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ロンドン攻防戦2

『救援要請を受けた大日本帝国海軍航空隊第11航空艦隊は、司令官である塚原二四三大将と参謀長である大西瀧治郎中将が直々に要請を受諾すると応えて全機出撃を命令した。局地戦闘機紫電や重陸上攻撃機深山は大量生産が始まったばかりで、未だに大日本帝国本土配備の航空隊にしか配備されていなかった。というよりも大日本帝国は航空機の性能がフランス・オランダよりも優位であるとし、大英帝国本土に派遣した第11航空艦隊やイタリア王国本土に派遣した第3飛行師団の機体更新は後回しにしていた。しかしその決断が大英帝国派遣の第11航空艦隊が苦戦する理由となったのである。

グラスゴー近郊の大英帝国王立空軍基地から飛び立った大日本帝国海軍航空隊第11航空艦隊は、保有する陣風艦上戦闘機と一式爆撃機全てが一路ロンドンを目指した。そしてロンドン近郊に飛来すると、フランス陸軍航空隊の新型機2種類をレーダーに捕捉したのである。それを受けて陣風艦上戦闘機は制空権確保の為に、攻撃を仕掛けた。既に大英帝国王立空軍は這々の体で離脱しており、陸軍機甲師団はVI号戦車ティーガーI型の攻撃と併せて甚大なる被害を被っていた。それを打開すべく第11航空艦隊は突撃し、Me262とFw190に横合いから銃撃を加えたのである。陣風艦上戦闘機の25ミリ機関砲をまともに喰らったMe262とFw190は次々と叩き落されたのである。突然の攻撃に面食らったフランス陸軍航空隊であったが、何とか態勢を立て直そうとした。だがMe262は大英帝国王立空軍との空戦で燃料タンクが残り少なく帰投ギリギリしか無く、Fw190もMW50出力増強装置の使用時間を使い果たしていた。更に第11航空艦隊の面々は歴戦揃いであり基礎的な練度差が激しく、フランス陸軍航空隊を機体性能のみならず練度差で圧倒した。その為にフランス陸軍航空隊はMe262を撤退させる事にし、Fw190で陣風艦上戦闘機に戦いを挑んだ。大英帝国王立空軍との練度差により大日本帝国海軍航空隊はFw190を圧倒したが、それでも無傷とは言えず10数機が撃墜された。しかしその10倍以上である100機は撃墜する事に成功しており、機体性能と練度の差を見せ付けた。

あまりの被害にフランス陸軍航空隊は撤収する事にし、全機が反転しヨーロッパ大陸目指して逃走した。それを一部の陣風艦上戦闘機は追撃しようとしたが隊長機がそれに中止命令を出し、地上の大英帝国陸軍機甲師団支援を厳命したのである。それにより本来の任務を思い出し、全機が対地支援を行おうとしたが地上は大英帝国陸軍とフランス・オランダ陸軍の大混戦になっていた。これでは一式爆撃機の絨毯爆撃による支援攻撃が行えず、一式爆撃機は旋回しつつ攻撃の機会を探る事にした。その為に対地支援攻撃は陣風艦上戦闘機が行う事になり、25ミリ機関砲2門と13ミリ機銃6門による一斉射撃と50キロ噴進弾14発による攻撃が加えられた。

正面装甲は三四式戦車の85ミリ砲を弾く程に強固な物であったが、上部装甲は薄かった為に13ミリ機銃でも貫通した。これにより攻撃を行い易い位置にいたVI号戦車ティーガーI型は撃破出来たが、それでも大混戦なのは変わり無く対地支援攻撃は限られた。そして陣風艦上戦闘機も旋回して攻撃の機会を探るしか無くなったが、そこにレーダーが夥しい数の機影を捉えたのである。フランス陸軍航空隊の新手だと判断した陣風艦上戦闘機は、その機影の方向に向かったがそこには航空機では無い[何か]が飛行していた。速度は600キロ程であるが、操縦席が無い筒に主翼が付いており、筒の後方上部に大型のジェットエンジンが取り付けられていたのである。その特異な姿に何か分からない不気味さがあり、大日本帝国海軍航空隊の陣風艦上戦闘機は攻撃判断に迷った。ロンドンの防衛司令部もその物体を確認したが、同じように何か分からない事もあり呆然としていた。ただ耳障りなエンジン音が響き渡っており、それが更に不気味さに拍車をかけていた。

永遠とも思える耳障りなエンジン音が突如として途絶えると、その何かは次々とロンドン中心街に落下していった。呆気にとられ見ていた大日本帝国海軍航空隊の操縦士達と、ロンドンの防衛司令部将兵達の目の前でその何かは落下すると、各地で凄まじい爆発を起こしたのである。

これが現在の巡航ミサイルの始祖とも言える、V1飛行爆弾が初めて実戦投入された瞬間であった。』

小森菜子著

『欧州の聖戦』より一部抜粋

ここでV1飛行爆弾も登場しました。ドイツ人技術者をスカウトした利点が、フランスにはありますね。V1の名前はドイツ語のVergeltungswaffe(報復兵器)1号というものですが、他の航空機や戦車もそのままの名前にしてますのでV1もそのままにしました。

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