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スヤサキ君って実は…  作者: みえないちから
《第一章 陽太、昔馴染みと再会する》
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《第四話 そうだ!素数を数えるんだ》

サクラコちゃんを見ている、常連さんを見ている、スヤサキの頭越しに俺は二人の会話聞いていた。

「良かったわね、佐久間さん。これを機に服に興味を持ってくれると嬉しいわ」

「ありがとう、桜子ちゃん。それで今度またすみれちゃんとデートするんだ。またコーデをお願いできないかな?」

「え…またデートするの?」

「桜子ちゃんのコーデを褒められてさ、また桜子ちゃんにコーデして欲しいんだよ」

「う、うんわかった」

サクラコちゃんとやらは歯切れの悪い返事をした。


「なんだか、嬉しくなさそうだね…サクラコちゃん」

何かを感じ取ったスヤサキは心配そうにつぶやいた。

モゾモゾと腰をくねらせるスヤサキ。


「どうしたんだろ…はっ!もしかしてサクラコちゃん、あの常連さんのこと!?」

また何かを感じ取ったスヤサキは頬を紅く染め、高揚していた。

「ねぇ、どう思う、真神くん?」

「………」

「ねぇ真神くんどうしたの?小声だったら喋っても良いから」

「………」

俺は今、人生で最大の危機に瀕している。これは未だかつてない最悪の状況!

俺のムスコが!My sonが!孫悟空の如意棒のように伸びようとしている。

俺の股間に!…俺の股間に!…スヤサキのお尻が密着している。

なんだ!?なんでだ!?なんでこいつのケツはこんなに柔らかいんだ!!!?


「…真神くん…どうしちゃったの?」

小声で話しかけてくるスヤサキに今は反応できない。

今は雑念を取り払い、ムスコが起き上がるのを阻止しなくてはならない。

俺はどうしたらいい?この今にも込み上げてくるリビドーを抑えるにはいったい!どうしたらいい!?

「…そうだ…素数だ…素数を数えるんだ…」

俺は素数を数えて、落ち着くことにしてた。


「…え?…なに?…そすう?」スヤサキはこいついきなり何を言い出したの?というような顔をしている。でもそんな疑問に答えてる場合ではない。

「1…2…3…5…」

雑念を捨てろ…雑念を捨てろ…


「ねぇ真神くん…?どうしちゃったのさ…」

「7…11…13…」

「ねぁってばぁ」

くるりと体を回して、俺と顔を付き合わせるスヤサキ。

その時、俺の股間に衝撃が!

「17…ぐはぁ!!」

「ちょ、ちょっと、ダメだよ。いきなり大きな声を出したら…見つかっちゃうよ…」

俺の口を手で抑えるスヤサキ。

思いのほか、大きな声が出てしまった。

スヤサキの柔らかいお尻が、俺のムスコを擦る衝撃で、反射的に出てしまった。


「ん?誰かいるの?」

「あ…サクラコちゃんに気づかれた…」

ツカツカ。俺達がいる試着室に近づいてくる足音がする。サクラコちゃんと呼ばれる女性店員が近づいてきてるのだ。


「椿さん、他にお客様が来てるの?」

「ええ、そうよ。大学生くらいのカップルが試着室を使っているわ」

「わかりました。…でも今の不審な声はいったい何?」


ツカツカ。段々と試着室に近づいてくる足音。

「ヤバい!どうしよう…」

くるりとまた体を回して外の様子を伺うスヤサキ。そしてまたお尻を俺の股間にセッツする。

「アフッ!!」


「ん?やっぱり変な声がする…………どうかされましたか?お客様?」

サクラコちゃんが試着室にたどり着いた。

「だ、大丈夫ですよ〜」

スヤサキがカーテン越しに返事をする。

俺はその間も素数を数えている。スヤサキのせいで途中まで数えたのに忘れてしまった。最初から数え直しだ。

「1…2…3…5…」


「あれ?お客様お一人ですか?お連れ様はどちらに?」

「…あ!えっと…その……真神くん、素数数えるのやめてよ…」

「靴が2つ…もしかして、お連れ様も一緒に試着室の中に入ってますか?」

試着室の前に靴2つ。それは実に怪しいよな。俺とスヤサキは行儀よく靴を脱いで試着室に入っていたのだ。

ビクッと体を震わせるスヤサキ。

「は、はい、そうなんです〜彼氏がどうしても着替えるところが見たいっていうから〜」

「7…11…13…17…」

「お連れ様は試着室で素数を数える方なのですか?」

サクラコちゃんが試着室で素数を数える俺の奇行ぶりを怪しいんでいる。

「あ!いや!そういうわけじゃなくて、ちょっと、真神くんってば!?」


くるりとまた体を回して俺と顔付き合わせる。そしてまた股間に衝撃!

「アフン!!!?」

もう限界だ!俺はスヤサキを押し倒す形で試着室から出た。

ドサッ!

「うわっ!ちょっと!大丈夫ですか!?」

サクラコちゃんは屈んで俺の体をさすりだす。

「ま、真神くん?大丈夫なの?ちょっと恥ずかしいよ」

赤面するスヤサキは俺と今、抱き合っている状態で倒れている。俺がスヤサキに覆いかぶさる状態だ。


俺はムスコのオッキを抑えるのに必死だった。とっさの出来事だったがスヤサキの頭は守ることができた。後頭部を強打したら洒落にならない。スヤサキの後頭部に腕を回して地面との直撃をさけた。男同士だがガッシリと抱きつかせてもらった。

「うっ…悪い…でもスヤサキが無事で良かったよ…」

「え?!今、真神って…?」

サクラコちゃんと呼ばれている店員さんが俺の名を呼んだ。

「ん?店員さん、俺のこと知ってるんですか?」

俺はゴロンと転がり女性店員さんの顔を見上げようとした。しかし、見えない。大きな大きな山2つによってその顔を見ることができなかった。

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