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ななしの聖女14才、悪魔神官アンソニーのハッピーエンド

 わたくしは、名無しの聖女改めアリスです。

 14才になりました。


 今年は世界は比較的穏やかに流れましたが、個人的には大きな変化がありました。


 まず、神様とアンソニーが結婚しました。


 昨年、神様がアンソニー大好きなことがバレバレになったと申しましたでしょ?


 わたくし、アンソニーに言ってみましたの。


 神様の片想いが健気すぎて見ていられないので、アンソニーが神様のことを憎からず思っているのであれば、アンソニーも神様とお話したいとお祈りしてみて欲しい、と。


 すると、アンソニーは「憎からずなんてとんでもない。私が神を崇拝しているのは、あなたもよく知っているでしょう?」と答えました。


 そうでした。

 アンソニーは、神を崇拝しているのでした。

 ええ、ええ、有名な話どころではありません。

 枢機卿ですからね。

 神様を崇拝していて当然です。


 それで、アンソニーは、寝る前にベッドの横で跪いてお祈りするときに、わたくしのアドバイスどおり「私も主と語らうことが許されますでしょうか?」って聞いてくれたのだと思うのです。


 いえ、アンソニーから直接聞いたわけではありませんの。

 神様が降臨したんですのよ。

 その場に。


 そして、アンソニーを襲っちゃったのですわ。


 わたくしももう14才ですからね。

 ちゃんと意味を理解して、言っているのですよ。

 襲っちゃった、と。


 わたくしが思うに、アンソニーにはそんなつもりはなかったでしょう。

 就寝前にお祈りをするのは、彼の日課ですからね。


 夜のベッドに誘うつもりなんてなかったでしょうね。


 アンソニー的には、わたくしやノアと同じ様に祈りの間に跪いて神と語らう感じでイメージしていたと思うのですよ。


 でも、長年片思いを募らせていた神様の方は、敢えて拡大解釈して、勝負に出たわけです。

 いえ、単に煩悩に従っただけかもしれません。


 兎も角も、神様が全身全霊を込めて作った自分の理想の女性に迫られたアンソニーは、ひとたまりもなかったでしょうね。あっけなく陥落して、教会にいられなくなりました。


 それでアンソニーは責任を取って? というのは、何やら語弊がありますが、まぁとにかく、責任を取って還俗し、突如亜空間から出現して自分を襲った痴女を娶ることになったのです。


 こほん。


 還俗先は、マイルズ伯爵家です。


 家を継いでいたアンソニーのお兄様は商会が上手くいって、伯爵業をやめてビジネスに集中したいと思っていました。

 弟が還俗してきたので、これ幸いと爵位をアンソニーに譲って、ただの大富豪になりました。


 結婚に当たって、妻を神様とか主とか呼ぶわけにもいかず、名前を聞いたら、名前がないというので、「ヴィヴィアン」というかわいい名前を付けてあげていました。


 皆様、わたくしは心が読めること、覚えておいででしょうか?

 

 あんまり活用できてはいませんが、神様に名前がないというのは、事実ではありませんのよ。

 単に、アンソニーに名前を付けてもらいたかっただけでしょうね。

 もしかしたら真名はアンソニーにしか教えないとかいうパターンかもしれません。


 乙女属性が強い神様ですから、仕方がありません。わたくしは目をつぶりましてよ。

 ふふふ。



 そして、アンソニーとヴィヴィアンが結婚する折、ノアとわたくしは二人の子供としてマイルズ伯爵家に引き取られました。


 神様がかわいく作ったノアとわたくしは二人にそっくりで、「枢機卿の双子の隠し子は既に14才!」なんて世間を騒がせて、ちょっと有名になりましてよ。


 敬虔な神の信者だったアンソニーがそんな醜聞をたてられて、わたくしはとっても不満なのですけれど、当のアンソニーは「醜聞なんてどうでも良くなるぐらい幸せだから、気にしないで。君たちが本当の子供だと思われているなんて、嬉しいよ」と言っていましたわ。本心でしたわ。


 ええ、幸せが何よりですわね。

 納得は行きませんけれども。 


 これが、悪魔神官アンソニーのハッピーエンドです。


 彼のお祝いパーティーは、ヴィヴィアンとの結婚式になりました。

 わたくしがブライドメイドで、ノアがベストマン。

 本当に幸せそうでしたわ。



 予言の書では、魔王ノアの側近の悪魔神官には名前がありません。

 これは、神様がアンソニーの闇落ちを悲しんで、名前を言いたがらなかったのではないかと推測しています。


 でも、アンソニーは、物語の最初の瞬間から登場する人物です。

 そして物語に登場する唯一の神官です。

 彼が悪魔神官で間違いないでしょう。


 アンソニー自身も当然そのことに気が付いていて、いつか自分が闇落ちするのであれば、早いに越したことがないと考えたのではないでしょうか?


 闇落ちすればアンソニーも「瘴気耐性」、「瘴気無効」、「瘴気吸収時体力回復」のいずれかを手に入れられるのではないか、と思ったのではないでしょうか?


 それで、闇落ちするために、自ら瘴気の間欠泉に吹き飛ばされることで、自殺を図った。



 神々の祝福には秘密が多く、定かではありませんが……


 わたくしのロスシュリ神の祝福には2段階あります。

 「心を読む」と「配下の強化」です。

 2つ目は強くならないと手に入りません。


 アンリのワイト神の加護にも2段階あります。

 「魔法」と「テイム」です。

 わたくしと同じように、2つ目は強くならないと手に入りません。


 ノアの暗黒神の恩寵にも恐らく2段階あるのです。

 「瘴気耐性付与」と「瘴気吸収時体力回復付与」だと思います。


 予言の書で、悪役令嬢ユージェニーと悪魔神官アンソニーが魔王城で戦う時、この2人には「瘴気吸収時体力回復」が掛かっています。

 これは強くなった魔王ノアが二人に付与したものでしょう。


 きっと、アンソニーは勘違いしちゃったのです。

 自死すれば、闇落ちして「瘴気吸収時体力回復」を得る、と。

 でも、真実は、ノアはまだ弱いから「瘴気耐性付与」までしか恩寵を使いこなせていないというものでしょう。



 神様が大慌てで「ディヴァインライト」を発動してしまったのは、自死されるとアンソニーは死しても神の国へ行けなくなり、アンソニーラブの神様としては、アンソニーを永遠に失う最大のピンチだったからしょうね。


 それで、ショックが抜けない神様は、アンソニーに求められたら、すぐに出てきて愛し合ってしまったのですね? 


 アンソニーが求めていたのは、語り合うことだったでしょうに。

 

 困った神様ですが、アンソニーがハッピーなら、わたくしもハッピーです。


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