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スヤサキ君って実は…  作者: みえないちから
《第四章 陽太、兎姫(うさぎひめ)からお菓子をもらう》
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《第十四話 エレミニョンヌなのに》

あっ…危ねぇ〜!?

なんでいきなりナイフとフォークが飛んできたんだ?

「あらぁ。大丈夫かしら?」と理事長が少し驚いた顔で俺を見る。

「だ、大丈夫です…」

俺はなんでナイフとフォークが飛んできたのか、

まったくわからなかった。

するとツカツカとスヤサキが近づいてきた。


スヤサキはニコニコと笑いながら

「ごっめーん!手が滑っちゃったぁ〜怪我なぁ〜い、真神くん?」と言った。

「ごっめーん!っじゃないだろ!当たったらどうするんだよ!」

俺はナイフとフォークを投げてきたスヤサキに至極当然に文句を言った。


「うん。だからごめんって今度は気をつけるよ」

と手を合わせて言ったあと、耳元に顔を近づけて

「でも、キミがまたスケベェなことを考えたら…

わからないけど?」

と低い声で怖いこと言ってきた。

 「は、はい」俺は震えながら返事した。

はぁ〜バレてる〜俺の脳内妄想がバレてるよ。

怖いよこいつ〜


スヤサキは自分のキッチンに戻って、リポーターのランさんから

「凄いナイフ使いですね。今度、手合わせお願いします」と言われてる。

「フフン!まぁこれくらいはね朝飯前だよ」スヤサキは自慢げに喜んだ。

くそぉ。あいつ強者感出しやがって、高いところ怖いくせに〜

 

そのままスヤサキを睨みつけていると、シュー生地をゴムベラですくって、

何かを確認した。

「よし!これくらいでいいかな」

スヤサキは、混ぜ終えたシュー生地を絞り袋に流し込んだ。

オーブンシートを敷いた鉄板にむにゅう〜っとシュー生地をまあるく、こんもりと絞り出していく。

絞ったシュー生地の上に、パテ型でくり抜いたクッキー生地を乗せていく。


「よし!なかなかいい感じかな。次はオーブンで焼いていくよ」

「さぁ、スヤサキ様はオーブンで生地を焼く工程に入りました。対するお嬢様は?」

「こちらはミトお嬢様のキッチンです。ミトお嬢様も先程から既にオーブンでクッキー生地を焼き始めました」とリンドウさんが言った。

西園寺は焼きの工程に入ったようだ。


「シュー生地をオーブンで焼いてる間に中身のクリームを作るよ」

とスヤサキは鍋に牛乳とバニラペーストを入れ火にかけた。

スヤサキはボウルに卵黄と砂糖を入れて

「白っぽくなるまでかき混ぜるよ!おりゃぁぁぁ!!!」

と勢いよくかき混ぜる。


勢いが強すぎて、あっちこっちに中身が飛んでいってる。

リポーターのランさんも嫌そうな顔をして避難してる。


「あらぁ。元気な男の子ね。でも女の子にも見えるわ。不思議な子ね」

理事長がスヤサキを見てそう漏らした。

そうです。スヤサキは男です。今はメイド服を着た男ですけどね。

「えっ!?西園寺カイチョウ、あの子は男の子なのデスカ?」

「ええ、そうよ。セブ」

「オーララ、信じられまセーン。とってもエレミニョンヌなのに」

どうやらセバスチャンさんはスヤサキを女の子だと思っていたようだ。

そうだよね。驚くよね。メイド服着てるもんね。


「白っぽくなったら、薄力粉を入れてゆっくり混ぜていくよ」

今度はゆっくりと静かに混ぜ始めた。

「そしてこのボウルの中にお鍋の中身を入れて馴染ませていくよ」

少しずつ入れてボウルの中を馴染ませていくスヤサキ。

先程までのワンパク小僧ぶりは消えて、お菓子作りを楽しむ女の子のような優しい手つきになった。


馴染ませた生地を先ほどのお鍋の中に茶こしに通しながら入れて、

ゴムベラで混ぜていく。

ほんのりと黄色が付いてきた。

これはカスタードクリームだ。シュークリームといえばこれだよな。


スヤサキは、カスタードの他にふわっふわのチョコホイップクリームと、

鮮やかな緑色の抹茶クリームをその手際の良さで作った。


「さぁ両選手、生地をオーブンに入れてそろそろお菓子作りも佳境と言ったところでしょう」

「こちらはリンドウです。ミトお嬢様の生地が焼き上がったようです」


これがガレット・ブルトンヌか。普通のクッキーより少し厚めになっている。

食べごたえがあって美味しそうだ。

表面はフォークで斜線を引いたような線が交差しているデザインだ。

西園寺は他にもリング状のガレットも作っていた。

そのリング状のガレットは何に使うのか?と思っていたら、

焼き上がったガレットの上に乗せて、リングの穴の部分にフルーツたちを乗せた。さらに食べごたえが増したようだ。


「こちらはランです。スヤサキ様の生地も焼き上がったようです」

スヤサキの持つ鉄板トレーの上には、ふっくらと焼き上がったシュー生地が綺麗に並んでいる。

焼き上がったシュー生地の底をペティナイフで穴を空けたスヤサキは、

ニュルニュルとクリームを流し込んでいる。

シュー生地の中にクリームが詰まっていく。想像するとワクワクするよな。


「よし!これで完成かな」

「ワタクシも完成ですわ」

「それまで!両者ともに完成したようなので、審査員の方々に実食していただきましょう」


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