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転生悪役令嬢、推しが魔王城に引きこもってた

 ローレンの従弟のモブ男子ノアには、気になる点がある。


 ゲーム中には、ノアという名前の魔王がいた。

 妖艶で超絶美形な黒目黒髪の魔王。

 色気たっぷりなのに面倒見がよく優しい性格で、かといって甘々って感じでもない。

 見た目に反して、程よい「少年っぽさ」がぐっとくる、推しだった。

 


 ねぇ、魔王と同じ名前のモブがいるとか、あり得ると思う?


 魔王、まさかの整形疑惑?


 私にはわからない。


 ローレンの従弟のノアは、モブ男子の鉄板の「茶目茶髪」なんだよね。

 顔は整っているけど、なんというか、家庭的な温かみを感じさせるイケメンっていうのかな?


 夫にしたい人No.1とかに輝けそうな、落ち着いて穏やかな美形なんだよね。


 まだ少年って感じで、色気とかそういう感じじゃない。


 魔王じゃないことは確かだと思う。


 この謎を解くためにも絶対に回収しないといけないのが、木の上の黒猫を助けるイベント!


 黒猫は魔王ノアが聖女を探してワイト国に潜入してきたときの姿だから、「絶対探さなきゃ!」って気合入ってた。


 私は悪役令嬢の体に入っているけれど、聖魔法は持ったままなんだ。


 ロスシュリには魔法を使う文化がないから、全然訓練できてないけど、それはゲームでも似たような状況だったから、学園生活2か月目とかに、アンリに相談して学園の旧校舎ダンジョンを解放してからレベル上げでも間に合うと思うの。


 だけど、魔王ノアが聖女の出会いイベントが起きないと、魔王の瘴気が払えなくて、ノアがラスボスになっちゃう。


 他のフラグはバッキバキに折られちゃってるし、正直言って、私はかなりアンリが好きになっちゃってるから、ノアを攻略したいかっていうと、そんな気にならないかもしれない。


 でも、それとは別に助けられる人は助けたいじゃん?


 それで、何日もネコを探した。


 ようやく見つけたネコは、黒猫じゃなくて、白猫だったけど、まぁ、困ってそうだったからとりあえず助けようと木に登ったら、フワッと地面に降りて置き去りにされた。


 しかも、私が登ってきた梯子を倒して逃げやがった。


 ふっざけんなぁぁぁぁ!

 クソネコが!!


 木の上でしくしく泣いてたら、アンリが助けに来てくれた。

 しゅき。


 んで、「魔王の瘴気を祓わないと、ほんとに魔王になっちゃう~!」って号泣してたら、「ん? ちょっと落ち着こうか?」みたいな感じで、アンリがお姫様抱っこで王宮まで連れて行ってくれて、転生の話を「夢のお告げ」として聞いてもらった。


 アンリは「ん~。何を言ってるか全然わかんないけど、明日と明後日は休みだし、一緒に魔王領を見に行こうか?」って言ってくれて、なんか安心してそのまま寝ちゃった。


 朝、起きたら、そこはワイト宮殿の王子妃の居室だった。


 え?

 入学早々、お泊り?


 アンリのルートだけ進行が早すぎない?


 王子妃の居室は、ロスシュリ風の内装で、ロスシュリ城の私の部屋に飾っていた小物なんかも置いてあって、私がホームシックにならないようにって気を配ってくれた感じがすっごい出てた。

 ほんとキュンだった。


 朝食の迎えに来たアンリが、いたずらが成功したような子供のような表情で「気に入った?」って聞くから、思いっきり何度も頷いてしまった。


 そしたら、すっごい綺麗な顔で笑って「ここに住んでも大丈夫な気がする?」って、聞くから、つい頷いてしまった。


 アンリは、「そうか、それは良かった。」って、微笑んで、それがまたすっごい綺麗な笑顔だった。


 何というか、アンリのフラグ以外全部折れてるから、市井に出て逆ハーフラグの回収しなくて良くなったから、別邸に住む利点は無くなってたし、


 ノアは、アンリに魔王城に連れて行ってもらって、浄化するだけでもいいわけだし。


 残るエドワードは義弟で、別邸に会いに行くのは不自然じゃないから、行けばいつでも会えるし。


 ワイト城の方が何かと便利な気がした。

 

 でも、エドワードとの夕食も捨てがたいから、城と別邸を一週間交代で行き来してもいいかもな~。


 とか、思ったんだよね~。



 兎も角も、朝ごはんを食べた後、魔王領へ向かって、でもちょっと遠いから、一泊二日のお泊りになって、部屋とかは別なんだけど、お休みのデコチューはしてもらえて、素で嬉しかった。


 翌日は、朝から魔王領を眺めて回ったんだけど、ゲームの描写とは全然違う牧歌的な神の園みたいな場所だった。


 ところどころに瘴気の噴出口があるんだけど、それらはなんか幻想的なデザインの施設で囲われてた。


「現魔王はここしばらくずっと科学全般にハマっていて、アイザックと共同で瘴気発電施設を建造したんだ。たぶん、世界が瘴気におおわれるとかそういう状況にはならないと思うけど、一応、連絡は入れとくね?」


 アンリがそう言ってくれあと、私はその場に座り込んでしばらく立ち上がれなかった。


 アンリは、はじめからそこでピクニックをする予定だったかのように、手際よく侍従にお茶の用意をさせて、私を椅子に座らせてくれたあと、呆然と瘴気発電施設を眺める私の気が済むまで隣で本を読みながら待っていてくれた。


 これも、強制力を排除した影響だよ、ね?


 なんというか、凄すぎる。



 魔王は今、魔王城の中で「最愛」を育てているから、立ち入り禁止らしい。


「魔王城の中も見て見たかったよね?」っと気遣ってくれるアンリに、私は首を振って笑顔を返した。


 思ったよりもショックはなかった。

 というか、「よかったね。」って思った。


 魔王は、見た目は妖艶で中身は少年ぽいという奇跡のミックスで、好みのド真ん中だけど、ほんといい子っぽかったから、最愛を見つけて幸せなら私も嬉しい。心からそんな風に思えた。


 こんな気持ちになれたのは、アンリの優しい笑顔のおかげかな?

 だから、わたしも返せるだけの笑顔を返していこうと思った。



 そのあと、アンリと二人ではじめての手つなぎで魔王領の草原を散歩して、ワイト王宮に帰った。

 いろんな種類の野花が咲いててキレイだった。


 王宮についたら、別邸に置いてあった荷物は既に王子妃の居室に運び込まれていて、翌週からは、王宮から学園に通うことになった。


 これはちょっとしまったな~ってなったね。

 別邸に帰っても、泊まれなくなっちゃった。

 

 これってさ、アンリ腹黒溺愛王子説、あるよな~。



 あと、もう一つ気になることがあった。


 私が王宮で暮らし始めてから、義弟のエドワードが学園に来なくなったんだよね。

 もしかして、私が王宮で暮らし始めたことで、失恋したエドワードは、つらくて引きこもっちゃったとか?


 心配になって、アンリと一緒にロスシュリの別邸を訪ねたよ。


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