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《プロローグ 桜、紅く染まる》
「いやっ!離して!」
アタシは掴まれた自分の腕をなんとか振りほどこうとしていた。
「なぁ?いいだろ?サクラコ!もう我慢できないんだよ!やらせてくれ!」
柊介は人が変わったようにアタシの腕を強く握っている。
「痛い!離してよ!」
「いいじゃねか。もったいぶるなよ!」
ドサッ!
アタシは柊介に押し倒された。
怖い。嫌だ。ヤメてよ。アタシは怖くて目を閉じた。
「俺達、付き合いだして、キスもまだしてない。そんなの周りで俺達だけだ!」
そんなの知らない!アタシはまだそういうことは…
「このままじゃ周りにバカにされたままだ。俺達は今日でキスよりも先に行くん…えっ!?」
アタシの上に馬乗りになっていた柊介の重さが、消えた。
「誰だよ!?お前は……真神?てめぇ!何すんだよ!」
えっ!?真神?真神が何で?
自分の彼氏に襲われてるアタシのところに来たのは
嫌いな真神陽太だった…




