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スヤサキ君って実は…  作者: みえないちから
《第三章 陽太、迷子幼女に会う》
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《第十三話 新幹線は男の子のロマン》

「お姉さん、高校一年生なんだ。ボクらは兎映とえい大学の二年生だよ。

そうだせっかくだから結星ゆうほちゃんって呼んで良いかな?」

「あっ!はい、ど、どうぞ」

少し照れながら首を縦に振るお姉さん。

「ボクは夜空でいいよ」

「はい、夜空さん」

二人は急速に距離を縮めてしまった。

スヤサキは、コミュニケーションお化けだ。

二人のやり取りを眺めていたら俺だけ置いてけぼりになっていた。


「ほら、真神くん!早くおいでよ。お魚なくなっちゃうよ!」

こちらを振り返り、手を振る。

「わかった、今行くよ」

回転寿司屋で魚がなくなるなんて、ありえないだろう?


だがしかし、スヤサキの食べっぷりなら、ない話ではない。

スヤサキに寿司を根絶やしにされる前に寿司を堪能しなくてはならない。

さて、一番始めは何を食べようかな。


「いらっしゃいませ〜」

俺たちは店に入り、メガネの女性店員にボックス席に案内された。

レーンが流れる方の席にスヤサキと紬星ちゃんが座った。

二人は腹ペコのようで真っ先に皿がとれる席を陣取った。

相談もせずにね。

俺はスヤサキの座る側の席に座り、天ノ村は紬星ちゃんが座る側に座った。


「わぁお寿司がいっぱいだね。紬星ちゃん?」

「いっぱいでしゅ」

二人はレーンの上を流れるお寿司に首ったけだ。

レーンには丸い皿が敷き詰められ、その上には赤や緑、黄色に白と様々な色をした皿がながれている。

この寿司屋のレーンは二段構造になっていて下のレーンは流れてくるお皿の中から食べたい寿司をとる。


上段のレーンは卓上にあるタブレット端末で、好きなネタを選んで直接テーブルに注文したお寿司が流れてくるシステムだ。

だいたいの回転寿司屋はこのシステムだろう。

寿司を持ってきてくれるのは、新幹線の形をしたおもちゃのようなもので後ろの車両にお寿司が乗ってやってくる。

男の子に好評のようだ。男の子は新幹線が好きなのだ。


「しんかんせんでしゅ!つむぎ、あれがいいでしゅ!」

「うわぁ!ホントだ!新幹線がお寿司を運んでくれるみたいだね。ボクも頼みたいな」

女の子にも好評のようだ。うち一名は男子だけど。

お前は新幹線のおもちゃで喜ぶ歳でもないだろ。

と思いつつ実は俺も少し興味がある。


俺の家庭はあまり外食する家庭ではなかったから、新鮮だ。

正直、俺もあの新幹線を一度利用してみたい。

さっそく俺はタブレットを手に取り、食べたいネタを探す。

お寿司の食べ方には順番があるという。

だが、そんなことは知らん、食べたいネタから食べる。

それが俺のやり方だ。最初は中トロから食べよう。

タブレットを操作し中トロを選択し注文完了。


タブレットの画面には、この店の制服を着たマグロのキャラがお辞儀をしたイラストと

「ご注文ありがとうございました」の吹き出しが映し出されていた。

よし!これで俺の中トロがあの新幹線に乗ってやってくることだろう。楽しみだな。


「お前たちもタブレットで注文してみるか?」

俺は皆にタブレットを見せる。

「それじゃボク、良いかな?」

スヤサキが始めに立候補した。

天ノ村姉妹はスヤサキに譲り、二人同時にズズズっとお茶をすすり、同時にぷはぁ〜と息を吐いた。

見事なシンクロ。

年の離れた姉妹だけど、やはり姉妹なんだなと感心する。

本来、スシ丸に来た理由は紬星ちゃんが「魔法少女ステラ」って、アニメのフィギュアが欲しいというのでやってきたが、隣りに座っているこいつときたら…


「ふむふむ、百円のお皿二枚につきガチャコインが一枚もらえて、三百円のお皿でもガチャコイン一枚もらえる……一番高い五百円のお皿で二枚もらえるのか…」


タブレットの画面に書かれているガチャコインの説明を読み上げるスヤサキ。

「よし!決めたよ」

スヤサキはペコペコとタブレットを操作して、「これとこれとこれと…」とつぶやきながら注文をする。

スヤサキの「これとこれとこれと…」を聞く分には三皿以上を頼んでいる。

スタートからどれだけ食うつもりなんだ。

「よし、始めはこれくらいかな。次どっちが使う?」

スヤサキはタブレットを天ノ村姉妹の方に差し出す。


「では、わたしが妹の分も一緒に…」

「だめでしゅ。つむぎがじぶんでやるでしゅ」

「そんなこと言ったて紬星、これ使ったことないからできないでしょ?」

「つかったことないけどできるでしゅ!」

「え〜お姉ちゃんはできないと思うな〜」

「できるでしゅ〜それにおねえちゃんのほうがつかえないとおもうでしゅ〜」

「な!そんなことないよ。私だってこれくらいは………あれ?画面が反応しない!?、どうして?ええ!?」

あたふたと焦りだす天ノ村は画面をペシペシ叩き出す。

それはブラウン管テレビではないぞ、天ノ村。


「ほら、いったでしゅ。おねえちゃんはがさわるといつもそうでしゅ」

「うう〜なんで〜」

天ノ村は目に涙を浮かべてタブレットを振り出してみる。

そんなことしても何もならないと思うぞ、天ノ村。


「ちょっと貸してみていいかな?結星ちゃん」

「はい…わかりました」

天ノ村からタブレットを受け取ったスヤサキは、画面を触ってみる。


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