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解説 海軍航空機紹介4

『局地戦闘機紫電

全長12.6メートル

全幅13メートル

速度755キロ

武装

25ミリ機関砲2門

13ミリ機銃4門

50キロ噴進弾14発

航続距離4800キロ

実用上昇限度13500メートル

乗員1名



大日本帝国海軍航空隊の局地戦闘機である。ジェット戦闘機烈風の開発に三菱重工が注力していた為に、新型局地戦闘機開発を山本総理兼海相が川西航空機に直々に依頼した結果実用化された。

紫電には数々の特徴があり、第1の特徴として層流翼の採用があった。境界層流と呼ばれる機体表面近傍の流れは層流境界層と乱流境界層の2種類に分けられ、表面摩擦抵抗は前者の方が小さい事が知られていた。これを翼型の設計に応用し乱流への遷移を遅らせて層流域の拡大をはかったのが層流翼型である。翼根翼厚を厚めに取って、強度と軽量化を両立させつつ、燃料や武装、降着装置の収容スペースを確保している。ただし、層流翼は表面の平滑さに敏感で、塗膜の気泡や昆虫の衝突による付着物でも後方三角形状に層流が崩れ、乱流の範囲が広がって摩擦抵抗が増えてしまう。その為に狙った程の効果はなかったとする見方もあるが、海軍航空本部による検証ではそれなりの効果があったとされた。層流翼にはもうひとつの利点があり、旧来翼型に比べ臨界マッハ数が高く、より高速な急降下が可能で、高速戦闘機としての使い勝手が向上するものであった。

第2の特徴は冷却であり、機体下部・主翼付近にラジエーターダクトを搭載し、機体の空気抵抗低下と冷却効率の両立を図っていた。そして第3の特徴は生産性であった。設計段階から生産効率を考慮し機体は大きく5分割して製造し、最終工程で結合するという、鈴木商店が考案した艦船建造に於ける連続部分建造を採用。工場では自動車の生産手法を取り入れた工程により製造期間を短縮した。紫電の水平安定板は左右一体に造られ、昇降舵を左右共通にすることで、生産性の向上が図られた。また胴体への固定は垂直安定板で挟み込む独特の方式を採用。さらに、垂直安定板は、エンジントルクに対処するため、機体の中心軸より1度オフセットされていた。

機上レーダー及び自動消火装置を完備し、 エンジンは2000馬力を発揮する新型の三菱重工製排気タービン過給器エンジンハ43を装備し、二重反転プロペラを装備している点は陣風艦上戦闘機と同じであった。しかし局地戦闘機紫電は名前の通り拠点防空を主任務にしている為に、燃料タンクを小型化し航続距離は多少は犠牲にして、速度と上昇速度を優先させた。それにより最大速度は755キロであり上昇速度は高度6000メートルまで4分15秒という数値を出す事に成功したのである。これにより大日本帝国海軍は航空隊配備の戦闘機を全て局地戦闘機紫電にする事にしたのだ。

その結果空母艦載機は陣風・烈風に、航空隊は紫電という配備になった。そして更に驚くべきは機体には将来的な発展性を持たせており、新型エンジンが完成した暁には発展改良型として進化可能である点だった。






重陸上攻撃機深山

全長26メートル

全幅38メートル

速度620キロ

武装

13ミリ機銃14門

魚雷搭載数6本

爆弾搭載量7トン

航続距離8800キロ

実用上昇限度13500メートル

乗員8名


大日本帝国海軍航空隊が保有する重爆撃機である。中島飛行機が総力を挙げて開発した重爆撃機であり、陸軍航空隊用の重爆撃機連山との共有機である。主体として海軍航空隊向けに開発された為に、4発爆撃機でありながら機動性が非常に高かった。中島飛行機は深山開発に於いて様々な新技術を投入しており、深山は専門の航空機関士を置く初めての機体にもなった。一式爆撃機等の従来の軍用機は、操縦席の計器盤に飛行に必要な計器の他にエンジン関係の計器が取付けられており、操縦士は飛行に必要な計器の他にエンジン関係の計器類を監視しなければならなかったが、深山ではそれらが全て航空機関士の前に置かれ、操縦士は飛行に専念することができるようになり、飛行機操縦の分業化が図られた。

そして最大の特徴は機体が与圧されている点であった。従来の飛行機では高空で機内の気圧・気温が低下するため酸素マスクの装備、防寒着の着用が必要だが、深山は高度10000メートルで高度2600メートル相当の気圧を維持する事が出来た。これは中島飛行機が開発した新技術であり、毎分12キログラムの加圧能力を持つ与圧装置を設置したことにより可能となった。爆弾倉を開閉する必要から深山では機体前部の操縦室と機体後部の機関砲座を与圧室とし、その間を直径90センチの管でつなぎ、搭乗員はこの管を通って前後を移動する事になった。被弾に備えて酸素ボンベも設置し機内冷暖房も完備され、搭乗員は通常の飛行服のみで搭乗していた。

エンジンはこの時点での傑作エンジンである2000馬力を発揮する新型の排気タービン過給器を装備した三菱重工製ハ43エンジンを装備し、機上レーダー及び自動消火装置を完備、二重反転プロペラをも装備していた。一式爆撃機に比べてエンジン出力か増加した割には、爆弾搭載量は1トン増加、魚雷搭載数は倍増、航続距離は3300キロ増加に抑えられていたがその代わりに機動性と防弾装甲が飛躍的に向上していた。

武装にも新技術が採用されており、与圧室の採用により通常の爆撃機のように人が乗り込んで直接操作する方式の銃座は設置できないため、射手が集中火器管制を行って機銃を遠隔操作する方式を採用したのである。銃塔を制御する照準装置は5ヵ所に設置され、4ヵ所は専任の射手が、もう1ヵ所は機体前方に配置されている爆撃手が兼任で担当した。こうした深山の射撃システムにはアナログコンピューターを使用した火器管制装置が取り入れられておりそれまでは非常に高い練度を必要とした見越し射撃が誰にでも可能となり、従来の爆撃機搭載防御火器よりも命中率が驚異的に向上、これによって敵機の接近を阻止する事になったのである。そして機体を深山・連山として大量生産するに辺り、アナログコンピューターも大量生産する必要が出た為に大日本帝国の電機メーカーである日立製作所・三菱電機・東京芝浦電気に要請された。この大量生産要請が大日本帝国の電機メーカーに於ける技術力向上に繋がった。

爆撃機としては大日本帝国航空技術の結晶と思われたが、中島飛行機は深山・連山を遥かに凌ぐ超重爆撃機を開発し戦争後半に実用化する事に成功したのである。




対潜哨戒機東海

全長12メートル

全幅12メートル

速度500キロ

武装

8ミリ機銃2門

80キロ対潜爆弹12発

航続距離5500キロ

実用上昇限度11800メートル



大日本帝国海軍航空隊と、連合艦隊機動艦隊・海上保安庁航空護衛艦が運用する対潜哨戒機である。低速で長時間哨戒飛行を行う機体で、潜水艦を発見すると同時に急降下攻撃を加えるよう要求され、80キロ対潜爆弾12発を搭載する事が可能である。対空レーダー・磁気探知機を装備し、対空警戒を行いながら対潜哨戒を行う。大日本帝国の高度なレーダー技術により磁気探知機はアメリカ合衆国海軍潜水艦を探知し、戦争の全期間を通じて優位性を確立していた。





百式輸送機

全長22メートル

全幅28メートル

速度580キロ

武装

13ミリ機銃4門

人員55名

車輛2輛又は戦車1輌

航続距離5800キロ

実用上昇限度10000メートル

乗員4名


大日本帝国海軍航空隊と陸軍航空隊が運用する輸送機である。海軍陸軍の共通機であり、唯一名称まで同じの機体である。速度と航続距離を活かして、縦横無尽の活躍をみせた。





零式水上偵察機

全長12メートル

全幅14メートル

速度480キロ

武装

8ミリ機銃2門

80キロ対潜爆弹12発

航続距離5000キロ

実用上昇限度8800メートル

乗員2名


大日本帝国海軍連合艦隊の水上偵察機である。主に重巡洋艦と軽巡洋艦に搭載され、各地の鎮守府や警備府にも配備されている。対潜哨戒機東海が実用化されるまでは、対潜哨戒の主力を担っていたが東海実用化以後は補助的な運用となった。新型機が開発されていたが、オートジャイロの性能向上が成し遂げられた為に開発は中止となった為に、大日本帝国海軍の艦艇搭載水上機としては最後の機体になる。』

小森菜子著

『連合艦隊の歴史』より一部抜粋

深山・連山はなかなかの機体になりましたね。


史実の大日本帝国GDPは1940年時点で368億円でした。この小説の世界線での大日本帝国は『帝国議会』の話後半で説明しましたが、山本内閣の経済政策によりGDPは1000億円になっています。史実より約2.7倍の経済力を有しているので、B-29に迫る大きさの機体と与圧・遠隔操縦技術を確立出来た事にしました。

それにそもそものこの小説の世界線での大日本帝国は、ワシントン海軍軍縮条約により戦艦から空母に中心を移し、航空技術が発展しているという前提もあります。なので深山・連山は大量生産は可能だと思われます。


問題は富嶽ですね……

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