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ななしの聖女、10才

 ごきげんよう。

 ななしの聖女、10才です。


 わたくし、ユージェニー・ロスシュリは、魔王を倒すために誘拐されて、聖女になりました。

 名前はまだありません。



 聖女のお仕事を始めるにあたって、枢機卿のアンソニーはまず、祈り方を教えてくれました。

 ロスシュリ国の王女は、祭壇の近くに立って下を向いて黙とうを捧げますが、ワイト国の聖女は、祭壇の前に跪いて上を向いて祈ります。


 アンソニーに言われたとおりに神に祈りを捧げると、神様が話しかけてくれました。


 驚きました。


 おもわず祈りを止めてしまったので、もう一度、祈りを捧げます。


「驚かせてしまったようで、ごめんね」


 今度は、姿も見せてくれました。神様はおねえさんでした。


 神様は、わたくしがユージェニー・ロスシュリ姫ではなく、聖女になったことを教えてくれました。


 もともと聖女として異世界より召喚された魂が、ユージェニーの魂の器、つまり身体を使っているそうです。


 神様にとっては、身体は器でしかないのですね?


 わたくしもそのように考えるように心がけます。

 

 聖女は3つまで何でもお願いを聞いてくれるそうです。


 神様は、驚きました。

 わたくしがすぐにユージェニーに戻りたいと願うと思っていたようです。


 ちょっと、意味がわかりません。


 たった今、神様が身体は器でしかないと教えてくれたのです。

 こだわってはいけません。


 そんなことより、魔王ですよね?

 そのために魂を入れ替えたのですよね?

 

 わたくしが魔法が使えないことを伝えると、わたくしがロスシュリの守護神のいとし子であることが関係しているそうです。

 ロスシュリの守護神と相談すると言ってくれました。

 ロスシュリの守護神は、ワイトの神様のお兄様だそうです。


 神様にも兄妹がいることにビックリです。


 ここで、神様は私がまだ新しい自分の姿を見ていないことに気付いて、今日はもうおしまいということになりました。



 祈りを終えると、4時間が過ぎていました。

 はじめて跪いて祈りをささげたわたくしの膝は動かなくなっておりました。

 アンソニーが慌ててお医者様を呼んでくださいました。

 アンソニーはとても心配してくれました。

 心の声は、もっと心配そうでした。

 この方は信頼できそうです。


 わたくしは、アンソニーにお願いして鏡でわたくしの姿を見せてもらいました。

 神様流に言うと、新しい魂の器です。

 元の姿と全く違います。

 髪がピンク色のふわふわカールで、瞳が緑色で、甘い顔立ちに変わっていました。



 そして貧血を起こしました。

 これはショックだからではありません。

 起きてから、何も食べていなかったからです。

 神への祈りは空腹のときに行うものだそうです。

 アンソニーは、すぐに食事を手配してくださり、「我々にとっては当然の習慣で気付かなかったが、子供には酷だ」と何やら相談なさっていらっしゃいました。


 アンソニーは優しい方です。


 食事が準備できたら、アンソニーは、手ずから食べさせてくれました。

 心の中で「かわいいな~。娘ってこんな感じなのかな~」と言っています。

 アンソニーは俗世から離れて長いのか、普通の10才を知らないようです。

 自分で食べられます。

 

 しかし、わたくしはご厚意に甘えました。

 王女の時には甘えることが許されませんでしたから。

 すこし気恥ずかしく、でも嬉しく思いました。



 食事のあと、気持ちが落ち着いたわたくしは、アンソニーとその周りの人たちに神様から教えてもらったことについて話しました。


 でも、聖女の魂とロスシュリ国の姫の魂が入れ替わったことは、伝えませんでした。


 隣国の王女の誘拐は、大罪です。

 国際問題になります。

 しかも魂だけなど、前代未聞です。

 大騒ぎになります。

 わたくしはその前に魔王の件について話を整理したかったのです。

 王族は、民の幸せを一番に考えると教わってきましたから。



 それに、わたくしの「ロスシュリの祝福」は失われておりません。

 わたくしには傍にいる人の思考が読めます。

 わたくしの話を聞く人の中には、聖女を利用しようとするものがいました。

 信頼する人を時間をかけて選ばなければなりません。



 お父様とお母様と会いたいです。

 義弟のエドワードにも会いたいです。


 とても悲しくなってきました。


 今日はこれでおしまいにします。

 それでは、ごきげんよう。


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