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スヤサキ君って実は…  作者: みえないちから
《第二章 陽太、水着に興奮する》
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《第八話 俺は静かに目を閉じた》

「そうねぇ。三角ビキニタイプを想定してたけど、他の水着も考えなくちゃいけないわね」

ルーナの仮面を触りながらつぶやく日向。仮面の触り方が艶めかしいのは気のせいか?

「バンドゥなら〜良いんじゃない〜?」

涼風が横から顔をのおぞかせてそう言った。


「そうね、裾付きのバンドゥだったら露出も抑えられるし、良いわね」

「そのバンドってなんだ?楽器を演奏する人たち?」

「そのバンドじゃないわよ。バンドゥよ、バンドゥ。胸を覆う部分が三角ではなくて、チューブトップの水着のことよ」

「…バンドゥ…フランス語で鉢巻や細いリボンのこと…」

「へぇ~そうなんだ。で、チューブトップとは?」

「こういうのだよ〜」

涼風がハンガーラックからチューブトップの水着を手に取り見せてくれた。


「おお!これがチューブトップってやつか」

さらしのように胸の部分を覆っているのがチューブトップってことか。


「でもこれはこれで露出があるんじゃないか?むしろ肌色部分が多いようにも見えるぞ」

「裾付きのバンドゥもあるのよ。このチューブトップの下にフリルがついてる水着よ。お腹も隠れる水着もあるわ」

日向はお腹のところまで手を下ろすジェスチャーをする。

「ほら〜こういう可愛い〜フリルが付いてるの〜」

涼風がひらひらのフリル素材を持ってきて、チューブトップブラの下に合わせてみた。


「これならどう?」

「なるほど〜これなら良いと思うぞ」

正直、スヤサキから水着の指定をされてないから露出が控えめならそれでいいか。

「わかったわ。一つはバンドゥで決まりね」

「…一つはバンドゥ…」

竜田姫がノートにメモをした。

「ん?一つはって、他にもまだ水着を作ろうとしているのか?」

「もちろんよ。コンテストだもの。1チームで3着作るわ」

日向は指を三本立てて言った。

「3着も…そうだったのか」

「…今回のコンテストは3つのシチュエーションが用意されてる…」

竜田姫も指を三本立てて言った。お母さんの真似をする子どものようで可愛い。

「3つシチュエーション?」

「そう〜眩しい太陽の下での水着と〜暮れる夕陽をバックに映える水着〜そしてナイトプールでの水着を用意するの〜」

両手を組んで、想像する涼風の頬は赤く染まっている。何を想像してるんだ?


「そっか〜」

「3つのシチュエーションで水着を披露して、総合点を競って優勝者を決めるわ」

「優勝者も決めるのか?」

「そうよ、コンテストだもの」

「…優勝商品も出る…」

「なんだって!?」

「フランス旅行にいけるの〜」

「マジ!?」

「そう、ファッションの国に行って勉強できるの」

「フランス語も勉強中〜ミミ〜」

「耳〜?」

「…フランス語でかわいいって言う意味の言葉…最近ヒマちゃん、よく使ってる…」

「そうなんだ」

「ミミ〜ミミ〜」


「そういうわけだから、3つの水着のデザインが決まるまで、ルーナのマネのアンタには…し、しばらくここに通ってもらうわよ」

「ええ!?なんでだよ」

日向はちょいちょいと手招きした。

「ん?なんだ?」

俺は耳元を日向に近づけた。


「…ヨゾラが女装してここへ来るわけにはいかないでしょ」

「それもそうだな…」

マネージャーの仕事だとはいえ、ここに通わないと行けなくなってしまった。

「なに!?嫌なの?」

「い、いや、そんなことないけど〜」

日向にジロッと睨まれて狼狽した。ちくしょう!美人だなこいつ。


「ねぇ〜サクラコ〜?」

「なに?ヒマワリ」

「1つは、バンドゥビキニに決まったけど〜あと2つは何にする〜?」

「う〜んそうね〜、真神。アンタからリクエストはないの?」

「俺か?あ〜そうだな〜、水着ってどんな種類があるんだ?」

「そうねぇ。大きく分けて、ビキニタイプとワンピースタイプがあるわ」

ビキニタイプとワンピースタイプか


「その2種類からいろんな形状の水着が派生していくの」

「バンドゥビキニっていうからには、バンドゥはビキニだんだな?」

「そうね。書いて字のごとくビキニよ」

「日向もバンドゥビキニを着るのか?」

「ええ、そうね。着ることもあるわ」

俺は静かに目を閉じた。

このバンドゥビキニを着ている日向を想像するために。


「…ん?何、急に目を閉じるのよ?」

「………」

「ねぇ?ちょっと、真神?」

チョイチョイっと日向を手招きする竜田姫。

日向は「何?ナデシコ」と耳を近づけて竜田姫の声を聞こうとする。

コショコショと竜田姫は日向に話した。


「…マカミンは多分…サクラコがその水着を着ているところを想像している…」

だんだんと日向の顔が紅葉のように紅く染まる。

「アハハハァ〜、マカミン〜。また鼻血出てるよ〜」

涼風は俺を指さしゲラゲラと笑った。

「あ!やべっ。鼻の血管が切れやすいのかな」

俺は鼻血がこぼれ落ちないよう上を向いた。

俺はもらったハンカチを取り出した。左の鼻の穴から血が出てようだ。

鼻血を拭き取り、スッキリして顔を下げると


「何考えてんのよ!!!!」

ドカッ!!!!


目の前に拳が飛んできていた。

見事な左ストレートを鼻っ柱に喰らってしまった。

今度は右の鼻の穴から鼻血が出てきた。日向にぶん殴られたのだ。

そうだこいつは結構武闘派なのだ。忘れていた。喧嘩していた頃を思い出した。

今や俺好みの美人なお姉さんの見た目になったが、中身は変わっていないのね。


「マカミン、想像で鼻血出すなんてエロすぎ〜」

「……また鼻血出してる……」


涼風は笑い、竜田姫が何故か目を輝かせてそう言った。

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