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スヤサキ君って実は…  作者: みえないちから
《第四章 陽太、兎姫(うさぎひめ)からお菓子をもらう》
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《第三話 貸し切りにしますの》

「お料理対決!?何を作ろうっていうのかな?」

「そうですわね……」と顎に手を当て考える西園寺。

「お菓子にしますわ。お菓子対決!」

「お菓子対決?…いいね。対決場所はどこかな?」

「この大学を貸し切りますわ」

西園寺が凄いこと言ってる。この大学を貸し切るだと!?


「さすがだね西園寺さん。この大学の理事長の孫娘なだけあるかな。そんな提案がすぐに出てくるなんて」

そうなのだ。西園寺はこの大学の理事長の孫娘なのだ。

「対決場所はわかったかな。それじゃあ今度は対決日を決めないとかな。いつにする?」

ペラペラとスケジュール手帳をめくっているスヤサキ。

「今日ですわ!」

デデンっ!そんな効果音が飛び出しそうな勢いで西園寺は笑顔で快活かいかつに言った。


「え!?きょ、今日!?」

「ええ、今日ですの。時間にしてこの後すぐですわ」

「でもこの大学を貸し切りにするんだよね?そんなすぐには大学側から許可が下りないと思うかな」

俺もスヤサキと同じ意見だ。構内にはまだたくさんの生徒がいる。

それを「今から貸し切りにするから、お前ら帰れ!」なんてことは言えないだろう。


「ご安心くださいませ。今から許可を取りますわ」

スマホを取り出しどこかへ電話をかける西園寺。

うさぎのスマホカバーだ。

「うさぎのスマホカバーだぁ。可愛い…」

スヤサキもスマホカバーに反応して感想を漏らした。

スヤサキのスマホカバーは確か黒猫だったよな。

今スヤサキの手に持っているのは、 普通のスマホカバーで色は白猫。

女装の時と元の姿の時を使い分けているようだ。


「もしもし、ウエンズデーかしら?」

ん?ウエンズデー?水曜日?


「今日の午後からこの大学を貸し切って、スヤサキさんと対決いたしますわ。ですので、大学の貸し切り許可を取ってくださる?……え?無理?どうしてですの?」

西園寺はウェンズデーから無理だと言われたようだ。いきなり大学を貸し切るなんて、いくら理事長の孫娘でもダメだったようだ。


「ど、どうしてもダメですの…?」

西園寺は不安そうな表情を浮かべてもう一度聞いてみた。

しかし、答えはNOだったようで「ハァ…」とため息をついた。

「仕方ありませんの。今回は貸し切りは諦めるですの。ウエンズデー?今からでもどこか対決のできるいい感じの場所はありませんの?」

西園寺は大学を貸し切るのは諦めて、他の場所を聞いている。


「バスケットコートならいける?わかりましたわ。

そこでスヤサキさんと対決いたしますわ。ウエンズデー、貸し切りの予約を任せますわ。それでよろしくてスヤサキさん?」

西園寺は電話を切り、スヤサキに合意をとる。

「うん、それでいいかな」

「場所が決まりましたわ。次はどちらが勝ったかを決めていただく審査員を決めたいと思いますわ。どなたがよろしいかしら……ん?

あら、あちらに見えるのは真神さんですわ。ちょうどいいですわ。真神さんに審査員を受けていただきましょう。真神さぁ〜〜ん!」

西園寺は笑顔でこちらに手を振った。

いいね、審査員!なんだか面白そうだから引き受けちゃおう。お菓子も食べれるみたいだしな。


「な~んですかぁ〜西園寺さぁ〜ん〜」

俺は偶然今この道を通りかかったかのように二人に近づいた。今までの二人の話をずっと近くで聞いていたのだがね。

「あ、真神くん。こんにちは」

スヤサキはこちらを見て二カッと笑った。

その笑顔を見てとりまきの女子たちは歓喜の声をあげる。

スヤサキが笑顔になるだけで、とりまきたちはどよめき立っている。

これが美少年の力か。

「よう、色男」

俺はスヤサキの肩をポンっと叩いた。

「な、なんなんだよ真神くん。色男ってボクはそんなじゃないよ」

不服そうな顔でにらむスヤサキを「まぁまぁ」となだめながら西園寺に声をかける。


「よう、西園寺。いったい何のようだい?」

「ワタクシ、今からこちらのスヤサキさんと対決をしますの」

「ほうほう」俺は頷く。

「ですので真神さんにはその対決を見守り、

どちらが勝ちかを決める審査員をしていただきたいのです!」

ビシッと俺に指差す西園寺。片方の手は腰に当てている。

「あんたバカァ!?」のポーズだ。

「なっ!なんだって!?俺に西園寺とスヤサキの対決を見守り、

どちらが勝ちかを決める、審査員をしろだって!?」


さっきまですべての流れを聞いていた俺なのだが、

「今初めて知りましたよ」といった感じで西園寺の言葉をオウム返しした。オーバーリアクション付きでな。

「なんだかとてもわざとらしいかな、真神くん?」

わざとらしい?そうかな?完璧な演技かと。まぁいいだろう。

冷たいジト目で見つめてくるスヤサキなんかは、放って置こう。無視無視。


「それで西園寺。対決する日はいつにするんだ?」

「今日ですわ!今すぐですわ!」

「ほう。それは急だな。だが、悪くない。この後の予定はキャンセルするとしよう」

この後の予定など無いのだがな。

「ありがとうございますわ、真神さん。それではさっそく参りましょう、決戦の地へ!」

俺と西園寺は決戦の地へと向かった。

「なんだか二人ともノリノリかな……

あ!ちょっと待ってよ、ボクも行くから」


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