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スヤサキ君って実は…  作者: みえないちから
《第一章 陽太、昔馴染みと再会する》
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《第十一話 水着は良いのかよ》

「う〜んどうしようかな〜」

「いいじゃん?試しに着てみるだけでも良いからさ。アンタのスリーサイズとかも知っとかないとね。明日も休みでしょ?さっそく測らせて」

怒涛に明日のスケジュールを組もうとするお姉さん。

「待って、まだ受けるとは言ってないよ、サクラコちゃん。ボクだって暇じゃないかな。明日急には無理…」スヤサキはお姉さんに手のひらを見せるように待ったをかけた。

「はぁ〜そう残念、なら仕方ない」

パシャパシャ


「え!!?ど、どうしてボクを撮るのかな、サクラコちゃん?」

お姉さん(自称日向)はおもむろにスヤサキをスマホで撮り始めた。

「明日この写真を元に改良するしかないか…」

「ごめんね、サクラコちゃん」

「いいのよ。気にしないで。でも驚いたわよヨゾラ。アンタが本当に女装してるだなんて、アタシが想像してた通りすごく可愛いわ。あとは二人にこの写真を見せて考えるわ」

「エヘヘ〜それほどでも〜…てっ!あと二人!?」スヤサキはぴょこんと猫のように耳が立ち上がるようなリアクションをした。


「ええ、そうよ。この水着のデザインはアタシが担当したんだけど、あの子たちにもこの写真見せて上げたいわ。でも驚くわよ、あの子たち。ヨゾラが女装してるなんて知ったら」

「ちょ、ちょっと待ってサクラコちゃん。その写真他の人にも見せるの?」

「ええ、そうよ。アタシのチームはアタシの他にあと二人いるわ。その二人にはアタシのデザインを元に採寸と水着作りをしてもらうのが担当だもの。アンタも知ってる子よ。ヒマワリとナデシコ」

「ㇶ、ヒマワリとナ、ナデシコだと!?」

終わったぁ!その二人の名前は、高校時代に日向と毎日つるんでいたギャルの名前じゃねえか。涼風スズカゼヒマワリと竜田姫たつたひめナデシコ。日向桜子の親友。あともう一人いた気がするが…今は、まあいいだろう


「ヒマワリちゃんとナデシコちゃんにも見せるの?」

「もちろんチームだもん。早くヨゾラの採寸を済ませたいわ」

「そ!それはダメかな絶対!」

周りの目も気にせず、大声を出したスヤサキ。

「なんでよ、しっかり採寸しないとダメじゃない。コンテストに出すんだから」

「そ、そもそも。着るなんて言ってないよ、サクラコちゃん」

「どうして嫌がるのよ。可愛いってアンタも言ったじゃない?気に入ったんでしょ?」

「そうだけど、着るだなんて…」

「想像してみてよ。アンタがこの水着を着ているところを…アンタは南の国の砂浜で歩いてるの。夕陽に照らされてアンタの着ている水着は輝いているの」

「ボクが…このイラストの水着を着て…南の国の砂浜を…」

おもむろに頭をあげ、目線を右上に送るスヤサキ。ポワポワポワ〜と頭から雲を出して、想像しているかのようだ。


「い、いいかも…」

「そうでしょう、そうでしょう、アタシも良いと思うわ。夕陽に照らされるヨゾラの白い肌!くぅ〜眩しいわね〜」

「えへへ、そうかなぁ〜」

「麦わら帽子を被ったヨゾラは、誰かに呼ばれて振り向くの。お嬢さんとても綺麗ですね」

「も、もう〜サクラコちゃんったら〜」


なんだかスヤサキのやつ、たらしこまれているな。

「あるいは素敵な男性とナイトプールでデート。ヨゾラの素敵な水着姿に周りの視線は釘付けよ」

「素敵な男性と……はっ!それは変かも、ボク男だし!」

素敵な男性と何やら妄想しかけて我に返るスヤサキは顔を真っ赤にして自分は男だと主張した。

「水着は良いのかよ」

「水着は良いのね」

「水着は大丈夫だよ」

さすがは女装家スヤサキ君。女性ものの水着はOKだけど、素敵な男性とデートはNGらしい。

男としてはそうだろう。たとえ素敵な男性だとしても嬉しくない。俺も可愛い女の子の方が良い。

「水着は大丈夫なのね。ならぁこの水着も着れるじゃない」

「うっ…ど、どうしようかな…どうしたらいいかな、真神くん?」

「え!?ああ、そうだな…」


スヤサキは不安げな目でジッと見つめてくる。俺の答えを待っているようだ。

う〜ん、正直水着はどうなんだ?スヤサキは女装してることをバレたくないと思っているが、日向にはもうバレているわけで、この後ヒマワリとナデシコにも伝えるということはスヤサキの女装趣味をいうわけで…

「日向…一つ聞いてもいいか?」

「一つ聞きたいことって何?」

「…スヤサキが女装してるってことは誰にも言わないでくれないか?もちろん涼風と竜田姫にも」

「真神くん…」

「ヨゾラ、アンタの女装はクオリティ高いのに自慢したくないの?」

「う、うぐぅ…」

「スヤサキも言っているが、女装してるってことを広めたくないんだ。今回はバレてしまったけど、スヤサキが女装を趣味にしてることは黙っていて欲しいんだ」

「それだと、ヒマワリとナデシコにはどう説明するのよ?実際に採寸するのはあの子たちなんだから」

「そこをなんとかお願いします」

俺は頭を下げて言った。

「はぁ〜〜そもそもなんで真神は、ヨゾラの女装趣味を知ってるのよ?」

やっぱり、そこ気になりますよねぇ〜

その質問が来るかもしれないと覚悟していたが、どうするか?

スヤサキの女装趣味を知っているのは俺と新たにお姉さんの二人になった。いや西園寺もほとんど知っているようなものだったな。三人だ。配信活動については俺しか知らない。この際スヤサキの兄は除外するぞ。身内だから知ってて当然。


もし配信活動のことが知られたら、あれよあれよとスヤサキの秘密が周りにバレてしまいかねない。まだマネージャーとしての仕事もまともにしていないのにバレてもいいのか?いや、バレてはいけない。スヤサキの兄に殺されるかもしれない。ここは適当に映画好き友達だということにしよう。これならすぐるの時と同じでスヤサキのもう一つの秘密を隠せるだろう。


「それは俺達映画好…」

俺がナイスな言い訳を考えて言おうとしたのを遮るように横に座っていたスヤサキが口を開いた。

「実はボク、女装して配信活動をしてるの」


……なん…だとぉぉぉぉぉおお!?

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