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第26話 帝国から人が来るかもしれない。

言い忘れてました。この話から新章になります。

 大樹国アルバは、東に王国、西に神聖国が存在し、立地的には【国の北側から海が見える】くらいには【極北】といえる。


 この立地のため、王国と神聖国から人が入ってきて、世界樹のそばで『ユグシティ』という都市を作り上げて、聖木を獲得している。


 そもそも研究が行われていない素材に対して『需要』などあるわけないのだが、そこはヴィスタが適切なレシピを公開。


 主に魔道具の素材としてすごく適しているため、商会が入ってきている。


 基本的にかなり頑丈なため、ある意味当然のこととして、『馬車職人』がやってきてはユグシティに拠点を作って工房を作っているようだ。


 あとは優秀な馬を連れてくればいいし、たどり着きさえすれば豊富な食糧があるので馬の育成も十分。


 建国してから間もないが、かなり発展している様子だ。

 そもそも馬車の発達による『輸送能力の強化』や、道を整備することによる『インフラ整備』は、販路拡大に最適であり、初期投資を多くできる大きな商会が入ってきているのも都市の成長に拍車をかけている。


 しかも、世界樹がもたらす豊穣は入ってくるすべての人間の需要を供給過多で満たす。


 この地で作られた野菜や穀物が通常よりも高品質になることもあって、かなり多岐にわたっていろいろな職業の人間がこの地に訪れている。


 町で加工されたアイテムの多くは王国と神聖国に流れ、潤いをもたらしているといっていい。


 なんせ供給過多なので、言い換えれば『常に物がある』のだ。


 大樹国の外から、『空の荷車を持って行って、限界まで物資を集めてこい!』と命令された商会の下っ端たちが元気そうに交渉しているのが、そこら中にあふれている。


 ただ、一つ忘れてはいけないことがある。

 王国と神聖国に潤いをもたらすと述べたが、もう一つ、王国と神聖国に生きるのなら気にしなければならない国家がある。


 ……最も、ヴィスタがいるので、商会の面々はあまり心配していないようではあるが。


 ★


「人間ってすごいよなぁ。短時間でこんな街を作るんだから」

「まあ、そんなものでしょうね。世界樹とビジネスを絡ませたらこうなります」


 ユグシティの中央広場に隣接する五階建ての建物。

 その一室で、ダイナとセラは書類をまとめていた。


「しかし、王国と神聖国との通貨交換レート。思ったより『向こう寄り』な設定だな」

「その方がこちらも輸出を強化できますから」

「まあ輸出って言っても、いうほど『大樹国アルバ』は作ってねえけどな。この町の食堂。マスターが書いたレシピが多く出回ってたし、これからも増えそうだけど、そういう情報代くらいだもんなぁ」

「そうですね。主な部分が『ダンジョン挑戦権』と『土地代』だけなので、加工したものがあるわけではありません。まあ、これから出てくるでしょう」


 大樹国アルバは現在、『アルバ大森林にあるものを利用する権利』を売ることで収益を得ている。


 何かを作っているわけではないし、食物にしたって、種や苗なら自分で持ってくればいいわけだ。


 確かにヴィスタが何かを情報を売るとなればそれは欲しい場合はあるが、基本的にはダンジョンとよく肥えた大地に用があるのであって、フレスヴェルには対して興味はない。


「……ここまで発展できてる一番の理由。なんだと思う?」

「ヴィスタ様がこの町に来ることがないからでしょうね」

「反論の余地がねえな……」


 誰だって、ヴィスタ相手に交渉したくない。言いたいことをあらかじめ全部予測されてるので、文句だって言いに行きたくない。


 そういう相手だが、一々突っかかってくるのも面倒だ。ていうか突っかかってこないでください。と皆が願っている。


 要するに、ヴィスタがすぐに意見を言って、それに影響されるような環境だと、正直に言えば委縮するのだ。


 これは経済的に大変よろしくないので、『ユグシティにヴィスタが来ない』ことは、発展の一番の要因だろう。


 国のトップのお膝元は発展するものだが、まあこれは権力的なバランスのようなものであり、大樹国アルバにおいて人が求めているのは世界樹からの恩恵なので『そんなもの』である。


「そういや、冒険者ギルドがざわついてたな」

「基本的に聖木集めの管理のようなものですが、人が多くなれば雑事も多くなりますから、そちら側を解消する機能も必要ですからね。まあ『それだけではありません』が」


 中立を宣言し、多くの国に入り込める冒険者ギルド。


 当然、彼らの一番の仕事は冒険者の管理なわけだが、冒険者というのは『出身国を問わず』、一人の人間として管理されている。

 そのため、隣接しているのが王国と神聖国だけであっても、来るのがそれだけとは限らない。


「帝国からってわけか。しかもかなりの数が一気に来るらしいな」

「そうですね……まあ、気を付けなければならないのは、そこに『紛れている人たち』でしょう」

「ああ、マスターが言ってたな。垂毒龍皇と宝剣返還の二件で、王国と神聖国の派閥が大きな失態になって、帝国を拠点としてる強硬派が騒がしくなってるみたいだからな」


 当然だが、組織というのは功績と、それを認めるシステムは重要である。


 功績を評価し、それに見合った報酬を与えるからこそ、人はやる気になるからだ。

 ただ、手あたり次第にされると無駄が増えるので、失敗させないように威圧しつつ、人を動かす。


 とはいえ、功績を個人で出すには限界があるので、ちょっと口がうまい奴が中心になって『派閥』ができるのだ。


 主にケラダホア王国で好き勝手していたのはアラガス・バラサーだが、宝剣返還による失脚後、行方不明。


 神聖国では神殿の近くに『垂毒龍皇』が発生し、解決したのが保守派だ。


 大きな失態であり、『帝国』を拠点にしているものが調子に乗っているのである。


 ただ、帝国があるのは王国と神聖国の南であり、普通なら大樹国アルバにアクセスするのはなかなかコストがかかる。


 しかし、『冒険者』なら、その限りではない。


 帝国を拠点にする神聖国強硬派が、帝国の冒険者に紛れてやってくる。


 それに関しては警戒すべきであり……。


「まあ、マスターが『踊ってもらうか』って言ってたから、多分ひどい目にあわされるんだろうな」

「かわいそうに」


 悪いのは強硬派。ひどいのはヴィスタ。


 大体、そんな感じになりそうである。

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