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スヤサキ君って実は…  作者: みえないちから
《第三章 陽太、迷子幼女に会う》
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《第十六話 現代っ子だな》

以前スヤサキとペンブロークで一緒に食事をしたことがあるけど、

その時もスヤサキは大量に注文していたな。

驚くことに全部たいらげてしまったのだが…

こいつの胃袋は宇宙なのか?


「よぞらおねえちゃん…たべすぎでしゅ」

紬星ちゃんにも呆れられたようだ。

「みんなが少食なんだよ」

「それは違うぞ、スヤサキ。お前がただ、大食いなだけだ」

うんうんと天ノ村姉妹は同時にうなずく。

「え〜そうかの〜」

「そうかの〜ってなんだよ」

「クスッ…よぞらおねえちゃんおじいさんみたい」

両手で口を隠し、笑い出す紬星ちゃん。どうやら受けたようだ。

「こら、紬星…クスッ」

紬星ちゃんに注意するも自分も笑いを堪える天ノ村。


そこにまた新幹線が寿司を載せて、俺たちのテーブルに到着した。

今度は俺が頼んだ炙りサーモンと玉子の握りだ。

俺はまず、玉子の握りを口に運ぶ。甘い出汁が効いている。

玉子もふわふわでスポンジのようだ。

玉子だけでもデザートとしても楽しめるんじゃないか?これは絶品。

玉子の握りに舌鼓を打っていると隣のスヤサキも

「はぁ〜やっぱり、サーモン美味しいよ〜」

などとスヤサキはサーモンに舌鼓を打っている。

本当にサーモンが好きなやつだな。


「あわあわ‥」

前に座っている天ノ村がなにやら「あわあわ」し始めた。

泣いたり、焦ったりと表情が豊かなやつだな。

「どうした天ノ村。あわわしてまずいものでも見たのか?」

「あ、あ、あの…真神さんのサーモンが…」

「俺のサーモンがどうした?」

「真神さんのサーモンが…」

右手を軽く握り口元にあて、目をそらす。


「俺のサーモンが?」

ふたたび聞いてみると、なんかだんだん天ノ村の頬が赤くなって、恥じらい出してるように見える。

俺に惚れたか?なんてな。


「真神さんのサーモンが…夜空さんに…その、食べられました」


はっ?


隣を見ると俺の頼んだ炙りサーモンをちょこっと口から出して、

チュルッと吸い込むスヤサキを見た。

ああ!俺のサーモンが大食いモンスターに食べられてしまった!


「おい!スヤサキ。てめぇ!そのサーモンは俺のだぞ!」

「もめん、おいひそうだったから、つい」

モゴモゴと口にまだ俺のサーモンを入れたまま喋るスヤサキ。


「美味しそうだからって、お前な〜」

ごくんと口の中のサーモンを飲み込み

「だってたまらなく美味しそうだったんだもん。ごめんね」

上目使いで子犬のように瞳をウルウルさせてもダメだ。


「だいたい、炙りサーモンはお前も頼んで食べたばかりだろう?」

「一度食べたらまた食べたくなる美味しさだったよ」

「なら自分で頼めよ。俺も楽しみにしていたんだから」

「真神くんもサーモン好きなんだね。嬉しいな、こんなところでサーモン好きに会えるなんて」寿司屋に来たら会えるだろそんなもん。

「ったく、もういいよ。それよりタブレット取ってくれよ。

もう一度、炙りサーモン注文するから」

「はいはーい。はい、どうぞ」

ニコニコと笑うスヤサキからタブレットを受け取る。

今度は食べられないように気をつけなくては。


「つむぎもステラのおすしたべるでしゅ」

紬星ちゃんの頼んだちらし寿司は、アニメとコラボしてある特別メニューだ。

紬星ちゃんが推してるキャラのちらし寿司だ。

キャラ弁のようにアニメのキャラクターの顔をちらし寿司の具で描いている。

そのアニメは観たことないけど、ちゃんとキャラクターの顔だとわかる仕上がりだ。

ちらし寿司の具材で、キャラクターの髪の色や瞳の色まで再現している。

絵心がない俺はここまでキャラクターを似せることができない。

そしてしっかり旨そうだ。

具材はイクラ、錦糸卵、エビ、カニ、マグロの赤身、中トロ、海苔等が使われている。

一度にいっぱいネタを楽しめて、いいメニューだな。

キッズ用のメニューだけど大人でも頼むのもありだと思う。

少し恥ずかしいけど。


紬星ちゃんはちらし寿司をマジマジと見てから、

スマホを取り出し写真を撮り始める。

さすがは現代っ子だな。

カシャカシャ、カシャカシャと写真を撮り始める。

カシャカシャ、カシャカシャ。

アングルを変え、またカシャカシャ。

ときには自分も入って、カシャカシャ。

なかなか食べ始めない紬星ちゃん。


「紬星。写真はそれくらいにして食べなさい」

「あともういちまい」と紬星ちゃんはカシャカシャと写真をとる。

それを見て天ノ村は「もう紬星ったらしょうがないわね」

と紬星ちゃんの頭を撫でる。

本当に仲のいい姉妹だな。

天ノ村は高校一年生の十六歳くらいだから、

紬星ちゃんの五歳との差は、十一歳差になるのか。


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