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スヤサキ君って実は…  作者: みえないちから
《第二章 陽太、ゴスロリ美少女と食事をする》
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《第四話 カレーライスの誘惑》

「お待たせしました。ミックスジュースです」

そんなスヤサキの大学でのことを考えていたら、ミックスジュースがまず最初に届いた。

この喫茶店で出されるミックスジュースには、バナナ、りんご、みかん、そしてたっぷりの牛乳をミキサーに全部入れてシェイクする。

入れた材料が全て混ざり合い、クリーム色のジュースが出来上がる。

スヤサキは目を輝かせて、ミックスジュースを一口飲んだ。


「う〜ん、本当に美味しいね。このミックスジュース♡ほっぺた落ちる〜♡」

左手を頬に当てたスヤサキは、今まで口にしたことのない、初めてのおいしさにうっとりとした表情を浮かべる。


「だろ?ここのミックスジュースはうまいんだ。コーヒーもだけど」

「すごくまろやかで、甘くて、それでいて後味はスッキリだよ、このミックスジュース…はぁ〜おいしいなぁ〜」

恍惚こうこつな表情をするスヤサキにドキドキしている自分がいる。

なんかちょっとエロいぞ、スヤサキ。


「ボク、こんな美味しいジュース、初めて飲んだよ〜」

「おお!そうか、それは良かった」

俺はどうやらスヤサキの初めてを奪ってしまったらしい


「ん?なんだか気持ちの悪いことを想像してないかな?」

鋭い!心の中を読まれてる!?


「え!?いやいや!そんなことないぞ、スヤサキがミックスジュースを美味しそうに飲むから、オススメした俺もいい気分になっただけだよ。アハハハハハハ」

「ホントかな〜?顔のニヤけ方がエッチな妄想する時の男子の顔にそっくりだったけど?」スヤサキはジトッした目で俺を見た。


俺の顔そんなにニヤけてた?あかん、あかんぞ、陽太。

相手は美少女といっても女装しているだけの男なのだ。

モッコリはダメダメ。でも…目の前の男は美少女にしか見えねぇ


「ほ、本当だって、スヤサキが美味しそうに飲んでくれるから嬉しくて笑顔になったんだよ」

「む〜…分かった、そういうことにしておくかな」

ふぅ〜、危なかったぁ〜もうちょっとで俺は変態扱いされるところだった〜

俺の話を聞いて、しぶしぶ納得したようだ。

このまま話が戻ってしまわないように、話題を変えよう。


「ところで今日は一体、何のために俺を呼び出したんだ?」

「あ!うん、それはだね…」

先ほどまでミックスジュースを飲んで幸せそうな表情だったのが一変。

真剣な表情に変わった。


「実はキミに折り入って相談があるんだ」

「ん…相談?俺に?」

スヤサキが俺に相談?一体、何の相談だろう?

「それはだね…ボクが…」


「お待たせしました。カレーライスです」


スヤサキが何かを言いかけたその時に、美味しそうな匂いを漂わせた皿が、俺たちのテーブルの上に到着した。

「あわ、あわわ、あわわわわ」


いきなり「あわあわ」と言い出したスヤサキは一度は真剣な表情になったけど、注文した料理が登場したことで、驚きと喜びに満ちた表情になる。

料理と俺の交互に見て落ち着かない様子だ。

まるでおあずけ状態のワンちゃんみたいで、なんだか心苦しい気持ちになった。


「とりあえず話はあとにして、先に食べないか?」

スヤサキは俺の言葉を聞いて、パァァと明るい表情になる。


「そうだね!いただきます。ハグッ!モグモグ…それがいいよ!う〜んこのカレーライスおいしい〜♡」

俺が「食べないか?」と聞いた瞬間にスヤサキは口の中にカレーライスをつっこむ。

「待て!」を解除されたときのワンちゃんのごとく、素早い動きを見せた。

瞬きした瞬間にはもう、カレーライスはスヤサキの口の中に入っていた。

きっと「俺でなきゃ見逃しちゃうねぇ〜」で有名なおじさんでも見逃すスピードだった。ま、まったく、見えなかった…。


呆気に取られている俺を不思議そうに見ては、

「どうしたの?真神くん。カレーライスが冷めちゃうよ?カレーライスは温かいうちに食べないと」

「そうだな…いただきます」


俺はカレーライスを一口食べる。

うん、やっぱり美味い!料理長のユミさんが作るカレーライスは何度も食べているのだが、何度食べても美味い!「喫茶ペンブローク」のカレーライスは絶品だ!スパイスの効いた自家製のルー、スプーンでも簡単にホロホロと崩れるまで煮込まれたビーフ。飴色になるまで炒められた玉ねぎのコクと甘み。

それだけの具材だけでこんなに美味しい。

一緒に付いてきた小皿にはバターがひとかけら乗ったジャガイモが一個。

このジャガイモがあることで満腹になれて嬉しいのだ。


ジャガバタってどうしてこんなにうまいのか?ホクホクのジャガイモにとろけたバターが染み込んで…この小皿だけでメインを張れる。シンプルなのに…凄い存在感。


「ふふ、キミも美味しそうな顔して食べるんだね」

クスッと笑うスヤサキにそう言われて窓ガラスに映る自分の顔はとびきりの笑顔だった。


「ほんとだ…ハハ」思わず声が出た。

俺は大学に入学してからは、しばらく一人で食事することが多ったので誰かと食事する楽しさを思い出した。


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