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第21話 三人の全力形態

 仕込みの時間が終了。ここからは本気を出せる。


 それを聞いたダイナは、魔剣を掲げる。


「行くぜダークマター。契約開始だ」


 契約開始。

 それを聞いた魔剣から、黒い魔力があふれ出て、ダイナの全身を包み込む。


 数秒もかからないくらいの時間で、魔力が彼の全身を覆った。


「……さて、やるか」


 一気に魔力が霧散して、ダイナが姿を見せる。

 その姿は、病的なほど白い肌と、真っ黒の小さな角が二本という、通常の人間とは異なる性質をしている。


「その白い肌と黒い角……『悪魔』の中にそのような特徴のものがいた気がするが……」

「ほー。よく知ってんな。『夢幻魔境』において『魔剣公爵』と呼ばれるエグイ戦闘力を持った悪魔がいるんだよ」

「その力を使えると?」

「ああ。というか、そもそも魔剣って、悪魔の力を人間に宿す研究の副産物として生まれたものだからな。マスターの知識があればこれくらいはできるんだよ」

「……まあ、納得しておこう」


 うなずいたマックス。


「しかし悪魔とは……『私』の前でよくもまぁ……」


 そう言いながらも、セラは指を鳴らす。


「『ヘブンズゲート』」


 頭上に大きな門が出現し、一気に開かれると、白い魔力があふれてセラを包み込む。

 ダイナの『演出』に合わせたのか、すぐに魔力は霧散し、セラは姿を現した。


 一言でいえば純白のドレス姿だ。

 ただし、下半身は丈は長いものの深いスリットが入っており、上半身に関しては背中と谷間をガッツリ見せるタイプで、正直に言えば痴女。


 ただ、Fカップの巨乳を持ちスタイル抜群のセラが着ていると、なかなか映える。

 とはいえ、一番注目するべきは……。


「翼と輪っか……天使だと?」

「ダイナは悪魔と契約して力を得ていますが、私は元から天使ですよ」

「……『天神国アスガルド』出身というわけか」


 頭痛がするのか、マックスは頭に手を当てた。


「で、マックスは何かないのか? というか『その速度』……何もからくりがないわけじゃないだろ」

「まあ、お前ならたどり着いて当然か。来てくれ、『聖剣タキオングラム』」


 マックスが呼ぶと、その右手に一本の黒い剣が出現する。

 刀身は星々をちりばめたかのように光っており、なかなか幻想的な光を放っている。


「それは……」

「私が使用できる聖剣だ。その機能は単純で、『重くて速い斬撃を繰り出せる』というもの。その影響で、聖剣を使っていなくても、膂力と速度をかなり出すことができる」

「まあ個人的に一番重要なのは、マスターの母親が生前に使っていた剣ってことだけどな」

「ほう、アメリス様が?」

「ああ。死後、神聖国に返還され、その数年後の『聖剣杯』の決勝戦で私とダイナが戦った。ダイナが勝ったが、聖剣を抜けなかったから、準優勝の私が抜いた」

「ふーむふむ。聖剣を抜けなかったと、『まあそうでしょうね』と言っておきます」

「ハハハ……好き勝手言いやがって」


 ぺらぺらとしゃべる三人。


 そんな三人に対して、垂毒龍皇は先ほどから動こうともしていない。

 ……いや、厳密にいえば時々動こうとはしているのだが、そのたびに三人がチラホラ反応するので、動こうにも動けないのだ。


「さてと、あんまり待たせるのも悪いな」

「あまり悪いと思っていないように見えるが?」

「まあそういうなって、事実だからさ」

「あなたもあなたで好き勝手に言いますねぇ」


 三人は垂毒龍皇のほうに向いた。


「ギュオオオオオオオオオオオオ!」


 口から猛毒のブレスを放出。

 太く、密度のあるそれが、一直線に彼らに向かっていき……。


「残念。もうそんなのが通じるレベルじゃねえよ」


 ダイナが剣を振ると、それだけでブレスが霧散した。


「そういうことです」


 セラが右手の人差し指を向ける。

 レーザーが放出され、一撃で垂毒龍皇の心臓を貫いた。


「ギャアアアアアアア!」


 鱗を何もなかったかのように貫通するレーザーに驚いたが、心臓に毒を流し込んで無理やりに再生させる。


「さてと……そろそろ、ここで暴れられると邪魔だ。町の外まで出て行ってもらおうか」


 マックスは一瞬で肉薄すると、その腹に聖剣の一撃を叩き込む。

 すると、五十メートルある垂毒龍皇の体が、文字通り吹き飛んだ。


「グオオオオオオオオオッ!」


 高速で飛んでいき、町を超えて平原まで吹っ飛んだ。

 ……数秒後、ズドオオオオオオオオオオオオオオオンッ! という天地がひっくり返ったかのようなとんでもない音が聞こえたが、まあこれは落下音である。


「さてと、さっさと片づけますか」


 三人とも、すでに人間のレベルではない。


 一瞬でその場から消えたかのような速度で移動し始めて、住宅街から消えていった。

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