解説 海上保安庁
『海上保安庁は第一次世界大戦後の1922年に設立された、輸送船団護衛と領海警備専門部隊であり、海軍省外局としての準軍事組織となる。設立の理由は第一次世界大戦に於いてドイツ帝國の無制限潜水艦作戦による通商破壊作戦が、大英帝国を海上封鎖に追いやりかけた事により同じ海運国家として、海上輸送路の確保が国家の命運に繋がると判断されたからである。輸送船団護衛は[護衛隊群]と呼ばれる部隊が担っていた。1941年の開戦時点では海上保安庁は6個護衛隊群を保有していたが、開戦直後に海上保安庁は[戦時増強計画]を策定し20個護衛隊群にまで増強する事を決定し、帝国議会でも承認されていた。しかし1942年6月のアメリカ合衆国による通商破壊戦の激化には未だに計画途上であった為に、海軍連合艦隊の協力により急場を凌ぐ事となった。その後は順調に戦時増強計画が進行し護衛隊群も計画通りに増強され、戦争終結まで大日本帝国の海上輸送路を守り切る事に成功した。領海警備は大日本帝国の広大な領海を警備しており、[海防艦]を各港や海軍の鎮守府・警備府に配備して行っていた。
海上保安庁の規模は他国の沿岸警備隊に比べて段違いに大きく、何と言っても航空護衛艦という名で事実上の軽空母を保有している点が大きかった。しかも航空護衛艦も蒸気カタパルトを装備しており、搭載機も海軍と共有である為にアメリカ合衆国は[第二海軍]と批判している。海上保安庁が今の規模になったのもロンドン軍縮条約により、補助艦艇も規制された為に海上保安庁として配備しているのである。その大日本帝国の手法を大英帝国とイタリア王国も参考にして、同様に沿岸警備隊を強化していた。
航空護衛艦海神級
全長165メートル
最大幅26メートル
速力30ノット
武装
10センチ連装両用砲2基4門
40ミリ4連装機関砲12基
10センチ10連装噴進砲8基
搭載機40機
満載排水量11000トン
同型艦海神1〜海神6(戦時増強計画により14隻増産)
海上保安庁の主力護衛艦であり、海軍の軽空母に相当する。航空護衛艦はあくまで護衛を行う事から、搭載するのは艦上戦闘機と対潜哨戒機の2種類であり防空と対潜に特化していた。だがそれでも航空護衛艦は蒸気カタパルトを装備している事から、並の国の空母よりも高性能であった。その為に大日本帝国海軍が開戦後に始動させた[戦時艦船急速建造計画]で建造する軽空母10隻は海上保安庁の航空護衛艦を改良した設計になっていたのである。護衛隊群の旗艦を務める為に1個護衛隊群に1隻の配備になる。
重護衛艦級松級
全長160メートル
最大幅15メートル
速力30ノット
武装
10センチ連装両用砲2基4門
40ミリ連装機関砲26基
20ミリ連装機関砲22基
8センチ14連装噴進砲14基
13センチ18連装対潜噴進砲4基
搭載機水上偵察機2機
満載排水量9900トン
同型艦松1〜松24(戦時増強計画により56隻増産)
海上保安庁の重護衛艦であり、海軍の軽巡洋艦に相当する。1個護衛隊群に4隻ずつ配備されている。主に対空・対潜能力を重視しており、護衛隊群の中核を担っている。
軽護衛艦竹級
全長100メートル
最大幅10メートル
速力35ノット
武装
10センチ単装両用砲2基2門
20ミリ連装機関砲16基
8センチ14連装噴進砲10基
13センチ18連装対潜噴進砲6基
満載排水量2400トン
同型艦竹1〜竹48(戦時増強計画により112増産)
海上保安庁の軽護衛艦であり、海軍の駆逐艦に相当する。1個護衛隊群に8隻ずつ配備されている。
護衛隊群の数に於いて、縦横無尽に駆け巡る艦艇となる。
海防艦梅級
全長80メートル
最大幅9メートル
速力20ノット
武装
10センチ単装両用砲2基2門
20ミリ連装機関砲12基
8センチ14連装噴進砲8基
13センチ18連装対潜噴進砲4基
満載排水量1200トン
同型艦梅1〜梅200(戦時増強計画により400隻増産)
海上保安庁の海防艦であり、各港や海軍の鎮守府・警備府に配備して領海警備を行う。人員の省力化と、大量建造しやすいように直線を多用するなどしており、海上保安庁の数に於いての主力艦艇になっている。』
小森菜子著
『海上保安庁の歴史』より一部抜粋