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スヤサキ君って実は…  作者: みえないちから
《第二章 陽太、水着に興奮する》
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《第十七話 いっぱい生地があるね》

「ヨゾラ、そのサングラスかっこいいわね。アタシもそれ欲しくなったわ。どこで手に入れたの?」

「ん?これはネット通販でゲットしたんだよ。欲しいなら…」スヤサキは自分のバッグをガサゴソとあさり始めた。

「はい!これあげる!」スヤサキは同じ型のサングラスを日向にあげた。

「ええ!?嬉しい〜!本当にくれるの?」

「うん」

「ありがとう〜じゃあ今日はアタシがお昼奢っちゃうね」

スヤサキにご飯を奢ると酷い目にあうぞ、日向。

「はい!こっちは真神くんに」

スヤサキは俺にも同じ型のサングラスをくれた。

「えっ!?俺にも?」

「うん」

「ありがとうな、スヤサキ」

「いえいえ、最近日差しも強くなってきたから目を保護しないとね」

運転手の俺はグリーン、助手席のスヤサキはブルー、後部座席の日向はピンクのレンズを着用した。

こうして、車内はサングラスだらけの怪しい車になった。車は白にしといて良かった。


「サクラコちゃん、今日は繊維街まで水着の布を買うの?」

「まぁ水着がメインだけど、他にも洋服の布も買いたいと思ってるわ」

「そうなんだ。その布って今度ボクが着る水着の布?」

「そうよ、今度のコンテスト用の布」と言い、日向はスポーツドリンクを一口飲んだ。

「どんな水着にするの?」

「可愛い水着よ」

「え!?可愛い水着!?嬉しいなぁどんな水着だろ?」可愛い水着と聞いて顔をほころばせ、笑顔になるスヤサキ。可愛いものが好きなようだ。

「こ…この前、見せてくれた水着か?」

俺は緊張しながら日向に聞いてみた。

この前とは日向と一緒にファッション科の倉庫兼フィッティングルームでのことだ。

「そ、そうよ…あのパレオの水着」

「ええ!?パレオの水着ぃ〜!?ボク好きだよ」

「そう、良かったわ。真神に見せたのは、どんな水着なのかを見せるためだったけど……あんなことになるなんて…」

「ん?あんなこと?あんなことって、何?サクラコちゃん」

「ううん、別に何でもない」日向は首を横に振ってみせた。

「そっか〜」

スヤサキ、多分その“何でもない”が、俺が今一番知りたいことだ。

「あの水着を使うのか?」

「バカね、アタシが一度着たものをヨゾラに着せる訳ないでしょ?カラーもヨゾラの好みに合わせたいもの。だから今日はヨゾラが来てくれて助かったわ」

「ふふ〜ん、どういたしまして〜」

「そういうことか」俺はバックミラーごしに日向を確認する。

「うん、そういうことよ」日向はこちらを見ていたようだが、俺が見ていることに気づくと目を逸らした。俺は涙目になった。サングラスをかけといて良かった。


「そろそろ繊維街につきそうだね、真神くん」

「お!そうか。日向、どの店の前に行けばいいんだ?」

「リンゴの前で止めて」

「リンゴ?」

「リンゴって名前のお店よ。看板がリンゴのマークだからすぐに見つかるはずよ…ほらあれよ左の」

日向はそう言うと左を指さした。

「本当だ、リンゴの看板だねサクラコちゃん」

「あれがそうか、わかった、それじゃとりあえず入口の前に止めるよ。二人は先に中で買い物していてくれ。俺はパーキングを探してから合流するよ」

「それならヒマワリがいつも使っているパーキングが近くにあるの。そのままそこまで行ったほうがいいわ」

「お!近くにパーキングあるのか?わかった。そこまで一緒に行こう」


俺たちは車をパーキングに止めて、目的のお店「リンゴ」に三人で歩いて向かった。

「うわ〜ボクこういう所に来るの初めてだよ」

店内は沢山の生地がところ狭しと並んでいる。これらが服に変わって行くのかと俺は不思議に思った。

「そうなのね。自分で作ってみたりしないの?楽しいわよ」

「うん、少し気になってたんだ。コスプレの衣装を自分でも作れたら良いなって」

「だったらコンテストが終わったらアタシが衣装作り手伝ってあげるわよ」

「本当!?嬉しい。お願いするよサクラコちゃん」

「まかせて〜ん?もう!真神!何ぼーっとしてるのおいてくわよ」

「お!おお、ごめんごめん」

「何を考えていたの?真神くん」

「この生地たちが服になって行くのかと思うと不思議で」

「へぇ〜そういうこと思ったりするんだ」

「意外か?」

「ううん、良いんじゃない。色んなことを知っていく子どもみたいで可愛いわよ」

「おい!可愛いってなんだよ」

「顔を赤くなってるよ真神くん」

「うるせぇ」

「アハハハハ」

日向は我慢できず大笑いした。

日向の笑顔を見れて俺は少し安心した。避けられなくなったのは嬉しい。


リンゴは五階建ての建物で各フロアで取り扱うものが違うようだ。俺たちが向かうフロアは三階にあるようだ。店にはエレベーターがついておりそれに乗って向かった。

「いっぱい生地があるね」

「そうだな〜」

「さて、ヨゾラ」

「はい?」

「まずはこの水着の生地を選ぶわよ」

日向は持っていたスケッチブックを開いた。日向がデザインした水着の絵が描いてある。

日向の絵はとても上手く描けていた。描かれていたのはこの前触らせてもらったシアー素材の水着らしい。これはとても可愛い感じの水着になりそうだ。ルーナならもちろん似合うだろう。それに日向も似合うだろう。あの時のパレオも良かったがこのフリフリの可愛い水着を着ている日向も見たかったな。


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