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スヤサキ君って実は…  作者: みえないちから
《第二章 陽太、ゴスロリ美少女と食事をする》
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《第一話 ゴスロリ美少女はいい香り》

かたむき始めた休日の夕方。いつもなら家に居る時間だ。

そしていつもと変わらない休日の夕方ならどの映画を見るかを配信サイトを見て吟味している最中なのだが、俺は今バイト先の「喫茶ペンブローク」でコーヒーを飲んでいる。


マスターの淹れるコーヒーは絶品だ。休みの日でも飲みたくなる。

バイトの休憩中にも時々飲ませてくれることがある。

ここでバイトをしようと思ったのもこのコーヒーの味が忘れられなかったからだ。


店内はゆったりとした雰囲気のジャズが流れている。

スマートで軽やかなピアノと音が脳に響いて心地良いギターの音色は耳に優しい。リラックスして時間を過ごすにはぴったりの空間だ。


今、俺はお客として「喫茶ペンブローク」の席に座っている。

もちろん今まで何度もお客としてこの喫茶店を利用しているが、ここ最近はお客として利用するのはご無沙汰だった。

マスターに人と会う約束をしていると伝えると

「恋人かい?」と茶化されてしまった。


いや、これから会うのは男なんですが…


まぁ、ある意味では「女性」であるかもしれないけど、

あいつはまごうことなき男だ。


カランコロンカラン。


お店の扉が開く音がした。どうやら新しいお客さんが入ってきたようだ。

入り口に目をやるとそこには少女、いや、美少女が立っていた。

かなり目立つ服装だ。


その美少女は、鳥籠(とりかご)のように膨らんだスカートにフリルやレースを幾重いくえにもあしらった少女的な要素にゴシック的な要素を入れたファッションをしている。肩には黒い小さなショルダーバッグをかけている。ドクロとスタッズが特徴的なショルダーバッグだ。


服装は全体的に黒で統一され、かなり目立っていた。

ゴシック・アンド・ロリータ。通称ゴスロリと呼ばれるファッションだ。


その美少女はまるでアニメの世界からそのまま飛び出してきたかのようなクオリティだ。整った顔立ちは気品があり、スラッとした細い手足は色白くて透明感がある。

腰の位置まである黒くてつややかな長い髪がとても綺麗だ。

前髪は眉が見える高さで切りそろえられていてパッチリした目もとが際立つ。

前髪ぱっつんともいうらしい。

頭にはフリルのついたヘッドドレスを被っている。

いきなり喫茶店にこんなゴスロリ美少女が現れたので、

他のお客さんの「なんだ、なんだ」と目を釘付けにしている。


カップルで来ていた男も美少女に見惚れている。

あっ!彼女に耳を引っ張られた。あれは痛そうだ。


ゴスロリ美少女は入口でキョロキョロと誰かを探しているみたいに店内全体を見回みまわしてる。

あっ!俺と目があった。


美少女は俺と目が合うとツカツカと、ストラップシューズの音を立てながらこちらに向かってくる。

ええ!?なに?なんであの子こっちに向かってくるの?どんどん来るよ、こっちに


店中の注目を浴びながらゴスロリ美少女は俺の席の前で立ち止まり一言。

「お待たせしたかな、真神くん?」

「……………はっ!?」

遠目からでは誰だかわからなかったがこの声は聞き覚えがある。

「ん?どうしたの?」

「いや……俺も少し前に着いたところだから気にしなくていいよ」

「そっか、それは良かったかな」


そう言うとゴスロリ美少女はニコッと笑顔になり、目の前の席に座る。

近くで髪が揺れていい香りがした。爽やかな香りで品がある。


なんだこの気持ちは?まるで初デートで待ち合わせ場所に恋人が来たときのような初々しい気持ちは!ドキドキするじゃあないか!


「な、なにか注文するか?」

「うん、そうだね。何がいいかな〜」

ゴスロリ美少女は大変迷っているみたいで「うーん…」と唸り声をあげながらメニューと睨み合っている。


「そうだ!キミは確か、ここでバイトをしているんだよね?何がオススメなのかな?」

「う〜ん、そうだな…」

オススメを聞かれしばし考える。俺が今飲んでるコーヒーを見ながらここのコーヒーを勧めるのもいいがどうせなら…




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