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スヤサキ君って実は…  作者: みえないちから
《第三章 陽太、仲間と映画を観て創作意欲を湧かせる》
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《第一話 それは遠慮させてもらう》

「ねぇどうかな?ボク変じゃないかな?」

スヤサキは俺の部屋で体をくねらせて全身を見せる。

「どうってなぁ」俺はスヤサキの方を見ず返事をした。

「もう!今度の日曜日に宇賀野うかのくんと映画を観るんだからボクの服ちゃんと見てよ」スヤサキは俺の素っ気ない態度にに怒り出す

「ボクの男装におかしなところない?って聞いてるの?」

こいつは何を言っているのだ?と俺は思う。


スヤサキは今、俺の部屋で今度の日曜日に俺の親友、宇賀野うかのすぐるとスヤサキと俺で映画館に行くのだが、その時の着ていく服を悩んでいるから感想を言えと言うのだ。

「いつも通りの服で良いだろう?大学に着ていく服で」

俺はノートパソコンから目を離しスヤサキを見た。

「あれは大学に行くようの服で、遊びに行く服とは別にしたいかな」

「それに男装って言っちゃってるぞ」

「あ!いやそれはその…大学以外は女装メインだから」

「ああ、そうなのね」

女装好きが極まってんな。ある意味俺は感心した。


「そうだよ…で、どっちが似合ってた?」

「う〜んそうだな…グレーが良いかな」

「グレー?うん、わかった。じゃあ映画を見に行く日はこのグレーのセットアップで行くね」

スヤサキは俺が選んだグレーのセットアップで行くことを決めたようだ。インナーとサンダルはベージュで揃えている。

「ところで真神くんはどんな服着ていくの?」

スヤサキは俺の顔を覗き込んで言った。


「え?どんなのってそんなものは当日の朝に乾いた服を着るよ」

「もう〜ダメだよそんなんじゃ。おしゃれしなきゃ、そうだ!ボクと一緒に双子コーデしよう」

双子コーデだと!?なんだそれ?「双子」という言葉の意味あい的になんだか気持ち悪いことをさせられそうだな。


「嫌だ」

「なんで〜!?どうして?双子コーデやろうよ。真神くんもその日はグレーのセットアップで決めて宇賀野くんを驚かせようよ」スヤサキは落胆するも食い下がった。

やっぱり双子のように見た目をお揃いにしようかってことだな。


「それは遠慮させてもらう」

「嫌だぁ!絶対双子コーデやろうよ!」

また変なところでごねだしたな。面倒くさいなぁ。

「そんな格好で傑にあったら笑われるだろう?」

「そんなことないと思うよ。それだったらさ、宇賀野くんにもグレーのセットアップで決めてもらおうよ。三つ子コーデだよ、真神くん」

スヤサキは瞳をキラキラと輝かせて言った。まるですごい発見をしたかのような表情を浮かべている。


「三つ子コーデ?変な奴らだと思われたら恥ずかしいぞ俺は」

「恥ずかしくなんかないでしょ」

「俺は恥ずかしいね。傑もきっとそうだろう」

「ム〜。じゃあ宇賀野くんに聞いてみようよ」

「おう、わかった。まずは写真を撮らせろ」

「良いよ」スヤサキはモデルのような立ち姿でポーズを決めた。

パシャリ。


俺はスマホを手に取りヨインを開いた。

「ええっと。今度の映画を観に行く日の服装はスヤサキの提案でこれを三人で三つ子コーデしようとのことだけど、傑はどうする?」

俺はヨインの文面を言葉に出しながら傑に送った。

「ワクワク」スヤサキは口に出してワクワクしていた。

ヨイン!

しばらく待っていたら傑からの返信が来た。


[お前らだけでやれ]


傑からの拒否のメールが届いた。傑はやりたくないみたいだ。

「ほぉら〜傑もやりたくないって」

「ムー!みんなでお揃いコーデで街を歩きたかったかな。仕方ないボクと真神くんだけで双子コーデにしよう」

俺も嫌なんだが?聞いてました?俺の話。


「俺もやりたくない」

「真神くんの意地っ張り」

「スヤサキの強情っぱり」

「真神くん怖い顔」

「スヤサキの甘党」

「真神くんのドスケベ」

「スヤサキの大食い」

ダメだ、悪口の言い合いで負けてる気がする。


「とにかく俺も着ないからな」

「ムー、いいも〜んだ。ボクだけおしゃれ楽しむもんね〜」

スヤサキは拗ねてそっぽを向いてしまった。

まぁ放って置くことにしよう。スヤサキのわがままに付き合う義理はないからな。着ていく服ぐらい自分で決めさせてもらいたいものだ。


「ムー」っと膨れているスヤサキをよそに俺は台所にコーヒーを入れるために向かった。

「コーヒー飲むか?」

スヤサキはそっぽを向いたまま「…カフェオレにして」と応えた。

「わかったよ。カフェオレな」

俺は冷蔵庫を開けた。

「あ〜、すまんスヤサキ、牛乳がない。豆乳オレで我慢してくれ」

「え!?真神くん豆乳好きなの?」スヤサキは俺の方を向いて言った。

「うーん、別に好きじゃないんだけど牛乳だとお腹痛くなる時あるからそんなに飲まないんだよな」

「ああそれ知ってる。乳糖不耐症にゅうとうふたいしょうだね」

「そうみたいなんだよな。ゆえに豆乳だ」

「うん、豆乳オレもたまには良いかな」

「そうだろう。コーヒーはボトルコーヒーだけど良いよな?」

「ええ?それでも良いけど。ボクはそこにあるコーヒーミルで豆から挽いてくれるのかと思ってたよ」スヤサキは冷蔵の上に置いてあるコーヒーミルを指さして言った。

「ああこれか」

俺はコーヒーミルを手に取り、スヤサキに渡してやった。

「わぁコーヒーミル触るの初めてかも」

スヤサキはハンドルを握ってグルグル回し始めた。コーヒー豆が入っていないのでカラカラと金属音だけがしている。

カラカラ、カラカラ、カラカラ。

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