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スヤサキ君って実は…  作者: みえないちから
《第一章 陽太、昔馴染みと再会する》
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《第二話 揺れるおっぱい》

パサ、ファサ、シュルシュル。

試着室からスヤサキの脱いだ服の落ちた音がした。

「あ!真神くん、着替え覗いてたらダメだぞ〜」

顔だけ覗かせたスヤサキは、ニヤリとして言う。


「誰が覗くか!」

「アハハハ、それもそうか。じゃ待っててね〜」

ワンピースが欲しいと言っていたスヤサキだが、とりあえずTシャツから試着するようだ。


「じゃーん!どうかな?真神くん、似合ってるかな?」

「ああ、まあ似合ってるよ」

スヤサキは今日履いてきていた、デニムショートパンツにオーバーサイズの白のTシャツを合わせた。

Tシャツの表には猫のシルエットが描かれている。スヤサキの好きな猫だ。


「うふふ。ありがとう、じゃあ次も着替えるね」

シャッ。スヤサキは再び試着室のカーテンを閉めた。

「可愛い彼女さんね」

店主さんに突然そう言われてびっくりした。

「ち、違います!友だちですよ!友だち!」

「なんだぁ、そうなの?これから告白するの?」

「違いますって、友だちです!」

俺が店主さんにからかわれてる間に試着室のカーテンが開いた。シャッ!


「じゃじゃーん!今度はネイビーカラーにしてみたよ」

スヤサキは先ほどのオーバーサイズのTシャツと違って、おへそが出るピチッとしたTシャツを着て出てきた。

スヤサキの胸が揺れている。今日も全力で女装している。相変わらず凄い胸だ。

本物と見間違うほどだ。

だが、俺は知っている。あのおっぱいは偽乳だということを。

「ねぇねぇ?どうかな?似合ってるかな?」

スヤサキは無駄にピョンピョンと胸を揺らしている。

くっそぉ〜こいつ俺が、揺れる胸を見てしまうのわかってやっているなぁ?


「おい!俺をあんまりからかうなよ!スヤサキ」

「からかってなんかいないよ〜」

ピョンピョン。プルンプルン。

スヤサキはまた無駄にピョンピョンと飛び跳ねている。

わざわざ俺の方を向いてね。

「おい、やめろ、やっぱり、わざと、やってる、だろ!」


俺は思わず、揺れるおっぱいにつられて頭を上下させてしまう。

「ニシシッ。やっぱりスケベェだね、真神くんは〜」

「おい!誰がスケベェだ!?お前がそういう…」

シャッ!あ!俺が言い終わる前にカーテンを閉めやがった!


再びシャッ。スヤサキは着てきた服に着替え直していた。

「おまたせ〜真神くん」

「そんなに待ってねぇよ」

俺はからかわれて少しだけムカついていた。

「うわ!?何を怒ってるの?」

「怒ってねぇよ」

そう、俺は怒っていない、スヤサキにはね。

俺は偽乳とわかっているのに反応する自分のムスコに腹が立っているのだ。

「ふーん、でもなんで少し前かがみなの?」

「何でもない!気にするな!」

クルッと後ろを向きゴソゴソ。

ふ〜これでヨシ!

スヤサキは「???」としているが深く追求することはなかった。

男の子は仕方ないのだ。お前もわかるだろう?


気を取り直して、

「そのTシャツは2つとも買うのか」

「う〜ん。ワンピースも欲しいから、どちらか1着にしようと思ってるんだ。真神くんはどっちが好きかな?」

「う〜ん。そうだな〜」

俺は断然!ネイビーカラーの方が好みだな。

「ねぇ?どっちがいいの?」

右手にピチピチサイズのネイビー、左手にオーバーサイズの白を持ち、ニコニコしながら聞いてくる。ニヤリと嫌らしい笑顔でもある。

「…そうだな……白で」

俺は深く思考した結果、あえて白を選んだ。あえてね。

「え!?ネイビーの方じゃなくて?」

スヤサキは目を丸くして驚いてる。

「はぁ!!?なわけねぇし!」

「ええ〜本当にそう思っている〜こっちのピチピチの方が好みなんじゃな〜い?」

ヒラヒラと右手に持ったピチピチTシャツを俺の顔の前にちらつかせる。

はぁ!??!?ちげーし!ピチピチなんて!興味ね〜し〜」

俺はそっぽを向いて、スヤサキの視線から逃げた。

「ホントに〜さっきはボクの胸の揺れに合わせてヘドバンしてたよ〜」

「かぁ!?」

こいつ、俺の視線に気づいてピョンピョン飛んでたのか!?

「おい!からかうんだったら俺は帰るぞ!」

「ああ!ごめんってば〜もうしないよ。真神くんの言う通り白の方にするね〜」

「ったくよ〜」


「ふふふ。あなたたち仲が良いわね。本当に付き合っていないの?」

俺たちのやり取りを側で見ていた店主さんがまだ疑っていた。俺とスヤサキはそういう関係ではない。


「ええ!そう見えます〜?実は…」

「違いますよ!俺とスヤサキは付き合ってません!だってこいつは…」

「真神くん〜?」

「あ!」

スヤサキが睨んでいる。それ以上先を言うなとこちらを睨んでいる。

「この子が…なんなの?」

「あ!えっと…友達なんですよ」


「ふ〜ん。男女の友情ですか〜?」

「な、なにか、変でしょうか…?」

「ううん、全く変じゃないよ。でもね、私も旦那と高校時代に初めて会って、ただの友達同士だと思ってたけど、大学生になったら付き合いだして、結婚したんだもん。あなたたちが付き合わないなんてないと思うわ」

「わぁ!素敵ですね」

スヤサキはこちらをチラチラ見て頬をに両手をあて、照れている。

なんでそこで頬を染める!??

「で、ですからスヤサキとは…」

「真神くん!今度はワンピースも見に行こう?一緒に選んでよ」

スタスタと歩き出したスヤサキはレディースコーナーに再び向かった。

「ほら、未来の彼女が呼んでるわよ」

「わ!ちょ、ちょっと…」

店主さんは俺の話をまったく聞かず、スヤサキの方へと俺の背中を押した。

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