ!」

「は?」


 柊はそれだけ言うと、教室の方へ向かって廊下を走って行った。

 当の俺は、困惑のあまりその場に立ち尽くす。


「いや、なんで放課後にも話があるんだよ…」


 最後の言葉に困惑したせいか、俺は次の授業を10分ほど遅刻した。

ありがとうございました!

感想等何でもかんでもお待ちしてます^ ^

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