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緊急閣議4

1942年8月6日。大日本帝国帝都東京の首相官邸では、山本総理兼海相が緊急閣議を招集していた。前日に山本総理兼海相は皇居に参内し、大英帝国での戦況悪化を説明した。そこで天皇陛下は何とかならないか尋ね、山本総理兼海相は全力で対策を講じると答えたのである。そして翌6日に大英帝国支援を含め新たな作戦を政府方針として決定し、それに付随する臨時軍事費や臨時予算を即座に閣議決定し帝国議会に送付する為に山本総理兼海相は緊急閣議を招集したのであった。もちろん作戦を実施するには海軍省と陸軍省でそれぞれ詳細な作戦会議を行わなければならないが、山本総理兼海相と東條陸相がいる為に、軍事面での大まかな作戦決定は可能だった。

山本総理兼海相はまずは、大英帝国での戦況悪化を説明した。フランスは新型機を2種類も投入して来ており、しかもその1種類はジェット戦闘機だと語ったのである。それには閣僚達もざわついた。海軍と陸軍の共通機であるジェット戦闘機烈風とジェット戦闘機火龍が世界初だと思っていたが、その名誉は驚く程に短い名誉だったのである。そして驚く事に新型戦車も投入されたと山本総理兼海相は語り、東條陸相に視線を向けた。説明を託されたと悟った東條陸相は、分かっている範囲でフランス陸軍の投入した新型重戦車について説明を始めた。その新型重戦車は三四式戦車よりも圧倒的に高性能であり、三四式戦車の砲弾は新型重戦車に弾き返されたと語った。それに対して新型重戦車は1500メートル近くの距離から三四式戦車の砲塔正面装甲を撃ち抜き、逆に三四式戦車は500メートルにまで接近してようやく撃破する事が出来たのである。新型重戦車は三四式戦車と違い避弾経始を考慮した形状では無かった為に、そもそもが尋常では無い重装甲であると東條陸相は説明した。それは恐るべき性能差であった。東條陸相は新型重戦車には速度でしか、三四式戦車の優位性は無かったと悔しそうに語ったのである。

東條陸相の説明が終わると再び山本総理兼海相が説明を始め、フランスは新型の大型噴進弾を投入したとも語ったのである。この大型噴進弾はヨーロッパ大陸から発射されたものであり、速度は600キロ程でドーバー海峡を越える事から射程は推定300キロ程、爆発威力から推定1トン爆弾にも及ぶ威力をもっていると語ったのである。ここへ来ての新型兵器の大量投入であり、これはフランスがドイツから大量の技術者をスカウトしヨーロッパ大陸を制圧した事で、更に技術力は加速されしかもアメリカ合衆国の大量生産技術と結び付く事も想定され、今後の戦争遂行に大きな支障をきたす恐れがあると語った。

そこで山本総理兼海相は大英帝国とイタリア王国への更なる軍事援助と、国内の軍需企業への開発促進の為に大規模な予算を投入するべきだと断言した。岸信介商工大臣は軍需企業への支援は最優先事項だと言い、それを行い更に生産体制を強化するべきだと語った。大英帝国への軍事援助による等価交換で得た工作機械により、軍需企業の生産性と効率性も向上しており国産工作機械開発も後一歩の所であった。岸商工大臣の辣腕により民生品生産も各種企業により続けられており、大日本帝国の内需経済は戦時中でありながら見事に維持されていた。しかも軍需企業への投資をある種経済成長としており、大日本帝国GDPを押し上げる事にも成功していたのである。山本総理兼海相と岸商工大臣に暗に賛成を求めれた賀屋興宣大蔵大臣は、即座に臨時予算編成を決定すると答えた。これにより山本総理兼海相は『大英帝国とイタリア王国への更なる軍事援助と、国内の軍需企業への開発促進の為に大規模な予算を投入する』という案を閣議決定する事にし、帝国議会に送付し早期の成立を目指す事になった。と言っても第21回衆議院議員総選挙により山本総理兼海相が率いる旭日尊皇党が過半数以上を獲得しており、しかも戦時中である為に閣議決定は即成立と同意義であった。その為に緊急閣議終了後山本総理兼海相は海軍省に、東條陸相は陸軍省に赴き軍事援助の詳細と新兵器開発の促進・新規作戦の作戦会議を行う事になり、賀屋大蔵大臣は大蔵省に赴き臨時予算の編成を行う事になった。


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