転生妄想族の異世界転生
「よっしゃぁ~!」
オープニングに見覚えがありすぎて、震えた!
何を隠そう、わたくし麗奈は、このゲームで逆ハー3周を達成していた猛者中の猛者なのです!
だから、猛者っぽく、オープニングはスキップしたよ。
「オッケー、オッケー。あなたは枢機卿だよね? 早速で悪いんだけど、神様と話がしたいんだよね。祈りの間に連れてって?」ってさ。
みんな驚いて固まってたよ。
私、絶対ドヤ顔になってた自信あるわ。
ゲームではオープニングに枢機卿からのこの世界についての説明があるんだけど、おっさんのウンチクには興味がないからね。
スキップに限る!
祈りの間についたら「神様への3つのお願い」を解放したよ。
「神様への3つのお願い」は、経験値の消費ナシでスキルを3つまで解放できるライト勢への救済要素だよ。乙女ゲームのストーリーは楽しみたいが、バトル要素が苦手な人のための公式からのプレゼント。
やりこみ勢は、終盤のスキルツリーがアンロックされると同時に魔王討伐に有効な最終魔法を3つ解放するのが定石。
あ、祈りの間っていうのは、セーブポイントじゃないよ。セーブはオートセーブだからね。
祈りの間は、スキルツリーとスキルを解放する場所ね。
他の操作は全部メニューボタンから出来るユーザーフレンドリーな設計なんだけど、開発も祈りの間を残したかったんだろうね?
スキルを解放するのだけは祈りの間だったよ。
そんで、猛者っぽく、サクッと祈りのポジションについたんだけど、心の中ではテンション爆上がり。
通勤電車の中で、自分が祈りの間で祈りを捧げるシミュしたことあったからね。
ネット小説好きは、一度はしたことあるでしょ?
通勤電車の中での異世界転生妄想。
わたしは、あるね。てか、毎日だね。
このゲームは難易度高かったからね~。
結構長いこと通勤電車の中の異世界妄想は、このゲームだったよ。
で、一つ目のお願いは「物語の強制力の排除」。
電車妄想家の鉄板だと思うよ。
電車妄想家なんて多くないって?
いや、絶対、いっぱいいる。
異世界転生といえば、物語の強制力っしょ。
転生した人、みんなそこを気にしていると言っても過言ではない。
で、神様の声が聞こえた時には、心震えたね!
「聖女の願いに答え、物語の強制力を排除します」
まさか、これが、通るとは!!
私の妄想の中のベストシナリオ!!!
ホントは、おっさんの話を聞いて、施設を案内してもらって、最初のバトルがあって、スキルポイントをちょっと溜めてからの「神様への3つのお願い」の解放だからね。
しかも、こんなお願い聞いてもらえる確証はなかったからね。
ヤバ。
思い出しても、震える。
それで間髪入れず、二つ目のお願いを祈ったの。
「神様、二つ目のお願いです。私の魂を悪役令嬢ユージェニー・ロスシュリの体に入れてください」
「聖女の願いに答え、あなたの魂をロスシュリ国第1王女ユージェニー・ロスシュリの体に入れましょう」
やった、これも通ったよ!
ん? あれ??
目の前が……
暗くなってきた、よ?