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スヤサキ君って実は…  作者: みえないちから
《第三章 陽太、仲間と映画を観て創作意欲を湧かせる》
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《第十七話 ……サービスです……》

スヤサキは少しだけ目にかかる前髪を気にしてか、髪留めでおでこが出るように自分の前髪を留めた。

「アハハハ。なんだかマヌケな感じになったな、スヤサキ」

俺は前髪を上げたスヤサキの顔を見て笑った。


「もう〜。恥ずかしいから、あまりこっちを見ないでほしいかな〜」

顔を少し赤くして、頬を膨らませた。

「ごめんって、そう膨れるなよ。ほら、早く食べないと麺が伸びちゃうぞ?」

「うん。そうだね。麺が伸びちゃう前に食べちゃおう」

スヤサキはそう言うと、左手に持った箸で麺を持ち上げて、息をフーフー吹きかけた。

そして、ズルズルと麺をすすった。

「ん〜。ツルツルモチモチだね〜。ボクこの麺好きかも〜」

モグモグと幸せそうに喜ぶスヤサキを見て、俺も早く食べたくなった。

「美味しいよな、この中太麺。俺も好きなんだよな」


俺もレンゲでスープを一口すすった。熱いスープが食道を通り、胃に流れ込むのがわかる。

豚骨がガッツリ効いているが、醤油もキリリとキレの立つスープで飲みやすい。

続いて、麺をすする。ズルズル。

相変わらずツルツルでモチモチだ。

それはまるでうら若き女性の太もものようだ。


「どうしたの?真神くん?」

「ん?ああ。この麺のツルツルとした食感とモチモチとした食感がまるでうら若き女性の太もものようだと感じたのさ」

俺は真面目な顔で言ってやった。


「……変態……ズズズ……」

スヤサキはまるで汚物を見るかのような目で言った後、スープを飲んだ。

「くぅ~ん」

そんな目で見なくても良いじゃないか。


「……お客さん……」

俺がスヤサキに汚物扱いされて凹んでいたら目つきの鋭い店主が声をかけてきた。

やっべぇ!?変なことを口に出したから怒られるのかな?店を追い出されたりしないだろうか?そんな心配をしていると目つきの鋭い店主は「これをどうぞ……」とトッピングの海苔をくれた。


「え?俺……頼んでないですよ」

「……サービスです……」

すると目つきの鋭い店主は俺の顔をジッと見てから軽く頷いた。

サービス?いったいなぜ?俺は理由もわからず困惑したが、目つきの鋭い店主のご厚意を素直に受け取った。

「あ、ありがとうございます」

恐る恐る渡されたトッピングの海苔をラーメンの器の隣に置いた。


「え〜。良いなぁ〜。真神くんだけずるいよ〜。これが常連さんへのサービスなのかな〜?」

「わからない。俺も初めてのことだから少し困惑している」

ここのラーメン屋に通い続けて約一年。このようなサービスを受けたことがない。他のお客さんが同様のサービスを受けているところを見たこともない………まぁ、いっか。俺は気にすることをやめた。貰えるものは貰っておこう。


「ほれ、スヤサキにも少し分けてやる」

俺は2枚の海苔をスヤサキに分けてやった。

「ああ!ありがとう!さすが、真神くん!太っ腹ぁ」

ペかぁ〜っと太陽のように明るい笑顔になるスヤサキ。


「ちょうどいいから、この貰ったトッピングの海苔も使っちゃおう」

そう言うと何かをやり始めたスヤサキ。いったい何を始めようというのだ。

「これとこれを…こうして…」

しばらくスヤサキを眺めていると、ちょっとした料理が完成した。

「はい!完成〜。特製ミニチャーシュードンだよ」

「お、おお!うっまそうだなぁ〜おい」

スヤサキはサイドメニューだけで新たに美味しそうな一品を作り上げた。俺のあげたトッピングの海苔を手でちぎってまぶしてあるのも良いな。

「へへへ。真神くんにも少しだけ食べさせてあげるね。えっと……取り皿とかないかな〜」

キョロキョロとまわりを見回すスヤサキ。このラーメン屋にそういった取り皿は置いてはいない。

「こちらをどうぞお客さん……」と目つきの鋭い店主はスヤサキの特製ミニチャーシュー丼作りを見ていたのか、ご飯茶碗を一つ用意してくれた。

「わぁ!ありがとうございます」

スヤサキはニコッと笑顔でお礼を言って、目つきの鋭い店主からご飯茶碗を受け取った。

「気の利いた素敵な店主さんだね。目つきも鋭くてかっこいいし」

目つきも鋭くてかっこいい?まぁ見ようによってはそうか。俺はただ怖がってただけかもしれないな。俺も目つき鋭いし。

かっこいいと褒められた目つきの鋭い店主は「ふっ……よせやい。照れるじゃないか」と言いたそうな顔をしていた。

「あ、ああそうだな」

「はい、真神くんの分だよ」

「おう。ありがとう。美味そうだな」

「刻みネギとあるとより良かったかな〜」

「刻みネギね〜」

なんとなしに目つきの鋭い店主の方を見てみると目があった。

「あ!……」

「………」

しばしの沈黙の後、目つきの鋭い店主はトントントンと音を立て何かを包丁で切り始めた。

まさか……。

「……こちらもどうぞ……」

「わぁ!ありがとうございます。ちょうどほしかったんですよ〜」

目つきの鋭い店主は刻みネギをサービスしてくれた。さっきも海苔をサービスしてくれた。意外とサービス精神旺盛な人なのか?


俺たちはそれからチャーシューメンとスヤサキが作ってくれた特製ミニチャーシュー丼を堪能した。目つきの鋭い店主の意外な顔も見ることができて良い夕食になったな。


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