海軍検討会議2
緊急閣議を終えた山本総理兼海相は海軍省に向かうと、軍令部も交えて会議を開催した。山本総理兼海相は大英帝国とイタリア王国への軍事援助を更に拡大する事になった為に、まずは戦時艦船急速建造計画の進捗に関して海軍艦政本部本部長に尋ねた。海軍艦政本部本部長は立ち上がると説明を始めた。開戦直後に始まった戦時艦船急速建造計画は超弩級空母大和級に迫る大きさの空母を3隻、正規空母大鷹級の戦時簡易量産型空母を10隻、そして各種戦時簡易量産型である、軽空母10隻、重巡洋艦20隻、軽巡洋艦30隻、駆逐艦60隻を建造する一大計画であった。そしてその計画は1942年8月6日今日時点で、駆逐艦松級が40隻建造が完了し20隻をイタリア王国に提供した為に残る40隻は後2カ月程で建造完了となる。軽巡洋艦音羽級は20隻が建造を完了し10隻が建造中である事。重巡洋艦黒姫級は10隻が建造中である事。軽空母千歳級は10隻全て建造中であり、正規空母雲龍級も10隻全て建造中、超弩級空母大鳳級も3隻全て建造中。そして戦標船は60隻の建造が終わり新たに60隻を建造中だと海軍艦政本部本部長は語ったのである。大日本帝国は保護国である満洲帝国も含めて、1万トン以上の艦船を建造出来る工廠・造船所は250カ所に及んでいたのである。これこそが山本内閣が行った経済成長政策の成果であり、重厚長大産業が発展した証だった。250カ所あるがその内50カ所は完全に民間商船専用であったが、戦標船は甲種である一般貨物輸送船、乙種である鉱石運搬船、丙種である油槽船の3種類が建造される事になり民間海運会社にも譲渡される事になり、50カ所の民間商船専用造船所も建造する事になったのである。しかも更に海上保安庁も戦時増強計画により大量に建造を行っている事から、大日本帝国全土にある工廠・造船所は全てが全力稼働する事になったのである。満洲帝国の造船所もこの戦時中に於いては、各財閥が建設し保有している事もあり完全に大日本帝国専用の造船所となっていた。幹部や熟練工は大日本帝国からの派遣であったが、一般工員は満洲帝国から直接雇用を行っておりしかも戦時中である為に猫の手も借りたい状態であり、満洲帝国国民の雇用確保という点でも重要な要素になっていたのである。
そしてその大規模な艦船建造を支えたのが、各種製鉄所による鉄鋼生産であった。大日本帝国は開戦から半年間で粗鋼生産量を2800万トンにまで発展させ、満洲帝国と合算すれば3800万トンという数字になっていた。その3800万トンから鉄鋼生産量は3100万トンとなり、そこから造船部門への配当量は1800万トンとなっていた。この1800万トンという膨大な鉄鋼配当量が、大日本帝国の艦船建造を支えていた。その為に各種製鉄所も全力稼働を続けており大日本帝国国内からの鉄鉱石産出と、満洲帝国・オーストラリアからの鉄鉱石輸入により各種製鉄所は粗鋼生産量を高めていたのである。
そして海軍艦政本部本部長はユナイテッドステーツの改装工事も順調に進んでおり、今月中には完了すると語った。好調な建造に山本総理兼海相は満足そうに頷いていた。そこで緊急閣議で決定した事を受けて、大英帝国とイタリア王国への軍事援助として駆逐艦を増産する事を提案した。海軍艦政本部本部長はどれだけの数を提供するのか尋ねると、山本総理兼海相はイタリア王国には既に20隻を提供したので更に80隻提供し、大英帝国にも100隻提供する事を提案したのである。合計200隻もの大量提供に参加者は全員驚いた。永野修身軍令部総長も目を見開き驚いていた。だが伊藤整一軍令部次長は山本総理兼海相の提案に賛成を示した。大英帝国も本土決戦で海軍戦力が低下しており、イタリア王国は海軍戦力がそもそも低かった。その為に大日本帝国が現状では経済力も維持発展しつつ、増産に耐えうる体力がある為に提供を行うのは長期的視野でみれば有意義だと語ったのである。伊藤軍令部次長の援護に感謝しつつ、山本総理兼海相は大蔵も財源は確保するとしていると説明すると、海軍艦政本部本部長は諸々を気にする事無く進めれるなら即座に実行すると答えたのである。
次に山本総理兼海相はフランスが投入した新型機に対抗する術を探るべく、海軍航空本部本部長に紫電と烈風の量産体制について尋ねた。海軍航空本部本部長は立ち上がり説明を始めると、紫電と烈風の量産は進んでおり、紫電は本土配備の航空隊は更新が終わりアラビア半島と大英帝国本土に展開する航空隊も順次更新を行い、烈風は海軍連合艦隊機動艦隊への配備が完了したと語った。大英帝国本土の第11航空艦隊も紫電が配備されれば、新型機を更に上回る事が可能だと断言した。重陸上攻撃機深山の生産も順調であり、本土の航空隊への更新は進行中だと語った。そして海軍航空本部本部長は烈風の開発を終えた三菱重工が、陣風艦上戦闘機の改良型ともいえる新型機とハ43エンジンの性能向上型を開発中だと語ったのである。
それを聞いた山本総理兼海相は陣風艦上戦闘機が大英帝国王立空軍の練度不足とはいえ、フランスの新型機に撃墜された事がある為に有意義な事だとして、新型機と新型エンジン開発を全面的に支援するように指示した。新型エンジンが開発されれば川西航空機の紫電も改良型にする事が可能であった。更に海軍艦政本部本部長は九州飛行機が『エンテ型』を採用した特徴的な新型機を開発中だとも語った。速度性に優れておりレシプロ機として開発中だが、ジェットエンジンを搭載すれば更に性能向上がみられるのでは無いかと説明したのである。新しい物好きの山本総理兼海相は興味を示し、海軍航空本部本部長に自身の目で視察しジェットエンジンに改装するかどうか決めるように支持した。その為の費用は用意するとも断言したのである。海軍航空本部本部長も興味があったらしく、会議が終わると直ぐに視察に行くと答えた。
そしてフランスが投入した大型噴進弾についての対抗策であるが、それは山本総理兼海相に思い当たる節があるらしく東條陸相ととある人物に会うことにしたのであった。




