表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スヤサキ君って実は…  作者: みえないちから
《第三章 陽太、仲間と映画を観て創作意欲を湧かせる》
113/113

《第十八話 ただのホームズじゃないぞ!》

ガラガラ。

「ありがとうございました~」


「はぁ〜。美味しかったね〜、真神くん?良いラーメン屋さんを教えてくれてありがとう」

「そうだろ、そうだろう。やっぱりここのチャーシューメンは最高だよな。それとスヤサキが作ってくれた特製ミニチャーシュー丼が美味すぎた。今度来たとき作ってみよう」

「フフフ。気に入ってもらえて何よりだよ。ボクもこのラーメン屋さんのファンになったから通い続けて常連さんになっちゃうよ!そして今日真神くんがしてもらったサービスを受けたいかなぁ〜」

スヤサキはグッと両手を胸のところで握ってガッツポーズを取った。

「ああ、それは良いな」

「あ!でも〜真神くんはどうしてサービスしてもらえたかわからないんだよね?いったいどうしてなのかな?」

今度は腕を胸の前で組んで考えるスヤサキ。

「ああ、それなぁ。実は店を出る直前に店主さんに呼び止められてさ」

「うんうん」

「店主さんいわく、私も……女性の太ももが好きなんです……って言われてさ」

「はぁ?なにそれ?」

スヤサキは少しだけ声が低くなった。

「たぶん、俺がチャーシューラーメンの麺のことを"うら若き女性の太もも”って表現しただろう?」

「うん、そうだね。あの気持ち悪い例えね。あの例え女の子の前では言わないほうがいいかな、本当に」

「分かっとるわい!女の子の前であんな例え使うわけ無いだろ?」

「本当かな〜」

まるで信用していない目で見るではないか、スヤサキ君?


「俺を信じろ」

俺は真剣な目でスヤサキの瞳を見つめた。ついでに両肩もガシッと掴んだ。俺は真剣なんだとアピールしたのだ。

「う、うん。わ、わかったかな。信じるよ……それであの店主さんも女性の太ももが好きだからサービスしてくれたんだね?」

「まぁ。そういうことだな」

「もう〜。せっかくボクも常連さんになってああいうサービス受けたかったのに〜」

「スヤサキもあのラーメンを何かに例えてみたら?」

「いやだよ〜だぁ」

スヤサキはそっぽを向いて言った。あっさり拒否されたな。スヤサキならどんな例えをするのか楽しみだったのに残念だ。


「じゃあ、今日はこれでお開きだな」

「ええ〜。まだ夕方の5時だよ」

スマホの時計を見せて不満を言うスヤサキ。まだどこかに行きたいのだろうか?

「って言っても他に行くことなんて無いんだが、行きたいところがあるのか?」

「無いけど……じゃあ、食後の運動ってことで中野まで一緒に歩いて帰ろうよ」

「お、おお。別に良いけど、ここからだと1時間以上はかかるぞ?」

「別にいいよ〜。天気もいいし食べた分のカロリーは運動して使わないとね」

「さすがは健康志向の高い家の子だ。食後のウォーキングがそのスリムな体型は維持する秘訣か?」

「んん〜。どうなんだろうね。普段は別に食後のウォーキングとかはやらないかな。今日はまだまだ真神くんとお喋りしたくてさ。歩いて帰るのを誘っちゃった。ダメだったかな?」

「いいや、そんな事は無いぞ。俺も実はまだまだスヤサキと喋りたかったんだ」

「えっ!?本当?なになに?ボクとお喋りしたいことって?何〜?」

スヤサキは嬉しそうに目を見開いた。ぴょんぴょんと飛ぶ姿はお菓子を買ってもらって喜ぶ子供のようだ。


「俺さ。いつか、自分の映画の脚本を書きたくてさ。今日観た映画のようなのも書いてみたいんだよな」

「うんうん」

「そこでだ。俺の書く脚本の映画で主役をスヤサキのやってもらいたと思っている」

「ええ!!?ボク?ボクでいいの?」

「ああ、そうだ。スヤサキが良いんだ。スヤサキしかいない」

俺はスヤサキの顔をジッと見つめて言った。スヤサキの綺麗な緑色の瞳は驚きで少し震えてる。

「う、うわわ…急にそんな真剣な顔で見つめないでよ。恥ずかしいかな…もう」

スヤサキは顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。なぜ赤くなる?


「えっと…もしかしてダメ…かな?」

「う、ううん。そんな!そんなことはないよ!ボクも俳優コースの人間だもん、主役を演じられるなんて、すっごく嬉しいかな」

「そいつは良かった。是非とも!スヤサキには俺の書く脚本の映画で主役をやって欲しいと思ってたんだ。俺が考えてた主役像にピッタリなんだよスヤサキは!本当、マジで」

「ピッタリっていったいどんな主役なの?」

「まずは、スヤサキにはシャーロックホームズになってもらう」

「うんうん」コクコクと頷くスヤサキ。

「ただのホームズじゃないぞ!スヤサキ演じるホームズは実は女性なんだ」

俺はドヤ顔でそう言ってやった。どうだ?驚いただろう?どんな顔をしているのか。ちょっと観てやろう。チラッ。


「あ、あ、あわあわわわわわわ……わわあああわわああっわあ」

尋常じゃなく驚いてた。とんでもない図星を突かれたような表情だ。

「え?ええ?なんでそんなに驚いてるんだ?」

俺は覗き込むようにしてスヤサキの顔を見た。

「ふえ!!!!」

クルッと背中を向けたスヤサキ。何なんだ……いったい?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ